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#029-1 ヒミツの殺人計画

 

 結論から言おう。

 

 僕らの殺人計画、第1段階めは成功した。まず、若い学生の男女がSM行為をしているようにしか見えない動画を、一部のネットにアップしたのだ。すると、ロダのダウンロード数が一瞬にして跳ね上がり、様々なコメントが『ファット』上で流れ出したのである。

 下記は抜粋である。


『うわ、コエー女に襲われてるよw』


『これでマジでSMなの? 鞭とか使って無いジャン』


『道具を使わないSMもあるんだよ童貞』


『こいつら学生服のままアップするなんて退学されるだろ』


『嫉妬乙www』


 などなど。

 やはり、性的な動画は、観衆の興味を引きやすいのだろう。中には学生服と部屋の大きさから学校を突き止めようと、検証wikiを作るヤツまでいる騒ぎになっていった。


『こんなのつまらないbyチギライ』


 ただ、自分は注目されたいけど他人が注目されるのは好きじゃない。そういう幼稚な性根を丸出しにしている連続殺人犯チギライは露骨に不機嫌を露わにしていた。


『これならAV見てる方がマシbyチギライ』


『どうせ業者のステマだ。それよりも、花の話をしようbyチギライ』


 など。

 来る日も来る日も、僕たちのSM動画に誹謗中傷を続けていた。やがて、『自分の方が凄い事を証明するbyチギライ』、そう言い出すまで時間は掛からなかった。無駄骨も多かったけど、いま僕たちは再び殺人犯を呼び出す事に成功したのだった。


「……この手の顕示欲が強すぎる人間は、自分が他人を見下しているつもりでも、最終的には他人から操られている事が多いのよね。ふふふふふふ」


 火蜜さんは冷たく笑った。

 そして、この世の中にあるルール、物理法則、人の心を、幼稚な犯罪者は都合の良いように解釈してしまうケースが多いと言っていた。特に、ネットの吹き溜まりには、その手の心に闇を抱えた輩が集いやすい。自分みたいなのは一人じゃないんだと分かりたいため、彼らは荒れ狂い続けていくのだと火蜜さんは言葉を続けていた。


「まあ、そんなのどうでも良いわよね。それより、君は本当に逃げ出さない覚悟はある?」


「……え」


「殺人の事よ」


「あ、はい……」


 火蜜さんの禍々しい瞳が射貫くも、僕は何とか冷静を保つ事ができた。


「犯人を殺せないのは良いのよ。最悪、殺人と死体の解体は私が一人でやるから。ただ問題なのは、土壇場で君が居なくなってしまう事よ。それだと2人の秘密が作れないでしょ。それだけが問題なのよ。私にしがみついてても良いから、何とか殺人に耐えてよね」


「……分かってます」


「ふふ。その言葉が聞けて良かったわ。それだけが心配だったの。後は、森の中に死体の一部を置いてきた瞬間を背後から殺すだけね。まさか命が狙われているとは考えていないだろうから、実行するのは簡単よ」


「……そして、問題は、死体の処理ですか」


「ええ、そうね。古今東西、最も犯罪者が頭を悩ませるのが死体の片付け方よ。特に今は科学捜査が進んでいるから、かなり困難になっているわ」


「ですね」


「主な方法は大きく分けて3つ。海、陸、解体になるわ。それぞれメリットとデメリットがある。まず、夏の海なら死体が消えるのは二週間ぐらいだけど、海流の動きは読めないし、観光の人も多いから発見される可能性もあるわ。最も偶発性の高い方法よ」


「……そうだね。そもそも学生は車もない。他人に隠したまま、死体を海まで運ぶ方法がないしね」


「続いて、陸の場合。埋めた場合は発見率が低くても、陸地は腐敗に時間が掛かるわ。薬品で細胞の分解を促進したとしても、骨まで消えるのに数年を要する場合もある。その間のアクシデント発生率が高い。しかも、警察が捜索した場合、土中に埋めても数メートルは掘らなきゃいけないし、土が盛り上がっていたら気がつかれる算段も高い。仮に石を敷き詰めて地中レーダ探査されないようにしても、今は三次元法で地中が立体化される事もあるわ。埋めてから間もなければ、最新のサーモグラフィーでも簡単に発見されてしまう。土と肉塊の温度は違うからね」


「……なるほど」


「更に、解体ね。これは長時間は使っても良い場所と道具、もしくは切り裂く腕力が必要になるわ。それに経済的に裕福か、特別なコネも必要ね。昔の事件で切断した後、トレイで流していた人がいるけど、冷たい下水口では腐敗の進行が遅い。例え、肉が鼠などに食べられたとしても、骨はしばらく残るでしょ。いま骨の中からDNAを取る新しい技術もあるし、できれば死体の欠片は残したくない」


「……けど、そうなると、僕たちは、どの方法を選ぶんです?」




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