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#019-2 ヒミツの作戦

 

 火蜜さんの危険な作戦を聞かされたのは、ほんの一時間前である。


 何でも、しばらく学校を休んでいた間に、ネット上で連続殺人犯を挑発し続けていた。ネチネチと、遠回りに、下から、持ち上げるように、決して攻撃的にはならず、褒めるようにけなす。犯人の自尊心を、火蜜さんは少しずつ傷つけていった。


 そして、今朝、とうとう我慢できずに彼はキレたのだ。『そこまでバカにするのなら、今日私の残している花の一部を見てくれ。私は本当にしている。これで、君も私の能力に納得できるはずだ。byチギライ』というコメントを、IP追跡できないp2p系ソフトの『ファット』上に残したのである。


 花というのは彼の隠語であり、死体の一部を閲覧させるとチギライが予告してきたのだった。それは普通なら不可解な行動ではあるが、観客に褒められたい連続殺人鬼ならあり得る話しではあった。

 ただ、問題なのは、そのタイミングだ。


「……本当に今日、犯人は死体の一部を持ってくる来るんですかね。僕たちが見逃して、もう本当は置いて行った後なんじゃないんですか」


 と、僕は疑問を尋ねていた。

 あくまでも、殺人犯が死体を持ってきた所を警察に通報するのが今宵の作戦である。夕方から茂みの中で待機しているのに、一向に現れない殺人犯に対して僕は苛立ちを感じていた。いや、不安と言うべきなのだろうか。真っ暗な世界の中で一瞬でも見逃したら作戦は失敗する、という緊張感から喉がカラカラに乾いていたのだった。

 しかし、反対に火蜜さんの顔は穏やかであった。


「安心しなさいよ。だって、隠れている森の近くには私達の学校があるでしょ」


「ええ」


「でも、朝はコメントを書いたばかりだから不可能だし、昼から夕方に掛けては人通りが多い場所になるわ。どう考えても人知れず閲覧場所に置くのは夜になる。だから、夕方頃から待機している私達よりも早いなんて有り得ないわ」


「……でも、遅くないですか。ケッコー時間が経ってますし」


「そんなに直ぐ来ないわ。相手は人の気配に敏感な爬虫類なんだから、持久戦になるのを覚悟しなさいよ。それと、時間が気になるのは仕方ないけど、絶対に携帯で確認しないでよね。暗闇だとディスプレイの明かりは目立つから」


「……はぁ」


 僕はため息が漏れていた。

 そりゃ、何時間も茂みの中で座り込み、だまり続けているのだから辛いに決まってる。学校のつまらない授業の方がまだマシに感じるぐらいだった。来るなら来る、来ないなら来ない、もうどっちでも良いからハッキリしてくれよ、そう僕は思った。


 ―――その時だ。



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