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今更ながら、召喚師デビュー!  作者: 古澤深尋
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倫理とは

お読みいただきありがとうございます。


誤解の無いようあらかじめ申し上げておきます。

この話はフィクションです。


似たような部や課があったとしても、あくまでもフェイクですからね!


 明日は平日というか、まだ週始まったばっか。

 2時間くらいで迷宮を荒らし回る。

 安全地帯があるのでそこでログアウト予定。


「行くよ」

「「「はい!」」」

「ニャン!」


 ウメまでやる気満々。

 巨大化できるんだし、この子も戦えるはず。

 出てきたネズミやゴブリンを蹴散らして進む。


「背後は任せる!ウメ、ついてきな!」


 フロアボスらしき赤いゴブリン。

 ギャアギャア言い出した瞬間には背後を取っている。

 延髄への全力の一撃。


「ギョヘ!」


 床にたたき付けられた赤いゴブリンはあっさり光の粒子に変わる。

 下層への階段が現れたのを確認して下へ。

 正味十五分間程度。


 地下2Fから敵にスライムが加わった。

 魔法で潰すか、浸透勁で粉砕するか、だ。


 …


 10Fでアラーム。

 安全地帯手前だったので、安全地帯の泉の傍でログアウト。

 素材は雑魚のものばかり。

 明日はここで生産スキルのレベルアップをしよう。


※※※※


 マスタールームでは加苅雪がアリスの暴走の尻尾をつかもうと躍起になっていた。


「見つけた!ドロップ率の不正操作!」


 迷宮内のとある魔物のアイテムドロップ率を、管理者権限で不正操作し、大幅に上昇している。

 モンスター担当部署に通報し、管理者権限への強制コードを受け取った。


「見てなさい。吠え面かかせてやるから」


 正義と信じることを成し遂げようと加苅雪は動く。

 それが虎どころか古龍の尾を全力で踏みつけることだと知らずに。


※※※※


 会長のお供で某官庁へ。

 まだ速記などできないのでICレコーダー使用中。

 ここの副大臣は、爺様と悪友だった。

 私が中学の頃、よく酒持参で遊びに来て夜遅くまで爺様と猥談で盛り上がっていた。

 その度に私に睨まれて謝るが、忙しくて来られなくなるまで結局その悪癖は直らなかった。


(元気でやっているかな?)


 写真でしか見なくなったが、頭もずいぶん白く、薄くなった。


「しかし、当節何かと物入りでしてね。予算を削られてこちらも青息吐息ですよ」

「ははは、どこも同じですな」

「ええ、全く。進藤先生の応援もままなりませんよ」


 ピンと来た。

 この木っ端役人、賄賂要求か。

 ICレコーダーって本当便利。


「会長…」


 黙って首を横に振る会長。

 すぐにスマホを操作して、コール。

 マイクをつなぎ、相手が出たのを確認して敢えて口を挟む。

 狩りの、時間だ。


「こちらの作法を存じ上げませんのでご教授をお願いします。どのような意味なのでしょうか」


 賄賂課長が呆れたように言う。


「これだから空気の読めない馬鹿女は…いいかね?地獄の沙汰も何とやらと言うだろう?」


 わざととぼける。

 大根役者は自覚している。

 かかってくれよ?


「申し訳ありません。何でしたでしょうか」

「金次第だ!権藤商事さん、こんな気の利かない女を秘書にしているのかね?」


 釣れた!

 大物だ!


「申し訳ありません。いかほど必要でしょうか?」


 会長ェ…


「少なくとも億単位でもらわないと、便宜は図れないよ?」


 そろそろいいか。

 スマホから怒りの声が聞こえてきている。

 私はニヤリと笑って立ち上がり、マイクに話しかける。


「鉄さん、聞こえてた?」

『おう。どこだそこは』

「鉄さんの勤務先の事業統括部振興課長室。今のは課長さん」

『まっとれ。5分で行く』

「はーい」


 電話を終えた私を、木っ端役人が怒鳴りつけた。


「秘書が勝手に電話するとか、何て礼儀知らずだ!」

「高崎、いくら何でも失礼だぞ!」


 多数の人の気配。

 来たかな。


「ご冗談を。贈賄強制されて唯唯諾諾と渡せるものですか。ここは日本。法治国家ですよ。不正は正さないと」


 課長室のドアが静かに開いた。


「何を青臭い!こういう蜜月も必要なんだよ!」


 仁王立ちした副大臣の顔がまさしく仁王のように!


「そうなんですか?原田鉄雄副大臣」

「誰が……うひょえ!?」


 振り向いた賄賂課長は奇声を上げて固まった。


「そんなわけがない。官は襟を正して業務に邁進せねばならん。この馬鹿課長を連れて行け」


 地の底から噴き出すような低い声。 

 後ろから本職ヤの人顔負けのコワモテが数人出て来て時代錯誤の阿呆を連行していった。

 

「本当、部下の躾がなってないんじゃないの、鉄さん?」

「勘弁してくれよう百合ちゃん。権藤の会長さんも、見苦しいところを、本当申し訳ない」


 いきなりあの頃のおっちゃんに戻って気安く話す鉄さん。


「まさか、この件で取引切らないよね?」

「逆だ逆。清廉潔白な権藤商事とは、安心して付き合っていけるってもんだ」

「ならよかった。」

「あいつが亡くなってから顔見てなかったけど、権藤商事さんにいたんだな。元気そうでよかったよ」

「副大臣、お時間が…」

「あ!大臣報告が!」

「あ、待って」


 レコーダーのデータコピーが終わったので、SDカードを渡しておく。


「さっきの一部始終、録音してあるから」

「おお、助かる!じゃ、またな!結婚式挙げるなら呼んでくれよ!」


 バタバタと走っていく鉄さん。


「…高崎、わしより顔が広くないか?」


 会長はため息をついて私を睨む。


「そんなことはありませんよ。爺様関係だけです」

「何にせよ、いろいろ助かった。ありがとう」

「できることをしたまでです。途中失礼な真似、申し訳ありませんでした」

 

 その後別の官庁にも行ったが、こちらはスムーズに終わった。


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