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居眠り卿とナルファスト継承戦争  作者: 中里勇史
悲劇の終わりと始まり

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後始末 その2

 監察使陣営の自由な会話を、レーネットは羨ましそうに眺めていた。ナルファスト公国にはない風景がそこにあった。


 父は偉大過ぎて、家臣たちは父に従うだけだった。それが悪いことだとは思わないが、それとは違う形もあることを知った。


 話がやや脱線し過ぎたと感じたフォロブロンは、軌道修正を図った。


 「これからどうする。ダウファディア要塞に向かうのか」


 「いや、ロンセーク伯の軍も我々もかなりやられたしね。それよりアトルモウ城に行く。ルティアセス卿が協力してくれるさ」


 アトルモウ城主のルティアセスが呼び掛ければ、無血開城する可能性が高い。そこにはさまざまな謎の答えがあるはずだった。


 しかしウィンはずっと浮かない顔をしている。まだ先ほどの件を引きずっているのかとフォロブロンは心配したが、少し違うらしい。落ち込んでいるというより、何か嫌なことに耐えているようだ。


 「セレイス卿、どうした。何を恐れている?」


 「行けば分かるよ」


 だが、兵も馬も疲れ切っていたため、野営して休ませることにした。ウィンはほとんど口を利かず、夕食を取ると居眠り卿を決め込んだ。今日はアデンも現れなかった。


 「セレイス卿、様子がおかしいですね」と、ムトグラフが眉をひそめた。フォロブロンが覚えた違和感は、やはり気のせいではなかったようだ。それだけでなく、フォロブロンには気になることがあった。


 「そういえば、セレイス卿はサインフェック副伯を殺せと命じたとか?」


 「私も近くで聞いていました。あのときも少し様子が違ってましたね」とムトグラフがラゲルスに視線を送って続きを促す。


 「ロンセーク伯に殺させるくらいなら、監察使軍で始末を付ける方がましだと。あのとき何か吹っ切ったようでしたな」


 ベルウェンは初耳だったのか、ラゲルスの話を聞いて左眉を上げてから厳しい顔つきになった。だが何も言わなかった。


 翌朝、アトルモウ城主に向かって進軍を開始し、夕刻前に到着した。ルティアセスが城兵に呼び掛けると、予想通りあっさりと開城した。入城すると、ウィンはレーネット陣営と監察使陣営の主立ったものとルティアセスを広間に集めて全ての戸を閉ざした。


 「さて、ルティアセス卿。全てしゃべってもらうよ。まず、サインフェック副伯とデズロント卿……2人はまだ生きているのか?」


 その質問に真っ先に反応したのはレーネットだった。目を見開いてルティアセスを見つめた。


 「スハロートが……死んでいる?」

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