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裏目的付き

「え、王宮に行くんですか?」


 学園の図書室。

 聖女としての仕事を増やすことを伝えると、図書委員の3人は目を丸くした。


「あの、本しか目に入っていない先生が?」

「聖女は副業だと言っていた先生なのに~」

「どんな心変わりがあったんです?」

「あのねぇ……」


 なんか、皆してフィスロに似てきてない!?

 私をなんだと思っているのよ!


 ……とまぁ、そう言われるのも無理はない。

 聖女じゃなくて司書教諭に熱を注いできたことには、否定はしないし。

 

「平和すぎることに疑問があるんだよね」

「平和すぎること?」


 日本は、平和だと謳われていた国だった。

 でも、犯罪はあるし格差社会だってあった。そこからトラブルに発展することだって。

 そう言う意味では、完全なる平和というものには該当しない。


 対して、この国は本当に平和だ。

 犯罪はほとんどない。争いごともなければ、格差はあれどそこにトラブルは生まれていない。それぞれが格差を理解し、歩み寄るという最大の理想が再現されているのだ。

 

 つまり、気持ち悪いくらい平和なのだ。


「人はね、どこかしらでトラブルを起こすの。なのに、この国ではそれがない。その理由は、隠されている王太子殿下の存在が関わっていると思うのよ」

「だから、聖女の仕事を増やして、王宮に探りに行くという訳ですね」


 レンくんが頷いた。

 その隣では、セイラが淡く微笑んでいた。


「聖女先生がそこまでお考えとは、フィスロ様も幸せですわね」

「ね~! フィスロ様、喜ぶと思います~!」


 リアもにこにこだ。

 え、どうかしたの?


「まぁ、いずれ分かりますわ」


 ということは、私だけ知らない何かがあるってことだよね!?

 何それ!


「とりあえず、私たちは応援してます~! 先生とフィスロ様の恋路」


 んなっ!

 久しぶりに言われた! 忘れてくれているんだと思ってたのに!


「それは余計! 私は王宮図書館を楽しむんだから! ……あ」

「本音が出ましたね」


 レンくんが、お腹を抱えて笑った。





「聖女としての仕事、か」


 その日の夕方。

 フィスロが、国王との謁見を整えてくれた。

 私は、国王の執務室のソファに座っている。


 このソファ、座り心地抜群だ。

 ふわふわしすぎてて、気を抜いたら寝ちゃいそうである。



「急に目覚めたな」


 あっはっはと笑う国王。

 超イケオジなのに、豪快な笑い方だ。

 ギャップがすごい。


「そうだなぁ。では、まず神殿に行ってみると良い」

「神殿?」

「聖女を異界から召喚したり、聖女を崇拝したりしている場所だ。そこに赴いたのち、この私が聖女について教えよう」

「ありがとうございます!」


 神殿は、聖女についての総本部みたいなところなのだろう。

 それなのに、聖女のことについて教えるのは国王だと言っている。

 つまり、国王にしか知り得ない『何か』がある。


「今日はもう遅い。神殿には話を通しておくから、明日にでも行ってみなさい」

「はい」

「では、これで。ほら、早く行かないと図書館が閉まってしまうぞ」


 えっ!?


「そのために来たのではなかったのか?」

「そ、そうですけど、それは裏の目的っていうか……。ってか、誰からそんなこと……!」


 まさか!


「ちょっと、フィスロ!」

「国王陛下の御前では、嘘は吐けないと思いまして」

「だからってバカ正直に言うんじゃないよっ!」


 図書館に行きたいのは正解だよ。行きたくて仕方ないもの。

 でも、それを正直に言わなくてもいいじゃん! 恥ずかしいよ!


「聖女活動(裏目的付き)ですね。というより、どっちが本来の目的か分かりませんね」

「フィスロは本当に失礼! そ、そりゃ図書館に行くことが目的ではあるけど!」

「認めましたね?」

「うるさい!」


 こうして、私の聖女活動(裏目的付き)が始まったのだった。


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