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#010-1 ヒミツの正体

 その家の扉を開いたとき、僕は固まってしまった。


 目の前に1人の美女が立っていたのだ。

 足のつま先から顔まで、全身の艶やかな肌を白く光らせている。小ぶりで丸いお尻がポンッと可愛らしく上を向き、胸の辺りが片手で隠せるぐらいに膨らんでいる。その中央には薄紅色の丸が微かに滲み、すらりとした太ももの隙間からは淫靡な香りが漂っていた。白い首筋、胸元、おへそ、そして下へと一滴の水がツツーと流れ落ちていった。


「あら、もう戻ってきたの?」


 シャワーでも浴びていたらしい。

 濡れている長い黒髪をタオルで拭きながら、そう火蜜ひみつさんが裸のまま話し掛けてきたのだ。しかも、甘い匂いがするほど、近い距離で僕の前に立っている。ゴクリと僕は思わず唾を飲み込むが、火蜜さんは男の熱い視線を涼しい顔で受け止めていたのであった。


「あ、あの……」


「ふふふ。もしかして、明日の学校まで我慢できないぐらい、我慢ができなかったの。どうしても、私の足に舌を這わせたかったのかしら」


「って、違いますよッ! そこまで変態じゃありませんって」


「本当かしら。オソウジしたくてしたくて、夜も眠れないぐらいに興奮しちゃったんじゃないの。イヤらしい少年ね」


「……性欲しかない中二男子みたいな言い方しないでくださいよ」


「ふふふ。まだ、視線をそらさない少年が何を言ってるのよ」


 火蜜さんはクスリと笑った。

 その言葉でハッとした僕は、大あわてで後ろを振り向いたのである。今更だが、殺されそうになった時とは別の意味でドクンドクンと胸の鼓動が跳ね上がっていた。もう、さっきの光景は一生忘れられないだろう。制服姿しか見たことがなかった同級生の裸は何か奇妙なぐらい生々しく、一瞬で脳の奥に焼き付いていた。

 って、こんなの変態じゃないか、そう僕は直ぐにハッとした。そして、背を向けたまま、深々と頭を下げたのであった。


「すいません。ごめんなさい、本当にゴメン」


「ふふ」


「とにかく、何か着てください。いや、あの、その、その前に夜遅く押しかけてごめんなさいというか……」


「そんなに慌てないで良いのよ。何も私のことを押し倒そうというワケじゃないんでしょ。とりあえず、さっき座っていたところで待っていてくれるかしら」


「あ……はい」


 火蜜さんは怒ることもなく、どこかの部屋に入っていた。そして、バタンと扉を閉めた所で僕はフーと深いため息を吐いたのだった。相手は気にした様子もなかったが、何か凄く悪いことをしたような暗い気分になってしまっていたのだ。




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