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キ:工事現場体験

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嬉しいです。いつもありがとうございます。

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 初日はとりあえずせっせと料理の納品をした僕達。

 そして今日はイベントの二日目。


「今日は他の事したいです!」

「だと思った」


 別にクエストたくさんあるイベントなんだから、ずっと同じ事だけしてなくてもいいかなって。飽きたわけじゃ……半分くらいあるけど。


「じゃあどこ行く?」

「ん~、現場がどんな感じか見てみたい」

「なるほど? ……じゃあ、運搬任務でもやるか」


 色々済ませてピリオに出てくる。


「どの方向にする?」

「どこでもいいよ」


 そうなんだよね〜、始まったばかりだからどこでもいいんだよね〜。


 僕はインベントリから、ピリオの外を歩いた時に拾ったいい感じの木の枝を一本取り出し、地面に立てて手を離す。

 …………倒れた。


「えっと……あっちは南!」

「……その枝もしかしてずっとインベントリに入ってるの?」

「そーだよ?」


 いい感じの枝なんてね、こうやっていつ何時必要になるかわかんないんだから。


「じゃあ南行こう!」

「……うん、オッケー」


 なんだねその生温い苦笑いは?

 相棒もいい感じの枝の10本や20本確保したってよろしいんだよ?

 インベントリの枠はひとつ埋まるけどね!



 * * *



 受注したミッションクエストは石材の運搬。

 インベントリに預かった石材を詰め込んで出発。

 工事現場は当然転移オーブなんて無いから、現地まで歩いて行くことになる。

 とはいえ、まだイベント始まったばっかりだから、現場は割とすぐそこなんじゃないかな?


 ……なんて思ってた時期が僕にもありました。


「普通に門からはもう見えないや」

「早いなー」


 綺麗に石畳が敷かれた道が、大森林に向かって伸びている。

 まだ固まってないから踏んじゃいけません〜みたいなことも無く、新品の道を僕らは歩いて工事現場へ向かった。


「見て見てー、ちゃんと『南、サウストランク』って行先看板が出来てる!」

「おー、ぽいな」


 納品できる資材は木材もあったから、こういう物も作りながら進んでるのかな?


 そして道の脇には、時々休憩所みたいな開けた場所があった。


「作業場所の名残かな?」

「かもね。そのまま野営地として残してるんじゃない?」

「なるほどねー……あれ?」


 僕は道の脇に作られた街灯っぽい物に近付いた。

 休憩所よりももう少し頻度が高く設置されてるそれは、地面に突き立てた長い棒に、ランタンがぶら下がってるような形をしている。

 そのランタンの中には、綺麗な白い石が入っていた。


「これは……魔道具かな? 星屑じゃないよね?」

「……星屑とは、違う……ぽいな」


 僕らが持ってるフリマで買った星屑ランタンは、昼間に太陽光に当てておけば夜にちょうどよく光る、魔力いらずの優れもの。

 この街灯も、昼間は光ってないから、夜にだけ光るイメージの魔法が籠められてるのかな。


「って事は、魔法が切れたら補充しないといけないのかな?」

「じゃない?」


 ……あ、もしかして、後々冒険者ギルドに街灯に魔法を補充するクエストが増えたりするのかな?

 それはそれでちょっと楽しそう。


 そうやって新品の道を堪能しながら歩いて行くと、工事現場に到着した。

 仮眠用なのかテントが設置されていて、その周りで何人もの人が石材加工をしている。


「石畳次くれー!」

「そっち、柵置いた方がいいかもー」


 わいのわいのと生産系の人達が手分けして作業をしている道路工事。

 石畳を敷いて仕上げている場所、その前準備として土魔法で道の地盤と形を整えている所、そのもっと先で邪魔な木を伐採している所。

 基本は誰かが伐採してた獣道みたいなところをなぞるようにしてるのかな? その方が楽だもんね。


 テントにいる担当官に声をかけて石材を渡せば、運搬クエストは完了。


 ついでに現場だとどんなクエストがあるのか確認してみる。


「伐採……整地……石材加工……ん? 『石畳の刻印付け』?」


 何々?『加工した石材の裏に【固定】と【防御】の刻印を入れて街道を頑丈にします』? ……え、一個一個に!? そんな手間のかかることしてるんだ!?

 でも確かに、街道だって戦場になるもんね。

 土魔法だのなんだのでドッカンドッカンしてたら、せっかくの石畳なんてあっという間に吹き飛びそう。

 そりゃちょっとでも頑丈にってなるのかぁ……もしかして、ピリオの外壁とかも石材ひとつひとつに刻印入ってるのかな?


 僕はちらりと石材加工をしている作業場を見た。

 多分あっちの山が石畳に加工し終えた山。

 で、たぶんそっちの山が、裏に刻印を入れ終えた山。

 ……うん、ペースがかなり自転車操業な感じ。


「相棒、僕ここの刻印入れ手伝って行きたいな」

「どれ? ……これか、いいよ。じゃあ俺は……土魔法で整地でもするか」


 それぞれクエストを受けると……ススススッと一人、知らないヒューマンの男性が近付いてきた。


「ようこそインフラ整備へ。はいこれ」


 僕と相棒それぞれに違う羊皮紙が渡される。


 僕の方は石畳に入れる刻印の仕様書。

 この形の通りに入れてねっていう見本だね。


 そして相棒の方は……道路の断面図だった。

 中央が少しだけ盛り上がって、左右に向かって勾配がついていて、左右に水を流す側溝っぽい溝がある。


「年単位で使える良質な街道のために、この仕様でよろしくお願いします!」


 にこやかに言い放たれて相棒は閉口した。

 たまたま近くを通った作業中の人が、苦笑しながら囁いてくる。


「すごいよなアイツ。リアル本職のプレイヤーなのかと思うじゃん? あれNPCっぽいんだわ」

「ええ……」

「たぶん運営にインフラガチ勢がいる」

「なんだこのゲーム」


 本当だ、あの人兵士ではないみたいだけど王国の腕章着けてる。NPCっぽいね。



 さぁ作業作業。

 僕は割り当てられた場所で、【刻印】スキルを使って石畳の裏に指定の刻印をぽんぽん入れていくだけのプリンターになった。


 うーん……スキル任せだからなんという単調作業。

 レベルがそこそこあるからポポポポッてまとめて入れられるのは楽しいけどねー、ずっとこれやりっぱなしはちょっと……時々手伝いに来るくらいがちょうど良さそうかなー。


 さくっと終わらせて、ポイントを受け取って相棒を待つ。


 決められた範囲を終わらせた相棒は、もうお腹いっぱいみたいな顔して戻ってきた。


「うん、俺はアレもういいや」

「だろうね。どっちかというとアレは僕向きな気がする」


 土魔法が全然育ってないからやらないけどね。


「次は一緒に伐採行こう」

「オッケー」


 せっかくだから、イベントミッションを色々体験して周ろうか。



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― 新着の感想 ―
そのいい感じの棒、そろそろ魂宿って住居登録したら何か出てきそう
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