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居眠り卿とナルファスト継承戦争  作者: 中里勇史
帝国監察使

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リッテンホム城攻略 その4

 3番手にいた傭兵が溺れかけたフォロブロンに取り付き、背後からフォロブロンを支えた。案内役も鎖を再び握ることに成功したため、フォロブロンの手にかかる抵抗が減り、体勢を戻すことができた。


 水温は低く、長く漬かっていると体が麻痺してくるし意識が遠のく。急がないと城にたどり着けない。

 際どい場面はあったが、落伍者を出すことなく12人は城内に侵入し、水汲み場から城内に上がることに成功した。ほうぼうで人の気配はするが、深夜なので水汲み場には誰もいない。

 疲労をここで少し回復させてから、城門を窺う。城門の左右に1人ずつ、計2人の不寝番が立っている。

 「1人のはずじゃないのか」という言葉を飲み込む。言っても仕方がない。

 この2人をどうするか。12人で飛び掛かれば殺さずに制圧することは恐らく可能だが、声を出されたら他の城兵に気付かれる。手前の1人くらいなら何とかなるが、城門の反対側にいる1人も同時に襲撃しなければならない。念のため弓矢は持ってきたが、射殺してしまったら「人死を出さないように」というウィンの指示に背くことになる。

 そのとき、不寝番の1人がもう1人に何か言って、水汲み場に近づいてきた。

 「近づいてくるぞ」

 「気付かれたか」

 「どうする。殺るか?」

 「まて、慌てるな」とフォロブロンは制止したが、代案があるわけではない。このままでは騒ぎになる。


 そうしている間にも不寝番が近づいてくる。

 やるしかないか、とフォロブロンが短剣を抜きかけたとき、城門の外で誰かの声がした。その声に2人の不寝番の注意が向いた。話の内容までは聞こえないが、不寝番が声に釣られて1カ所に集まった。

 この隙を突いてフォロブロンらは一気に距離を詰め、2人の不寝番を取り押さえた。猿ぐつわをかませて縛り上げ、城門を開いた。

 城門がきしみを上げたため、それに気付いた不寝番たちが城門に集まってきたが、そのときにはベルウェンに指揮された200人が城内に侵入していた。不寝番は城門を守っていた2人と合わせて15人。200人の敵兵に戦意を喪失した15人は、抵抗することなく降伏した。残る35人も順次制圧に成功した。抵抗した数人にけがを負わせたものの、死者を出さずにリッテンホム城は陥落した。


 城門がなかなか開かないので、ベルウェンがデズロントの旧臣に城門の前で呼び掛けさせたのだ。「サインフェック副伯(スハロート)が急病」などと、でたらめなことを叫ばせたらしい。

 リッテンホム城に入城したウィンは、「やぁご苦労様」などと功労者たちを労いながらデズロントの居室に向かった。

 「デズロント卿が鍵を握っているとお考えなのですね」とアデンがウィンに問い掛けた。

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