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『連続殺人犯の手記 ー犯罪が露呈した過程ー』
和訳輸入版 P18 4行目より抜粋。
私は自分の血が嫌いだった。
これは、完璧な両親のことを指しているわけではない。精神的、また遺伝的な意味での繋がりではなく、偶然の産物による成分的な意味での話しである。私は物心ついた頃から、体の中に違和感がしていた。まるで、全ての血液が抜かれ後、代わりにコールタールのようなどす黒いモノを流し込まれたように思えて仕方なかったのだった。
どうして私だけが、こんな酷い目にあう。
両親は神のように完璧なのに、どうして、こんな薄汚れた血が私だけに流れているのだろうか。ずっと、私は納得ができなかった。だから、まずエタノールで腕を消毒し、そこにカッターの切っ先を差し込んで肉を削ぎ、浮き上がってきた血管をルーペで眺めるという確認行為を繰り返した。そうすれば、何かが見える気がしていた。光りで照らし、薄くすることで血の中に何が流れているのか分かる気がしていたのだ。それを、どうしても自分の目で確認したかった。
話しが少し逸れるが、この行為を止めたのは小学生の時である。
何度も確認しすぎたせいで身体測定をした医者に傷が見つかってしまい、両親から虐待されているのだと疑われてしまったのだ。幸い、この時は私がミスをしたという結論に落ち着くも、幼心にも迷惑を掛けたなと感じていた。以後、似たような事がないように、皮膚を掘るのは服で隠せる所に、必ず傷の治療を行うように、他人に発見される可能性があるのなら事前に自分で怪我をすることにしたのだった。
完璧な両親に、幼年期の迷惑を心から反省していると、ここに明記したい。
さて、話を戻す。
いや、待ってくれ。戻すとしても、どの辺りからが良いのだろうか。たった数行戻れば、どこまで書いたのか思い出せるのだが、今の私にはそれが億劫でしかたなかった。吐き出すのは簡単なのだが、それを正すことの労力は2倍にも3倍にも感じられる。ああ、正しさっていうのは、なんて面倒なんだ。
まあ、とりあえず、いま思い出したいところからにしよう。
自分の血が嫌いと思っていた私が、変化したところから始めようか。あれは、8番目の殺人の後だ。この私の感情を理解してもらえそうな、黒髪の少女と出会ったところから。




