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今更ながら、召喚師デビュー!  作者: 古澤深尋
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諦めの境地(運営)

お読みいただきありがとうございます。

 えー、マイルームに引き籠もって内装をいじり倒していたユラです。

 素材が足りなくなりまして、採集に来てるんてすよ、ハハ。


 …やめよう、むなしい。

 掲示板情報で廃鉱山の情報仕入れた私はリルとミミに戦わせつつ採掘をしようと目論んでいた。

 エルバル廃鉱山と銘打たれたそこにはアンデッドしか出ず、素材も骨と破損武具、ぼろ布くらい。

 で、アインに生産ギルドが出来るまでは鉱石類は掘っても二束三文(私以外)。

 つまり、不人気。

 というわけで来てみたのだが。


「お姉ちゃん、大丈夫?」

「だだだだ大丈夫ぶぶぶ……」


 ガチガチガチ、と歯が音を立ててしまうほど震えているリル。

 全然大丈夫じゃない。

 全くダメ。


「下がってなさい。ここは私に任せて。」

「おおおかあささささまままま」


 何か私が悪いことをした気分になってきた。

 ちょっと様子見だけして帰ろう。

 廃鉱山の広場に一歩入った瞬間それはきた。


《該当ジョブのエルバル廃鉱山への進入を確認。プレイヤー『ユラ』にクエスト『死者の嘆き』が解放されます。》


 アナウンスの瞬間、私のスイッチが切り替わった。


※※※※


「またかいな。」


 マスタールームでのため息はお約束のようだ。


※※※※


《隠しボス『堕死神ウルフェーズ』を倒しました!》

《個体初討伐報酬:ドゥームウェポンを手に入れた!》

《ソロ討伐報酬:該当ジョブにつき、『堕死神ウルフェーズ』と敵対関係にあった『癒しの女神サワメ』を戦闘時召喚可能になりました!》

《特殊個体討伐報酬:調教スキルを手に入れた!》

《指定条件クリア報酬:クエスト受領後ウルフェーズ討伐まで一日以内を達成されたので、成績に応じ報酬が支給されます。条件を検索、聖衣ミカエルが受け取れます。アイテムボックスに送られました。成績:1秒》

《格上討伐報酬:称号【天下無双】は既に保有しています。》

《堕神種討伐報酬:称号【使徒】を手に入れた!》

《一撃討伐報酬:死神のマントを手に入れた!》

《経験値1を手に入れた!》

《132万ミルを手に入れた!》

《レアドロップ!『嘆きの乙女』を手に入れた!》

《クエスト『死者の嘆き』をクリアしました!クリア報酬『エリクサー』を手に入れた!》


「なんかさ…」

「はい。」

「勝手にクエストクリアになったんだけど。」

「はい…」

「それと、ものすごい数の戦利品が転がり込んで来てる。」

「はあ。」

「どうも、廃鉱山の中の敵、一瞬で全滅したっぽい。」

「あはは…」


 一度最深部まで行って見ることになった。

 お化けがいないのなら怖くないらしい。

 採掘ポイントを漁りつつ一番奥へ。


「ここは…」


 怪しい魔法陣。

 岩盤にしっかり彫り込まれており、トリガーで発動するのだろう。

 掲示板情報にあったバトルフィールドはここから行くようだ。


「さっきの『嘆きの乙女』が使えるのか。どうする?」

「お化けじゃなければ、行けます!」


 口調はいいが、へたり込む寸前のリル。

 生まれたての子鹿のごとく足がカクカクである。

 不謹慎にもかわいいと思ってしまったのは内緒だ。


「お姉ちゃん…」


 ミミも心配そうだ。


「とりあえず、装備とスキルを…」


 聖衣ミカエルを装備。

 着脱は一瞬なので、娘達の前でストリップをせずに済む。


《ワールドアナウンス:大天使装備が解放されました。これより報酬や宝箱にリストが入ります。》


 ほう、そうした特典もあるのか。


《個人アナウンス:大天使装備を解放した報酬が付与されます。よい旅を。》

《光翼スキルを手に入れた!》


「光翼スキル?」

「えっ、お母様、光翼スキルを手に入れられたのですか?」


 リルがやたら驚いているな。


「うん。何か知ってる?」

「神人や真人の方が稀に保有していたスキルで、魔法で治せないような傷や毒でも治せたと聞いたことがあります。」

「へ~」


 説明にも同じようなことが書いてある。

 ただ、熟練度が上がると翼の枚数が増えるようだ。

 頑張っていて上げてみようかな。


「じゃあ、バトルフィールドに行ってみよう。」


 三人で魔法陣に立ち、『嘆きの乙女』に魔力を流すと魔法陣が反応し、私たちをバトルフィールドに送る。



 森の泉といった風情。

 中央に、髪を振り乱した女性がいる。

 

「速攻!」

「フェアリーガード!」

「狐火!」


 狐火が着弾した瞬間、女性が泣き叫ぶ。

 リルとミミが恐怖で動けなくなったのを見てスイッチが入った。

 

※※※※


 バトルフィールドに膨大な神気が満ちあふれ、恐怖が打ち払われる。

 背に二枚の光翼を広げた女性が、自分に突進してくる。

 見えていても動けない。

 (あー、終わったな自分)

 バンシーは冷静に自分の最期を悟った。


※※※※


 泣き女バンシー。

 人に不幸をもたらすと言われているが、不幸を察知して泣くことで教えてくれるともされ、精霊に分類される。

 うん、ちょっと加減できなくて光の粒子になっちゃったけど。

 というか、クリアしてからバンシーだって知ったけど。

 で、今現在私の目の前で絶賛土下座中。

 さめざめと泣きながら。

 ヤンデレだっけ?

 なんかそんな感じになりそうで怖いからね。

 できれば遠慮したい。


《バンシーが仲間になりたそうにこちらを見ている!仲間にしますか? はい/YES》


 …おい。












あ…バンシーの名前とか出してない。

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