開館目前
「先生、手伝います~!」
図書室の司書教諭になってから、一か月。
学生との関わりも増え、度々図書室に学生が訪れるようになった。
リアとセイラはもちろん、他の学生もふらっとやってくる。
「聖女先生、これは?」
「これは哲学書ですね。そっちの棚に混じってたのかも。向こうの本棚にお願いします」
やってくる学生たちは、進んで手伝いをしてくれる。
おかげで、分類分けと本棚に並べる作業がスムーズになっていった。
「なんか、『聖女先生』っていうのが定着しちゃったね」
休み時間が終わり、学生たちはそれぞれの教室に戻っていく。
急にがらんとなった図書室が寂しい。
その静けさを追い払うように、私は声を上げた。
「スイ先生じゃないんですよね」
「そっちの方が慣れてるのになぁ」
フィスロがくすくす笑いながら、本を並べていく。
その手つきは、もう慣れたもの。
素早くさっさと動くことで、本が瞬く間に本棚に収められていく。
きっと、手先が器用なんだろうなぁ。
あと、判断力が早いんだと思う。
「まぁ、前例のないことですから」
「先生になった聖女はいないの?」
「いませんね。孤児院で慈悲を施した聖女様はいらしたみたいですが」
ふぅん。
ま、人の生き方は人それぞれだからね。
他人が口出しできるものじゃない。
「で、そっちはどうですか?」
「あと少しで終わるよ」
学生たちの力も借りて、本棚にしまっていった作業。
それが、あと少しで終わろうとしている。
「これが終わっても、やることはあるんですか?」
「もちろん。これはまだ第一関門だと思ってもらえれば」
「えぇ~……。まだ続くんですか」
フィスロは、げんなりした顔になった。
でも、作業する手は止まらない。
なんだかんだ、フィスロは優しい。
私の無茶な図書室改造に付き合ってくれているんだから。
「とりあえず、この作業が終わったら図書室の利用を始めよう。あとやることは、図書室が開いていてもできる作業だから」
「承知しました」
さぁ、図書室が開くまであと少し!
それまでがんばろう!
「そうだ、フィスロ。選書の方、任せたからね」
「だから僕は『聖女様特設コーナー』を……」
「それ以外よ、それ以外!」
放っておくと、大変なことになりそうだ。
しばらくは監視付きにしよう、そうしよう。
私は、フィスロの後ろ姿を見て決意するのだった。




