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今更ながら、召喚師デビュー!  作者: 古澤深尋
10/24

百合無双

少し短めです。


 えー、現在懇親会兼送別会の現場です。

 開始から1時間しか経ってませんがすでにカオス。

 

 「姐さーん!」

 「秘書課なんか行っちゃやだー!」

 「高崎組の親分が…」


 ここに来て私再びモテ期到来。


 女子に。


 女性社員が私を取り囲んでさめざめと泣き、男性社員が近寄れない状態。

 

 うん、そんなことだろうと思った。

 中高大学と、下手な男よりも女子にモテて、一時期バレンタインのチョコの数が男子を大幅に上回る現象すらあった。

 175センチの長身に加え、やたら筋張った筋肉質の体でモデル体型ではあるものの、男子が引く男らしさを醸し出し、本気で告白してきた女子が数人いたのは苦い思い出。


「さすがイケメン…」

「ちっ、爆ぜろ…」


 聞こえてるぞ?


「美香まで…彼氏としてどうなんだこれ…」

「うう、昭島さんもそっちの人なの…?」


 一部男性社員からの恨み言も。

 なんか済まぬ。


 少し飲みたい気分だわ。




 気が付くと、自宅のベッドで目が覚めていた。

 …何があった?

 

 やっちまった…!?


※※※※


 私、山中英美は高崎主任の二期後輩で、入社当時から面倒を見てもらっています。

 この度、不定期ながら秘書課にご栄転されることになり、懇親会が送別会を兼ねることになりました。


「主任が…」

「嘘でしょ…」


 皆呆然となっています。

 それはそうでしょう。

 入社当時にオカマ呼ばわりした上司を張り倒し、お咎め無しで済んだ伝説を皮切りに、セクハラオヤジへの天誅、パワハラ上司の突然の休職等、数多の仕事人的活躍は、私達の希望だったのですから。

 え、本当にそんなことをしたのかって?

 さあ、どうでしょうか。

 でも、私を含めて信じています。


 私は、奇跡を見ました。

 送別会の席で、普段ほとんどお酒を飲まない先輩が、急に飲み始めてしばらく。


「うるっせえな」


 男性社員の聞こえよがしのぼやき?にいきなり絡んだ先輩。


「んなことウジウジ言ってるからモテないんだっての」

「な…」


 絡まれた男性社員は口をパクパクさせ、言い返せません。


「もっと毅然としやがれ。好きな女にコクるくらい、課長代理のハゲばらしくらいに簡単だろ?」


 あちこちで吹き出す社員達。

 勢いで被弾した課長代理は…まあ自業自得で。

 

「それとだなぁ…森下!」


 いつの間にか、入社二年目の大人しく可愛らしい男性社員のところにいます。


「好きな女がいるんじゃないのか」


 そこで耳元で何か囁くと、森下君が顔を輝かせて先輩に頭を下げました。


「いっひっひ、しくじるなよ」


 悪巧みの顔です。

 仕事の時にも見せる表情。

 あれは油断なりません。


「つーぎーはー」


 また急に移動しています。

 でも『先輩だから』で納得です!


「セクハラ常習者に~」


 課長代理の背後!

 どうやったらそうなるのか、課長代理がウイスキーの瓶を一気飲みしていました。

 直前まで隅でバカ達と猥談していたはずです。

 一瓶いってしまいました!

 バカ達が逃げようとしていましたが、先輩の一睨みでへたり込みました。

 

 「逃げるなよ?」

 「は、はいいいぃぃぃ!」


 ガクブルです。

 完全に先輩の貫禄勝ちです。

 男前過ぎです。

 最早『漢』!


「山中?」

「ひ、ひゃい!」

「なんか失礼なこと考えてないか…?」


 ヒイイィィ!

 いつの間に背後を!

 以前私もレディースでブイブイ言わせてたと思ってましたが、粋がってただけでした!

 例えるなら私がチワワ、先輩はフェンリルです!


「考えていません!敬愛するお姉様に、おかしなことは考えませんって!」


 私も生き延びるのに必死です。


「そういうことにしとこうか」


 心臓の鼓動がばっくんばっくんと、やけに大きく響きます。

 先輩はその後小物達に天誅を下し、時間一杯暴れ回って帰って行きました。


 また一つ、高崎百合の伝説が出来上がった日でした。

 




 


 

 

お読み頂きありがとうございます。

フィールドにバトルに出る前に、宴会場で無双。

もちろん、フィールドでも無双予定。

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