表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

クルクルの帽子

 「ワーイ!ワーイ!」

 子リスのクルクルは、とってもごきげん。

 なぜって?

 それは、クルクルの頭の上、ちょこんとのっかった小さくてかわいいまっ白なベレー帽。

 横っちょには、まっ赤なリボンのししゅう入り。

 クルクルのお母さんが、クルクルのために作ってくれた帽子です。

 クルクルは、うれしくてたまりません。

 森の広場で飛びはねていると、モン白蝶たちがやってきて、

 「かわいいね」

 「すごく、素敵よ」

 みんな、クルクルの帽子をほめてくれます。

 と、そこへ、ウサギのピョンピョンがやってきました。

 ピョンピョンも、まっ白なベレー帽をかぶっています。

 「ほら、見て、お母さんが作ってくれたんだよ」

 ピョンピョンはうれしそうに、長い耳をピンとたてます。

 それは、クルクルの帽子より少し大きめ・・・。

 クルクルは、走っておうちへ帰りました。

 

 次の日。

 クルクルは、また、まっ白なベレー帽をかぶっています。

 でも、それは、昨日のより、少し、かなり大きめ。

 クルクルの顔全部を、すっぽりとおおってしまっています。

 モン白蝶たちは、ちょっとびっくりー。

 でも、クルクルは、おおよろこびで森の広場で飛びはねています。

 と、そこへ、ゾウのドンドンがやってきました。

 ドンドンも、まっ白なベレー帽をかぶっています。

 「ほら、見てくれよ。お母さんが作ってくれたんだよ」

 ドンドンは、じまんげに長い鼻で帽子をかるくたたきます。

 それは、クルクルの帽子より、ずうっと大きめ・・・。

 クルクルは、また、走っておうちへ帰りました。

 

 次の日。

 「よいしょ、よいしょ」

 クルクルは、自分の体の何倍もある大きなベベレー帽を、両手で引っぱっています。

 モン白蝶たちは、おどろいて木陰にかくれます。

 「いいこと、クルクル。こんなに大きな帽子は、絶対に、かぶってはいけませんよ」

 お母さんは、クルクルに、きつく言いました。

 でも、クルクルは、かぶりたくてしかたりません。

 「えーい!よいしょ!」

 クルクルは、帽子の端っこを引っぱりあげると、中へ入りこみました。

 そのとたんー。

 パッターン!

 大きな音がして、まわりはまっ暗。

 クルクルは、帽子の中にとじこめられてしまいました。

 (どうしよう・・・)

 クルクルは、心細くなりました。

 こわくなりました。

 「ワーン!」

 クルクルは、大きな声で泣き出しました。

 「クルクル!クルクル!」

 木陰で見ていたモン白蝶たちが、クルクルのお母さんを、ピョンピョンを、ドンドンを、そして、森の仲間たちを呼んできました。

 「はやく、クルクルを助けなくちゃ」

 「よーし、せーの、よいしょっ!」

 バッターン!

 帽子が、ひっくり返りました。

 「お母さーん!」

 クルクルが、泣きながら、お母さんの胸に飛びこみます。

 お母さんは、リボンのししゅうが入った小さなベレー帽をクルクルの頭にかぶせると、

 「クルクルには、これがいちばん、にあうのよ」

 そう言ってニッコリ。

 「うん、ごめんなさい」

 クルクルもニッコリ。

 そして、大きくうなずきました。

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ