#013-2 ヒミツのカオリ
僕は調べ物をしに来た。
この街に連続殺人犯が隠れていると、ある女性は核心的に言っていた。それが正しいとするならば、何かしらの事件が過去の新聞に載っているのではないかと思ったのだ。
むろん、警察やマスコミが殺人鬼に気がついてないのだから、かなり小さい事件ではあるだろう。ただ、それでも、複数の人間が消えているのなら、きっと誰かが記事にしている筈なのである。それを確かめるため今日は図書室まで足を運んだのであった。
がッ―――
3人で新聞を隈無く調べるも、結局は何も見つからなかった。
僕たちが住んでいる街は、大型ベットタウン。それなりに栄えているし、それなりに人口はあり、それなりに犯罪は発生している。しかし、連続殺人と呼べるような情報の欠片は全く存在しなかったのである。この街では分かりやすい事件しか起こってない、そう僕は結論づけた。
―――今までの経緯を纏めると。
どうして、森の中でヒトのユビを見つけられたのかは分かった。
どうして、彼女が危険を犯してまで森に行ったのも分かった。
しかし、どういう殺人事件が人知れずに発生しているのか、それを火蜜さんは話してくれなかったのだ。一応、これから説明してくれるという約束はしているのだが、全てを明かしてくれるのか僕は疑問に感じていた。本人は深い秘密を望むも、謎が全て消えてしまうと秘密性が薄れる、そう考えているフシがあるような気がしていた。
謎に強い光を当てすぎると、秘密は塵となって消えてしまう。
それを火蜜さんが望むはずもない、そう僕は思ったのだ。
「……今日は2人とも、ありがとうね」
これ以上、図書室で調べる事はなくなった。
ムダな努力に疲労感を感じつつも、僕はカイナとカオリさんに感謝を述べていた。連続殺人鬼の存在を隠し、何か変な事件は無いかと協力して貰ったのである。普通なら、そんなあやふやな調べ物なんて手伝ってはくれないだろう。
良いヤツらだよな、そう僕は本当に思った。
まあ、カイナには腕を好きにする権利、カオリさんには僕の体をクンクンする権利が実行されたけどね。それでも、良いヤツには変わりないだろう。もう一度だけ心の中で感謝し、僕らは帰路についたのだった。
スッ―――
家路の途中、交番前に置かれていた看板に、つい僕は目を向けてしまった。そこには、事故はゼロ、事件による死亡すらも今月ゼロ件と書かれていたのだった。本当に、この街は平和そのものなのだ。
改めて僕は思う。
真実なんてモノは、けっこう単純なモノで……。
本当は、この平和な街に連続殺人鬼なんか存在しないんじゃないかと。
全ては火蜜さんの妄想なのではないかと。
ホームレスから襲われはしたけど、偶々なんじゃないかと。
沈みゆく赤黒い夕日を見つつ、そう僕は思ったのだった。




