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居眠り卿とナルファスト継承戦争  作者: 中里勇史
悲劇の終わりと始まり

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ウィンの帰還 その1

 ウィン一行は帝都への帰途についた。アルテヴァーク戦が一段落するまで傭兵を雇いたいとレーネットが希望したため、監察使軍の傭兵の契約はワルフォガルで終了して、希望する者はナルファスト公国に引き継いだ。彼らはダウファディア要塞攻略戦に参加することになるだろう。


 ベルウェンとラゲルスも、傭兵を指揮するためにワルフォガルでウィンらと別れることになった。別れ際、ベルウェンは左眉をくいっと上げただけだった。それが彼流の挨拶なのだろう。


 今ウィンらと共にあるのはフォロブロンの家臣と士爵らで構成された500騎弱の騎兵のみだが、監察使の護衛としては十分過ぎる数である。


 「結局、宿営地に夜襲を仕掛けたのは誰なんでしょうか」とムトグラフはつぶやいた。そういえばそんなこともあったな、とフォロブロンは思い出した。色々あり過ぎて、ずいぶん昔のことのような気がする。


 「証拠はないけど、宮内伯あたりじゃないかな」


 「一体何のために?」


 フォロブロンとムトグラフの疑問が同調した。だんだん、ウィンに突っ込む頃合いが似てきた気がする。


 「夜襲を受けた。サインフェック副伯の紋章が落ちていた。普通なら、『これは怪しい。レーネット派の陰謀だろう』となる」


 「それもあからさま過ぎて、逆に怪しくありませんか」


 「実に怪しい。罠としては単純過ぎるよね」


 「それでは結局、どちらの陰謀なのか分からないではありませんか」


 「それでいいんだよ。スハロート派の仕業に見せかけたレーネット派の陰謀にも思えるし、それを逆手に取ったスハロート派の陰謀のようでもある。疑いだしたら切りがない。その結果どうなるかな?」


 フォロブロンが顎をさすりながら答えた。「我々は動きようがなくなるな」


 「そう、我々を動けなくするのが狙いさ。余程邪魔だったんだね」


 「なるほど、しかし……」


 「監察使はあろうことか、『サインフェック副伯に夜襲された』と言ってプルヴェントやリッテンホム城を占領しだした。仕掛けた連中は混乱しただろうね。監察使は馬鹿なのか、と」


 フォロブロンも常々、ウィンの頭はおかしいのではないかといぶかしんでいるので仕掛けた連中の気持ちは分からなくもない。ムトグラフも表情の選択に困っているようなので似たようなことを考えているのだろう。

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