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青の聖女

 王太子が呼んでいると言われ、王宮に来てから早や三日。

 何も音沙汰はなく、なんで呼んだんだとイライラし始めた頃。

 国王からの謁見令が出された。


「急な指示だね」

「お忙しいのでしょう」


 リンちゃんに手伝って貰いながら、聖女服に着替える。

 その間、フィスロは衝立の向こう側にいた。


「スイ様。本日は、付き添うことができません」

「え? なんで?」

「他の仕事が入ってしまったので」


 そっか。

 フィスロは来れないんだね。

 けっこう頼りにしてるから、いないと心もとないな。


「替わりに、このリンがお供しますよ」

「本当!?」

「はい。お一人では怖いですもの」


 うわぁ! リンちゃんはなんて優しいんだ!


 着替えが終わったら、髪を結ってもらう。

 両サイドを編み込んで、ハーフアップのようにしてもらった。


「今日は、どのお飾りをいたしましょう?」


 リンちゃんが、宝石箱を開けてくれる。

 その中には、私には身分不相応なくらい高い宝石のアクセサリーたち。

 これは全て聖女のために用意されたものらしいけど、私は極力使いたくない。

 だって、壊したらって考えるとゾッとするんだもん。


「……これで」


 やっぱり、これが好き。

 手にしたのは、フィスロがくれた青い花たちのアクセサリーだ。

 どんな高価なアクセサリーでも、これは勝てないと思う。

 それくらい、とても大事なものなんだ。


「今日はいらっしゃらないから、寂しさ紛れのためですか?」

「い、いや違う! ちょっとリンちゃん、声が大きい!」


 フィスロから貰ったことを知っているリンちゃんは、おもしろそうにからかってきた。

 た、ただ気に入ってるだけだし!?

 フィスロがくれたやつだからって理由じゃないし!?


「おや。そのアクセサリーをつけてくださって嬉しいです」


 着替え終わった私を見て、フィスロが微笑んだ。

 その笑顔はやっぱりかっこよくて、私は思わず目を逸らしてしまったのだった。





「久方ぶりだな」


 今回は、謁見の間だった。

 広間には、大勢の役人や貴族がずらり。

 何かあるのだろうか。


「今日は、貴族たちにも来てもらった。それは、聖女殿に改めて発表することがあるからだ」


 え?

 発表?

 怖いんですけど。


「これは知っておるな」


 王様の合図と共に運ばれてきたのは、あの『運命』の絵画だった。

 いつか現れるとされている、『緑の王』と『青の聖女』が描かれてる絵。

 それを見るのは、三回目だ。

 見慣れているはずなのに、なぜかドクンッと胸が跳ね上がる。


「スイよ。聖杖を出せるか?」


 聖杖?

 あぁ、聖女祭で使ったやつね。

 手のひらに魔力を込めると、ターコイズブルーの色と共に銀色の杖が現れる。

 あれ、光が水色よりもターコイズブルーに近い色になった。


「今代、聖女の召喚が王太子の成人と共に決定した。召喚された聖女スイは、見ての通り『青』の魔力を持つ者だった」


 やっぱり、私が『青の聖女』なんだ……。

 あれ、でも待って。

 私の魔力は完全な青じゃないよ? 緑を混ぜたターコイズブルーみたいな色だもん。


「それこそ、『青の聖女』の証だ。『緑の王』ある者の魔力に、共鳴しているからだと文献には残っている」


 そんな……。

 じゃあ、私が『青の聖女』で決定なんだ。


「おめでとうございます、スイ様」


 リンちゃんが、後ろでこそっと言った。

 嬉しいようで、嬉しくないような……。

 この世界に居場所ができるのは嬉しいんだけどね。


 ……あれ、ちょっと待って。

 私が『青の聖女』なら、『緑の王』がもういるってことだよね。

 アーノルド曰く、あれは予言で、婚約式だって言ってたから。

 なら、どこかに『緑の王』は存在してるんだ!


「アーノルドに聞いたようだな」


 王様は、私の様子を見てふっと微笑んだ。

 イケオジの笑顔は、キラキラと輝いている。アーノルドとか、フィスロとかみたいに。


「ではここで、婚約式を執り行おうか」


 んえ!?


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