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夏休みの記憶  作者: 京忘
1/2

PM12:00 下校途中

「おーい、ひかる!」

夏も盛り、学校でのプール教室から帰る道すがら。突然大声で後ろから呼ばれた。

振り返れば、自分と同じ様に水泳バッグを持った少年が走って来た。隣りに来ると肩で息をする。

と、呼吸が調った途端に、

「まったく、親友のオレを置いて行くなんて酷いよ!」と言いながら、カバンをフルスイングし背に打ち付けて来た。水を含んだタオルや水着が入ったそれは、なかなか効いた。

「っ~…もぉ、たいやんのそーゆーのがぼくは嫌なんや!大体ぼくは、さっきプールで海パン脱がされたこと、まだ怒っとるんやで!?」

少年ーひかるは、ずり落ちた眼鏡を直しながら相手に抗議する。しかし相手の少年は、まるで意に介さず笑っていた。

「いやぁ、あれは悪気なんてなかったんだよ~?ただ、ぼくの華麗なクロールの手さばきが、たまたま前を通ったひかるの海パンに引っ掛かっただけで…あ痛たた!!?」

しれっと自分を讃えつつ言い訳する親友の鼻を摘み、引っ張るひかるの眼光は鋭い。

「た、い、ち?お前のせいでぼくがクラスメートの前でどんだけ大恥かいたと思ってんのん?愛しのめぐみちゃんからも変態に向けるような視線を刺されっ放しやったし。この責任、きっちりとってくれるんやろなぁ?」

「ーっひかる恐すぎ!背後にダークサイドが見える!こないだ映画で見たダース〇イダーみたいな呼吸もやめてくれぇ!悪かったぁ!!!」

彼の余りの怒り様に元凶である、太一は涙目と鼻声のコンボ付きで謝った。それで気がすんだのか、不意に顔を背けて、

「ー安田屋のみたらし」とだけ言った。鼻は摘んだままだが。

「!了解、購入するのであります。ひかる大尉!」と敬礼した。制裁は続行中なのであまり格好はつかなかったが。

それにひかるは笑み、着ている白い半袖の裾で顔を拭った。

「にしても暑いなぁ…つかたいやん、自分を褒めるのもたいがいにしぃ。それって¨じぼーじき¨って言うんやで?」胸を張って主張する彼に、太一は鼻で笑って(しつこい様だがつままれたまま)

「違うって。たしか、¨じこけんお¨だろ?」と言い、頬を引っ張る。

二人して適当な四文字熟語を主張し、言い争っていると


「ーそれを言うなら¨自画自賛¨」


二人は不意なため息含む正答に、振り返った。


真夏の日差しに焼かれたアスファルトの通学路を歩くのは、一人の少女。いや、まだ小学校にも上がらない様な小さな身体つきからして、女の子という形容がふさわしい。


身体つきは小さく、全体的にぷにぷにしたそれは決して太っているという訳では無い。

空にぽっかりと浮かぶ雲の様な、真っ白な肌。それにも負けず際立つ、純白のワンピース。

同色の麦藁帽子には、赤いリポンが一巻きしてある。髪は腰まであり、漆黒。

小さな足が包まれたシンプルなサンダル。まさに避暑地のお嬢様といったていに驚くのも束の間、



「何や、用でもあるんか?ー真白」



名前のごとく、空ける様な色の顔。二人が互いの顔の一部を引っ張りあったままなのを見て、くすりと彼女は笑った。そして、ゆっくりとかぶりを振る。

「ううん。ただ家に、いっくんが来たよ。お兄ちゃんとたいちゃんを探してる」

兄、ひかるの質問に答えた。それを聞いて二人は、

「!ーせや、今日やったな、あれ」

「ふふっ。いーも少しは待ってくれっつーの!」

一人は素直に、一人は皮肉で喜びを現す。




「真白ちゃんも来るか?」

「なぁに?」

太一の言葉に首を傾げる妹に、ひかるは笑って答えた。









「百物語」

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