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#011-3 ヒミツの誓い

 

「あの、聞きたい事があるんですが……」


 僕は、だからこそ核心的に疑問だったことを、美しい彼女に尋ねる事にしたのだった。


「なに?」


「……それだけ自分の安全に気遣っている火蜜ひみつさんが、どうして自ら連続殺人犯がいたかもしれない所に行ったんですか?」


「それは、さっき説明したじゃない」


「ええ。でも、僕が聞かされたのは、どうやって殺人犯を見つけたか、であって、どうして貴方が現場に向かったのか、は聞いてないですよ。向かった理由の説明だけ、上手くはぐらかしましたよね、火蜜さんは」


 と、僕が静かに言った。

 できる限り感情を殺し、淀みなく口を開いた。心の中の全てをぶちまけてしまうと、奥に隠している不安やら色々な感情まで吹き出しそうだったから……。


 ニヤリ―――


 僕が質問すると、火蜜さんはサディストの笑みを浮かべたのだ。


「ふふふ。よく、その要点に気がついたわね。やるじゃない。少しずつ、君との秘密を増やしていくつもりだったのに」


「……どうなんですか?」


「ふふ。簡単な話よ。私は、連続殺人犯がネット上で自分の犯罪を自慢している事に気がついたわ。それこそ世間の目から逃れ、ある種の人間達と秘密を積み重ねていた。この街で、一番大きくて、深くて、濃い秘密をトモダチと共有していた」


「共有ですか……」


「そう。―――それが私には許せないのよ」


「え」


「妬ましくて仕方ない。これほど、他人を恨んだことはない。魂が引きはがされそうなぐらい、悔しくて仕方なかったわ。私よりも凄い秘密を作るなんて許せるはずもない」


「……え?」


「ふふふふふふふ。だから、私は犯人の隠し事を盗みに行ったの。だから、私はヒトの指を持ち帰りたかったの。だから、私は殺人犯の秘密をぶちこわそうと思ったのよ。だって、そうすれば、犯人は秘密をトモダチと共有できなくなるでしょ」


 だから、だから、だから。


 そう何度も自閉症患者のように繰り返し、火蜜さんは妖艶に笑っていた。


 ―――ゾゾゾゾゾゾゾゾ。


 次の瞬間、僕は血の気が引いていた。見てはいけないモノ見て、知ってはいけないものを知って、感じてはいけないモノを感じていたのだった。



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