城壁にて
「いやはや、まさか兵糧攻めを食らうとは思ってなかったね」
ウィンはわははと笑った。
「旦那、笑ってる場合じゃねぇでしょう」
ラゲルスもわははと笑った。
笑うしかなかった。数倍の敵軍に街の城門を封鎖され、ウィンたちは逃げることも打って出ることもできない。
ラゲルスは、寡兵を指揮して敵の強襲を辛うじて撃退している。それも、食料が残っている間のことだ。籠城戦になるなどとは夢にも思っていなかったから、食料の備蓄は少ない。食料が尽きたら、終わりだ。
なぜこんなことになったのか。
そもそもは、監察使の任務ではない仕事を皇帝に命じられたからだ。いやしかし、あの命令がなかったら……。
何にせよ、ここで餓死してしまったら元も子もない。
「いっそ、降伏しちゃおうか」
そう言いながらウィンが振り返ると、ラゲルスらが「お前は何を言っているんだ」という顔でウィンを見ていた。
どうやら降伏するのは無理らしい。
冗談を言っている間に、敵の攻城塔が近づいてきた。
「攻城塔だ。まったく、勤勉な連中だなぁ」
「まあ、戦争をやりたがる怠け者ってのは聞いたことありませんわな」
新章開幕です。
ウィンとラゲルスがなぜ籠城戦を強いられているのか。
次回から、話は少し過去に(第二章終了直後に)戻ります。




