#011-1 ヒミツの誓い
幸運ってヤツは続かないのに、不幸ってヤツは重なるモノで……。
最悪な状況は、いつだって急にやってくる。
こっちは何も悪いことをしてないのに、神さまってヤツは強引に押しつけてくるんだ。しかも、不幸が平等に与えられるのなら納得もできるが、大抵はごく一部の人間だけを狙い澄ましている。
納得なんて、中々できる訳もない。
ただ、だからといって他人を憎んでも、キリがないのも事実だろう。不平等だと世間に訴えるような度胸もないし、何かをするような勇気もないし、世の中を恨んでも仕方ない。
そんなの時間の無駄だから、自分の生まれ持った不幸を認めて小さな幸せの中で生きる方がずっと楽だ、そう僕は考えてきた。いや、そう信じなければ、やってこれなかったという方が正しいのかもしれない。
だが、そんな僕でも、これだけは無い、と痛感していたのだ。
「……どうして連続殺人犯が、ぼ、僕を殺そうと―――」
そう呟き掛けた所で、僕の口が止まってしまう。全てを話してしまえば、それを認めてしまったかのような気がしたのかもしれない。どうしても、口から次の言葉が出てこなかったのであった。
すると、対面の椅子に座してた火蜜さんが変わりに口を開いていた。
「ふふ、納得できないのね」
「……はい」
「でも、冷静に考えてもみなさい。まず、この街にヒトの死体を予告展示している闇の人間が居るわ。いえ、それが今は信じられなくても良い。ただ、少なくてもヒトの指を森の中に置いた人が居るのは確かでしょ。しかも、それを私達が発見した後に隠した人間が居る」
「……ええ」
「そして、君は消えた死体の一部を見た直後に、殺されそうになったのよ。この2つが重なったのを偶然と考えるには、あまりにも都合が良すぎると思わないかしら。君を殺す動機が、その時にできたと考えるべきじゃない」
「あ」
「―――そして、ここまでの仮定を正しいと判断するのなら、あの時、あの場所に、犯人も居合わせたと結論づけるのが妥当になるわ。この意味が分かる?」
「……はい」
僕は項垂れていた。
要するに、火蜜さんは目撃者の抹殺を狙ってきたのではないか、と言っているのだ。それは確かにありえるかもしれない、そう僕も思った。いや、一番初めに気がつくべき起こってはいけない最悪のケースだった。
もしかしたら、それを認識するのがイヤで、自分の脳みそは、嫌な答えにたどり着かないようにしていたのかもしれない。




