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莉玖ちゃんは3丁目見廻り隊  作者: オコゼのシィバくん
4月の冒険
8/9

お守り売り②/悪魔の独り言

年度末、年度頭は多忙極まりますね。

こつこつ更新していきます。ミスも多いですが、何卒御笑読ください。


4月10日、店員さんのシナリオの変更に伴い名前を“夢野”に変更しました。

店員さんが見せて下さったのは、綺麗な青の円の中にシンプルに白丸がはめられ、その中に外枠と同じ青の目が模様されたナザールでした。


「ちょっとシンプルに作りすぎちゃいましてねぇ、これ。売り物にするにはちょっとお金をかけられないなぁって。あ、でもでも、きちんと邪視除けは込めているんです。シンプルなだけ、シンプルなだけ。ねぇ、助けると思って、手に取ってみてみてはくれませんかぁ」と、先ほどよりも口からの”よ”を多く漏らしておりました。


3000円。小学生には高い金額でございます。いえ、決して邪視除けを甘くみているわけではないのです。保険として持てるのであれば、それはとても価値があるのでしょう。ただ、まぁ、お高いのです。

しかし、店員さんの切羽詰まり感は相当のものでした。これは何か裏があるのでしょうか?

「ああ、圧が強すぎるんですね、そうですともねぇ。でもしょうがないんです。バイト代と仕送りをぶっこんで作っちゃったんです、これ。1つも売れないと私、しばらく1日1食、業務スーパーの冷凍うどん生活なんです。お恵みをば」と恥も体裁もなく語られました。


▲▽▲▽▲


財布が軽くなってしまいました。お姉さんと秋山さんが、私の首にかかるナザールをみて「よく見るとなんだか可愛い感じがするね」とか「とっても力があるナザールだと思うわ。全ての不幸から守ってくれるような力強さがある気がするわね」と慰めてくれます。ついでにお姉さんから「甘いもの食べて忘れましょう?」とブラックなサンダーをいただけました。少しだけ気持ちが持ち直しました。

そんな私に店員さんが、コピー用紙を渡してきました。受け取り、開いてみますとワードで打ち込まれたナザールの取説でございました。


『邪視除け Lv1 低級な呪い、祟り、霊障を1度だけ撥ね退けます。真ん中の瞳の色が青いうちは効果があります。色が水色に薄まっていたら、効果が無くなっています。再度お買い求めください。連絡先はXXXXXXXXX』


「Lv1、ですか」と取説を読んで口から洩れてしまいました。すると店員さんから「私が込められる力の最大がそれなのですよぉ。後は器の力に依存しておりましてぇ。あ、一番強いのは先ほどの”ファリックチャーム”なんですが、こちらなら2、3回は撥ね退けれます。お高いんですけどねぇ」と返答されました。財布を見つめられておりましたが、買いません。買えません。

後、連絡先のメールアドレスから店員さんの名前が"夢野"さんというのが分かりました。再度購入するかはわかりませんが、これは手帳に挟んでおきましょう。


「優しいお嬢さんたちで良かったです、本当。命が繋げました、フフッ」と笑顔で言う夢野さん。「では、私たちはお暇します。お店頑張ってください」「売れると良いですね」とお姉さんと秋山さん。「帰りに、撃たなきゃいけないシチュエーションで河童とか出てこないかなぁ」と口に出ちゃった私。その後は振り返らずに商業施設から出たのでした。


▲▽▲▽▲


帰宅後、両親に見せる前にヤギおじさんに購入したナザールをお見せします。綺麗ではあるので、そこに何かを申し上げることはないのですが、3000円を払うか、と言いますと、それは検討の余地があるのです。ヤギおじさんからも何か1言いただき、購入して良かったという実感が欲しいのです。


「お?お嬢さんもおしゃれを気にする歳になったのか?にしては色気がないな、ガハハハッ」と小馬鹿にされました。すかさず「いえ、こちらはお守りです。どうです?霊験あらたかな感じはありませんか?」と反論致しました。


「うん?まぁ、お守りと言っちゃあお守りか。うっすーい膜が1枚は張ってあるのが見えるな。これなら、この間嬢ちゃんが、地獄の餓鬼みたいに欲しがっていた甘茶の方がパワーがあるぜ?」「誰が餓鬼ですか!そこまで飢えてはおりませんでしたよ!」この悪魔、人を事欠いてメス餓鬼と申しますか!もう当てには致しません。一応、何らかの力はありそうですので(3000円の価値はあるかは別として)、両親にも見せておきましょう。軽い浪費のお小言はありそうですので、覚悟は必要でしょうが。はぁ。


▲▽▲▽▲


別の部屋で嬢ちゃんが、両親に金遣いの荒さを咎められているのが聞こえる。まぁなんだ。あんなもんに3000円の価値はない。あれで防げる呪いやなんかは本当に軽いもんだけだ。アレの使い方としては、呪われたことの証明、祟られたことの証明、霊障にあっている証明……()()()()()()()()使()()()()。お守りという名のジョークグッズだ。


「しかし、嬢ちゃんもどこであんなもんを買ったんだ?久々にあんな古い”保護呪文”見たぞ。省略し過ぎて、悪魔(おれ)や魔女には効かないだろうが、ありゃあ1回だけの使用に限局するために()()()()()()()()()作った職人の一品だぜ?嬢ちゃん、変なもんに目をつけられたな、ガハハハッ」


ああ、そうか。アレは目印なんだな。きっと。


▲▽▲▽▲


浪費のお小言の後、両親が夢野さんに連絡を入れました。

くたびれてはいましたが、ちゃんとした格好で私の家を訪れた夢野さんに「例え生活が苦しかろうと小学生にたかるな」「自業自得であり、大人は自分で自分の行いの責任を取るべきだ」と両親は説教をし、その後ご飯を食べさせておりました。久々に食べた動物性たんぱく質は美味しいという発言を聞き、そっと追加で生姜焼きが振舞われておりました。それを食べながら「莉玖ちゃんの御両親は優しいねぇ」と夢野さんがおっしゃっておりました。

夢野さんの御両親は国外にいるため、すぐに追加の仕送りの連絡ができない、という言葉も要因だと思いました。


一方で私にも「今回は、社会勉強をするいい機会だ」と父から言葉をいただきました。

「申し訳ないが、夢野さんの身の振り方は、無計画からくる破滅的なものだ。莉玖は、これを反面教師にしなさい」「追加のお小遣いはないので来月まで我慢しなさい」「だからといって、それを大義名分に河童を狩猟して稼ごうなどという危ないことはしないように、いいね」「そして、夢野さん。反面教師とは言え教師は教師。勉強代としてご飯くらいは振舞いますので、あなたも危ないことはしないように」と食事中、私と夢野さんは両親から説教を受け続けたのでした。


▲▽▲▽▲


莉玖 10歳


ギフト:野伏の感覚 LV 1

*敵意の方向や距離がだいたいわかる


装備品①:悪魔の猟銃 LV 1

*単発装填式ボルトアクション式のライフル

**狙ったものに当てやすいが、1日に6発しか撃てない

装備品②:手抜きの邪視除け LV 1

*低級な呪い、祟り、霊障を1度だけ撥ね退けるお守り

次話より見廻り隊ミッションスタートです。

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