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#033-1 友達

 

 

 かくして、今回の事件は幕を閉じる事になった。



 この街に隠れていた連続殺人犯チギライが死体となって発見されたのである。しかも、警察が住処に向かうと、夥しい殺人の証拠を直ぐに見つけていた。部屋の中は特殊なサランフィルムで囲まれており、ニオイや菌の繁殖を抑える清浄機が備え付けられていたのだ。切断された人間の部位を、業務用の冷蔵庫に分けて仕舞っていたようであった。


 その数、8人。


 重さにして、500キロ弱の肉塊だ。つまり、それだけ大量の解体作業が行われるも、市販されている道具で周囲には気がつかれないようにさせれていた。しかも、ネット上で他人から持て囃されたい、という幼児的な動機からである。この事実は、それなりに世間を騒がせ、情報データ交換ソフト『ファット』は監視を強めるという警察の発表がされたのだった。

 だが、それも長くは続かない。数日後には、もう別のニュースが取り沙汰される事になっていた。


「……一度、ネット上に広まったら、完璧に道具の規制なんて不可能だ。気持ち悪い事件だし、あれは変な人だったね、という結末で終わりかな。いわゆる、臭い物は蓋をして無視する、ってヤツ……か」


 僕はため息混じりに呟いた。

 案の定というか、何というか。

 自室にあるテレビの画面には、予想通りの光景が映っていた。例のマンションの住人が、挨拶もするマジメなヒトでした、という有り体のコメントをしていたのである。正直、簡単な挨拶ぐらいで他人の何が分かるというのだろう、そう僕は思っていた。


「……まあ、何でも良いか」


 僕は気怠そうにテレビを消した。

 自分の部屋から出て、キッチンに向かうと妹のナミに出会したのだった。ただ、ソファーの背もたれに白い生足を伸ばし、ネコの尻尾のように動かしていた。


「……あれぇ、お兄ちゃん、今日は警察に行かないの?」


「ああ。もう調書を取られたしね」


「ふぅん。そうなんだ」


「うん」


「……それで、あの死んだヒトは、どうなったの?」


「さあね。もう、この事件には関わりたくないんだよ」


「……分かった。もう聞かない」


 そう言うと妹は、またファッション雑誌に視線を戻していた。

 態度は普通だが今は以前のように、ヘンタイ兄さんが心配だ心配だ、という冗談は飛ばしてこない。本当に心配させるような事件に巻き込まれてしまったのだから、暫くお得意のネタは封印するつもりなのだろう。

 それが妹なりの優しさだと思うと、僕は少し微笑んでしまった。


「ありがとな」


「……ん」





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