第12話 選択
「考えるんだ……今の俺にできる最善手を」
俺は必死に思考のギアを回す。
選択肢2の「何もしない」、これは論外だろう。
Cランク冒険者……。
それがどれほどの強さか正確には分からないが、今の俺たちが推定Dランクパーティにギリギリで勝ったことを考えれば、遭遇=死確定だろう。
つまり、実質的な選択肢は「1」しかない。
「『深海の塔』……か」
名前からして、ロクな場所じゃなさそうだ。
だが、「挑む」という言葉には、リスクと同時にリターンの匂いもする。
深海の塔に行って、ダンジョン攻略でもするのだろうか。
確かに、現状の戦力じゃジリ貧なのは間違いない。
なんでもいい。
何か、状況をひっくり返す切り札を手に入れる必要がある。
俺は震える指で画面を操作し、現在の資産を確認する。
レベルアップボーナスと、冒険者たちを殺した分のポイント。
画面右上の表示は『290DP』。
ここに来たときは100DPだったので、約3倍に増えた。
まずはレベルアップの恩恵を確かめよう。
これがゲームようなものだとしたら、必ずなにかあるはずだ。
俺は『召喚』アイコンをタップした。
レベル2になったことで、新しい魔物が増えているかもしれない。
画面が表示される。
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・スライム:E(5 DP)
・ゴブリン:E(10 DP)
・コボルト:E(15 DP)
【NEW】
・ジャイアントバット:E(20 DP)
・スケルトン:E(30DP)
・ポイズンモス:E(30 DP)
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「……おい、マジかよ」
俺は思わず天を仰ぐ。
追加されたのは、どれもEランクの魔物。
期待はしていなかったが、ため息が出る。
コウモリに、骸骨に、蛾?
俺はお化け屋敷を作りたいわけじゃないんだぞ!
ジャイアントバットには飛行能力があるだろうから、スライムよりも偵察に使えるかもしれない。
スケルトンは……骨か。
疲れを知らない兵隊としては優秀そうだが……。
戦士の大剣一振りで粉砕されるビジョンしか見えない。
ポイズンモス。
こいつは、状態異常攻撃持ちだろうか?
これは魅力的だが、効果が未知数だ。
どれも決定打には欠ける……。
俺はホブゴブリンを生み出した、魔物合成をタップしてみた。
しかし――。
『エラー:1日の上限回数を超えています』
なんだって!?
間違いなく俺の切り札であろう魔物合成は、どうやら1日に1回しかできない仕様らしい。
より考えて使わないとダメか……。
ため息交じりに、新機能の『ダンジョン構築』もチェックする。
俺は一度トップ画面に戻り、新たに追加されたアイコン『ダンジョン構築』をタップした。
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【ダンジョン構築】
・部屋を増やす(小):250 DP
・通路を作成(10m):50 DP
・罠(落とし穴):200 DP
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「部屋増設……250DP? 通路が10メートルで50DP?」
高すぎるだろ!!
思わずツッコミを入れた。
部屋一つ作るのに250DP?
持っているポイントのほとんどが吹き飛ぶじゃないか。
通路を作るだけで50DP……。
今のなけなしのDPを投じて小部屋を一つ作ったところで、戦況が変わるとは思えない。
現状の3部屋構造を変えるような大工事は、今の俺には不可能だ。
罠の「落とし穴」は魅力的だが、設置場所や深さなどの詳細が不明な上に、一度使ったら終わりだろう。
コスパが悪すぎるな。
完全に「待ち」の姿勢じゃ勝てないってことだ。
やっぱり、行くしかないのか。
『深海の塔』へ。
ほかにも端末内のメニューを調べたところ、ステータス画面に目が留まった。
まずは自分のステータスの変化だ。
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名前: ボンド
職業: ダンジョンマスター LV: 2
HP: 15/15(+5)
MP: 8/8(+3)
筋力: 4(+1)
魔力: 3(+1)
耐久: 4(+1)
俊敏: 4(+1)
運 : 11(+1)
【スキル】
魔物合成(LV:1)
【実績】
なし
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LVが上がったことで、ステータスが上がったようだ。
非力なのには変わりないが……。
そして、ステータス画面のタブに、『魔物』という項目が追加されていた。
俺は藁にもすがる思いで、そのタブを開く。
そこには、現在俺の配下にいる魔物のリストが表示されているようであった。
唯一生き残った――いや、生まれ変わった彼のデータがあった。
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【配下魔物リスト】
1.ホブゴブリン(個体名:なし)
ランク:D+
特性:【隊長】(統率力アップ・ステータス補正)
赤銅色の強靭な筋肉と、高い知能を併せ持つゴブリンの上位種。
本来は自然発生する魔物だが、この個体はダンジョンマスターの『憤怒』と、二体の小鬼の『献身』を触媒とした合成によって誕生した。
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