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今更ながら、召喚師デビュー!  作者: 古澤深尋
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拠点開設

お読みいただきありがとうございます。

 ママだのお母様だの呼ばれている割に父親みたいな真似まで。

 ゲーム前の『妖精と戯れたい!』という野望はあまり達成できずに終わってしまった。

 その元妖精は、狐娘と手合わせ中。

 ミミの戦闘経験が足りないということで、冒険者ギルドの練習場に移動し、ひたすら戦わせている。

 まずは『戦う』ことに慣れさせる。


「そろそろ時間だし、行くよ」

「「はい!」」


 いい返事だ。

 しばらくしたら、私自身で相手をしてやろう。



 冒険者ギルドの受付でマイルームの契約の仕方を聞く。

 

 ① 権利書に自筆で署名

 ② 冒険者ギルド(どこでも可)で登録

 ③ ギルド内ルーム用ドアから移動可能

 ④ ルームから出る時は、希望の街のギルドに出られるが、一度訪れた街でなければ出られない


 なるほど、これは便利。

 早速登録。

 従魔や召喚獣は登録者のギルド一部と見なされ普通に通れるようだ。

 期待して中に入る。


「…」


 ショボーン、という擬音と顔文字が見えそうなくらい落ち込む。

 何もない。

 床はゴツゴツした石の床。

 窓はあるが、木枠のショボいやつ。

 壁は石を木の板で隠した程度。

 カーテンなど当然ない。

 テーブル、椅子、ソファー、ベッド、一切ない。


「これは内装工事在りきの物件ね」


 残りのログイン時間はマイルームの整備に当てよう。

 リルとミミに断って、内装工事することに。

 ここで先日手に入れた生産スキル群が大活躍。

 石の床をきれいに磨き上げ、テーブル等家具を置くところはフローリング床に。

 実際に大工や左官をする必要はなく、素材を使ってパズルゲームをする感覚で内装を仕上げていく。

 木工、細工、鍛冶が上がる上がる。


「時間切れ。続きはまた明日ね」


 キッチンや浴室、ランドリールームまである。

 これはやりがいがある。

 自宅の内装も、就職してからコツコツと私好みに変えてきたのだ。

 ログイン・ログアウトも便利になった。

 マイルームは完全な安全地帯。

 女神像まで行かなくて済む。


「じゃあまたね、二人とも」


 手を振ってログアウト。



 秘書課に顔を出すと、課全体が凍りつく。

 若い女性社員が私をじっと見たまま動かなくなっている。

 どうしたのだろう。

 課、と言っても、規模は小さい。

 課長、補佐、第一秘書係5名、第二秘書係4名。

 第二が4名なのは会長専属で、そこまで忙しくないからだとか。

「みんな勘違いしているのだけど、若くて綺麗というだけでは務まらないのよね」

 総務の影のボス、最古参の一般女性社員で秘書課長の三枝ちえみ女史が嬉しそうに言う。

「ある程度以上会社の業務を知っていて、男に媚びず、仕事がこなせる人って引く手あまたなのよ。会長と社長からのご指名で貴女を引き抜けたのは僥倖だわ」

「そうなんですか」 

 

 個人的には、定時で帰れないのは嫌なのだが。


「じゃあ業務は権藤さん、任せたわね」

「はい、課長」


 権藤の姐さんは秘書課長補佐。

 三枝女史は半年後定年退職のはずなので、そのままスライドするだろう。

 私は総合職で入社しているので、係長職を期待されていると推測する。

 なら、必要なことは、一日でも早く業務に習熟することだ。


 課員への紹介、業務内容の把握、使うパソコンの確認、データ把握、会長・社長の行動パターンの把握等、あっという間に半日が過ぎる。


「百合ちゃん、お昼一緒しない?」

「私外食ですが、大丈夫ですか?」

「社食にしましょう。いいよね?」

「大丈夫です」


 午後は営業課に戻って片付けと引き継ぎの続きだ。

 ランチプレート(小)580円也。

 弁当持参の方が節約できるか…

 通勤で鍛錬兼ねてるから微妙なんだよな~。

 振り回すと潰れちゃうし。

 普通の女性は通勤で鍛錬などしないという冷淡なツッコミは断固として認めない。


 私物の類は片付け終わり。

 業務データも類別整理終わり、個人データは打ち出して消去。

 残るは引き継ぎ。


「山中、私の後を引き継ぐってのに、この腑抜けた企画書は何?」

「はい!」

「目的がぼんやりしてる。期日も書いてない。採算の裏付けが弱い。関係部署の担当の名前がない。やり直し!」

「はい、済みません!」

「今週末までしか面倒見ないんだ。きちんとキメてみせな!」

「はい!」


 大丈夫だろうか。

 ちょっと心配になってきた。



はー、こんな『〇こでも〇ア』付きの素敵なお部屋が欲しい…

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