#028-2 相手
「大丈夫、痛くしないから心配しないで。ちょっと裸にさせて、足を荒縄で固定して、手錠で腕を動けなくするだけよ」
「はぁ?」
「あと、ローションを塗りたくって彩りをつけ、ピンクの電動を敏感な部分に貼り付けて演出して、エビぞりにしたまま首輪と足首を鎖でつなぐのも良いわね」
「……は?」
「ああ、安心なさい。体に貼り付けるボンテージテープで毛は抜けないようになっているし、顔のラバーマスクで全部を隠すから誰だか分からないようになっているわ」
「……いや、そんな心配してないですよ」
「それともア○ルビーンズはソフト素材の3センチ間隔のヤツが良かった?」
「だから、そんな心配してないですって! それより、どうして、そんな真似をしなくちゃいけないんですか?」
火蜜さんはニヤリと笑った。
「相手は虫螻みたいに洞穴の奥に隠れているヤツよ。しかも、餌を見せても反応しないような臆病者よ。そういうのが穴から出てこないのなら、出てこざるおえない状況を作り出せばいいのよ。つまり、相手が最も大切にしたいと思っているモノを奪うのよ」
「連続殺人犯の大切なモノですか?」
「ズバリ、犯行の動機にもなっている観衆の興味ね」
「……興味」
「そう。それを奪う」
「……で、でも、どうやって」
「簡単な話しよ。人間の快楽は、最終的に殺人とレイプにたどり着くわ。その片方を殺人犯も利用している。なら、残されたもう半分を私達も利用するの。つまり、私達が性的な画像を公開し、刺激に飢えた観客達の興味を全て奪い取るのよ。それは、今まで神と持て囃されてきた犯人からすれば、耐え難い屈辱でしかないわ。まさに、信者から裏切られた教祖様、という気分になるでしょうね」
「……それは、そうかもしれませんけど」
「一度手に入れたプライドを、男性は簡単には捨てられない。遅かれ早かれ、殺人犯は栄光を取り戻すために、また死体閲覧の予告をするでしょうね」
「で、でも、だからって、どうして僕がSMプレーをするんですか。だいたい、そんな道具も部屋には置いて無いですし……」
と僕が言いかけたとき、火蜜さんは白い壁を強く叩いたのだ。すると、プシューという空気圧が抜ける音がして、平面の一部から隠し棚が現れたのである。僕が驚く暇もなく、火蜜さんはラバー製の鞭を取り出していた。
「秘密の道具を見えるところに置いておくワケないでしょ。隠してあるから意味がある。さあ、覚悟なさい」




