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#033-2 友達

 


 妹は出かけるな早く行け、とでも言うように足をパタパタと動かしていた。


 そうやって催促されたからではなかったが、僕は早々に出かける事にした。ただ、家のドアを開けたら、目の前に予想もしてなかったヒトの姿が現れたのである。


「……わっ!」


「あ、バカ。お前がマゴマゴしているから。出てきちゃったじゃないかっ!」


「……モジモジしていたのは、君じゃないか。友達の家に来たぐらいで、何を照れているんだか」


「バカっ! そういう乙女の純情を言うんじゃないよっ!」


 人の家の前で話している二人を見て、僕は疲れたように呟いてしまった。


「……何してるの。カイナにカオリさん」


「あはははは」


「ふふ」


 そこに居たのは、空手の全国大会で優勝したカイナと、図書委員のカオリさんであった。丁度、ドアの前で立ち尽くしているようであった。


「それがさ、カイナの腕フェチ禁断症状が出てきたね。ジッとしていられないわ、尻尾を振ってるわ、涎を垂らすわで我慢できなくてね」


「ねぇよっ! そんな事はしてねぇーよっ!」


「あらあら、少年が学校に来なくて、勉強に手が付かなかったじゃない」


「それは前からだよっ! 分かってて言ってんじゃねーよっ!」


「……ふふ」


 2人のやりとりを見て、僕は再び微笑んでしまった。

 事件を通報した後、警察に何回も出向く必要があった。

 別に殺人の容疑が掛けられたわけではない。一応、殺人犯が崖から転落したのは、現場の足跡から判断されて事故死という断定はされている。ただ、社会的にあたえる影響が大きかったので、詳しく現場検証がしたいとの事だった。そのお陰で何日も学校を休むハメになってしまっていたのだ。

 どうやら、その事を2人は心配し、わざわざ尋ねて来てくれたみたいだった。


「……ありがとう、カイナにカオリさん」


「あははは」


「……気にするな、少年。それよりも、君は大丈夫なのかな?」


「ああ、一応ね」


 カオリさんからの質問に、僕は笑顔で答えられたと思う。ただ、やっぱりというか何というか。友達なのに全てを話せない事を後ろめたく感じていた。いま、この場で全てをさらけ出したい気持ちもあるが、それはできなかった。


「じゃあ、また学校でね」


「バイバーイ」


「うん、また」


 僕は2人に挨拶をして、今日の所は別れる事にした。初めはカラオケにでも行こうと誘われたのだが、明日から学校に行くという約束を取り付ける事で納得してもらっておいた。僕には、これから、どうしても行かなければならない所があったのだ。



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