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#026-1 ヒミツの再会

 

 2人の関係を元に戻す、そう僕は決めた。

 

 そもそも最初からにして、歪な話しなのだ。この街に隠れている連続殺人犯をわざと見逃して、それを2人の共通の秘密にするなど有り得ない。このままだと、本当に口封じで殺されてしまうかもしれないのだ。2人が元の安全な生活に戻るため、僕は大切な友達である彼女を騙すと決めたのだった。

 そのこと自体に迷い事態はない。ただ、作戦を実行するに当たって、一つだけこなさなければならない最大の問題があった。


 ―――もう火蜜さんには、再び殺人犯と関わる利点がなかったのだ。


 僕と最も深い秘密を作るという歪な目的は、あの日、殺人犯を撃退した時点で完了しているといえるだろう。火蜜さんからすれば、これ以上の変化を望む必要がない。むしろ、犯人が逮捕されない期間が長ければ長いほど彼女は喜んでいるだろう。殺される危険よりも、僕との秘密を作る事を優先するヒトなのだから……。

 正直、火蜜さんの行動は読めないし、深く関わるのは危険な賭になるだろう。しかし、それでも普通の学生である僕だけで、隠れている犯人を捕まえられるワケもないのだ。つまり、一度でも犯人を見つけられた火蜜さんには、生き残るため今回の事件と再び関わってもらう必要があった。



「……その為の方法は1つしかないよなぁー。はぁ」


 と、僕は息を吐いていた。

 結果的に2人が元の生活に戻るには、騙すしかないという理屈は分かっている。ただ、どう自分を正当化しても、火蜜さんの信頼を裏切る事には変わりない。そのことを考えるだけで胸の奥がシクリと痛んでいた。先に裏切ってきたのは火蜜さんなのだが、僕も同じマネをするのは抵抗感が完全には拭えなかった。


「……あら、そんな暗い顔してどうしたの?」


 放課後、僕が校門で待っていると、そう言って彼女は姿を現した。暗い笑みを浮かべ、清楚で妖艶という相反する立ち振る舞い。肌が異様に白いので、きっと和服を着たら栄える事だろう。そのスラリとした細い腕で顎を撫でられ、その生々しい足の先を舐めていたのかと思うと少し鼓動が早くなっていた。妖艶だからではない。今までの経験を全て思い出し、つい口の中が苦くなっている感じがしたからだった。


「……火蜜さんを待っていたんですよ」


 本当は彼女と対面するだけで少し怖い。しかし、僕は感情を噛み殺し、できる限り普通に話し掛けていた。


「ふぅん。どういう風の吹き回しかしら。今まで、そんな事なんかしたこと無いのに」


「そうだね。ただ、少し話したい、と思って……」


「イヤよ。私は話す事なんか無いわ」


「え」



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