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『火蜜 宛先のない下書きの保存メール』
あの日のことが私は忘れられない。
ただ、真っ黒い顔をした影達に囲まれて、押しつぶされそうになっていた。ただ、何もできず、足下で小さく震えていた。ただ、早くこの瞬間が終わって欲しいと、カミサマにお願いをしていた。
幼い私はジッと耐えたていた。
だって、あの人が秘密にしろと言ったのだ。
そうするしかない。
だから、私は必死に口を閉じようとしていた。でも、影は入り込んでくる。強引に私の口を開き、舌を引っ張り、声を絞り出したのだ。本当は黙っていたかったのに、私からあの人との秘密を奪ったのだ。泣こうが、喚こうが、謝ろうが、影達は気にしなかった。
私は秘密をバラした事を激しく後悔する。
ただ、同時に、これで楽になる、そう感じている私もいた。影達から追い詰められるという苦しい状況が終わって、逃れられた事をベッドの中で安堵していた。暖かい布団にくるまり、早く夜が明ける事を願ったのだ。
あぁ。
なんて、愚かなのだろうか。
私は、なんという大馬鹿モノなのだろうか。
一片の虫螻にすら劣る畜生じゃないか。
ただ、あの日、私は暢気に寝ていたのだ。
弟が××××された日。
あの日から、私は床で寝ている。
もう、ベッドで目を瞑る事ができなくなっていた。
私はあの日のことが忘れられない。




