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今更ながら、召喚師デビュー!  作者: 古澤深尋
13/24

キラッ(物理)

やっと外に。

 リアルで後3時間ほど遊べる。

 そろそろ、外の世界も見てみたい。


「えー、ママとのんびりしていたいなぁ。」

「お母様、リルはいつでも出撃可能です。」


 反応が正反対だなぁ…


「ミミは、お外に出たくない?」

「別に~」


 ちょっと意地を張っているのかな?


「ママと一緒に、お出かけしない?」

「う~」


 なりは大人でも、中身はまだまだ子供ということか。

 

「いいよ。」


 ぽそっと返事するミミ。

 私はミミのあごに指をかけ、こちらを向かせて微笑む。


「無理しなくてもいいわ。高台や屋台街で遊ぶのも楽しいし。」

「…ママは、他の街に行きたいの?」

「そうね、ちょっとは興味あるわね。ミミのお洋服の素材も欲しいわね。いなり寿司よりおいしいものもあるかも知れないし。」


 ミミはしばらく迷っていたが、やがて教えてくれた。


「街の外には、怖い魔物がいるもの。」

《ランダムクエスト『狩る者、狩られる者』を受理しました。プレイヤー『ユラ』にアイン郊外でのイベント戦闘が解放されます。》


 あー、そういうことか。

 だが娘を脅えさせる輩は許さない。


※※※※


『グハハハハ!飛んで火に入る何とやら、だな!』

《イベント進行中につきプレイヤー行動が制限さ》


『バキン!』


《え?》


 動きにくかったが、捻ったら壊れたな。

 これで、教育(物理)できる。


 ドズン!


『ぶべっは!?』


 ん?

 見た目に反して軽かったな。

 飛んでいってしまった。


《…》  


※※※※


 アインの街の門番二人は、街の外に現れた大型の魔物が空を飛ぶのを目撃した。


「なあキック?」

「何だエッジ。」

「翼のない魔物でも、空を飛べるんだな。」

「馬鹿お前あれは、ぶっ飛ばされたん…だ…?」


 言いかけたセリフに戸惑い、口ごもるキック。

 ぶっ飛ばす?

 誰が?


※※※※


 マスタールームでも頭を抱える人たちがいた。

 

「イベントで硬直してたんじゃないのか!?」

「また一撃討伐だよあのリアルチート!」

「アリスとは別口でプログラム見直しだ!」


 イベント進行中の硬直を引き千切り、ドヤ顔で口上を宣うボスに強烈な一撃を見舞い、天高く打ち上げて一撃討伐を成し遂げた。

 あり得ない事態に監視チームがパニックに陥っている。


「アリスの動向は?」

「無反応ですわ。お姫様も呆れてるんちゃいますか?」

「そんなわけない。動向も監視して。」

 

 加苅雪はあきらめていない。

(アリスが介入しない限り、こんな事態があるわけない。)

 雪はじっとモニターを見つめていた。


※※※※


 周囲のギャラリーがうざったい。

 インスタンスエリアではなく、フィールド扱いだったため人が集まっていた。


「さ、行こうか。」

「はい。」

「はあい。」


 サーチ機能などないので素性ばれもないだろう。


「なあ、そいつらNPCだろう?どこで仲間にしたんだ?」


 何かしゃべっている輩がいるな。

 独り言とは、お友達がいないのだろうか?


「おい!おまえだ!」


 やかましいな。


「待てこの!」


《プレイヤーに対するハラスメント行為と認めます。被害者は自衛手段を取ることが認められました。》


 しつこい輩がエネミー表示の赤マークになったので。

 教育的指導(物理)!


 ゴシャ!


「ふに!」


 ん?当たり所が悪かったかな?

 変な声と共にそいつは虚空に消えた。

 遥か彼方でキラッと輝いたものがあったが、まさかそこまで飛んだのか?

 ギャラリーからは何の反応もない。


※※※※


 美女二人を連れた超絶イケメンプレイヤーがイベントボスとハラスメントプレイヤーを天高く打ち上げて花火に変えて立ち去った後、やっと他のプレイヤーが動き出せた。


「さっきの、何なんだ?」

「NPCじゃね?」

「演出だろ」


 否定の意見が多数出ていたが、それはあっさり覆された。


「あの人は君たちと同じ異邦人だよ。」

「そうそう。街から出たのは今日が初めてのはずさ。」


 教えてくれた門番の様子がやや虚ろだったのはスルーされたようだ。


『Lv1職業不詳プレイヤー、Lv60暗黒騎士を一撃KO!』


 停滞感が漂っていたヴィルナールサーガ・オンラインに動画とともに投下されたこの話題は、プレイヤー達の間に激震をもたらした。


 Lv1でも格上に勝てる。

 レベルが全てじゃない。


 そして、一部のプレイヤーには別の激震が走っていた。

 イケメン!

 美女NPC!

 謎ジョブ!


 なお、この時の動画がテクノクラーツの手によって公式ホームページにアップされ、物議を醸すのはもう少し後のことである。


※※※※





 




星になった人は普通に死に戻りしました。


感想でご指摘を頂きましたが、運営サイドの対応が(設定の関係もありますが)冗長過ぎて、当初の私の意図と乖離し始めています。

全体を見直して、大幅改稿するかもしれません。

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