キ:打ち合わせ、からの
僕らを含む、集まった全員が簡単な自己紹介を終えて、次は今回集まった趣旨の確認と作戦会議。
「じゃあ森夫婦から、今回やろうとしてる事について、説明よろしく」
「はーい」
うん、こういう場面で説明とか発表はやっぱり得意じゃないけどね。ヒト集めてもらって協力してもらうわけだから、説明くらいは頑張るよ。
「……という事がありまして」
「待ってくれ……あの鉱山にそんな場所が!?」
「何の条件を踏み抜いたんだ……【封印魔法】か?」
「滅びとか割とヤバいやつじゃないですかヤダー!」
「ウケるー」
「ドラゴンが骨になっててアンデッドでブラックダイヤモンドになってて退屈してて……???」
「盛りだくさんすぎませんか?」
「いつもながら情報量が多いよ森夫婦はさぁ!!」
ううーん、反応がそれぞれで面白いね。
検証勢のヒト達は頭抱えてのたうち回ってて。
モロキュウのヒト達はシステムウィンドウ片手に何か確認し合ってて。
麗嬢騎士団は意外にもお嬢様含めてみんな目をキラキラさせて「ドラゴンだって!」とはしゃいでいて。
マルドゥークのヒト達はゲラゲラ笑っていて。
そしてクランに所属していないケチャップフェアリーちゃんと魔法少女ちゃんは何故か呆れた顔でカステラさんを見ていた。
「なので、そこの森フェアリーさん提案の、『人数とMPで押し切ろう作戦』で行こうとしてます」
「それゴリ押しって言わない?」
「脳筋だー!」
「森フェアリーさん! 作戦がフェアリー過ぎじゃないですか!?」
「うるせぇマナの果実でも食ってろ」
「うわぁー! 貴重品で黙らせにきたー!」
「フェアリーだぁー!」
マルドゥーク達が笑顔で飛ばしてくる冗談めいた野次を適当にいなしながら、説明をバトンタッチしたカステラさんが、今回集まった面々にそれぞれやってほしい役割を伝えていく。
「ようはマルドゥークに合成魔法が出来る魔法陣を書いてもらって、森女と俺と論丼とケチャップで【封印魔法】要員。他の高MP持ちがMPタンク役。それ以外は何かあった時の対処要員ってわけだ。簡単だろ?」
うん、簡単だね。
ダンジョン召喚の時と違って特に制作が必要なアイテムとかも無いから、もうこれさえ理解してもらえば大丈夫。
「なるほど、魔法少女ちゃんはMPタンク要員」
「そうでーす」
「麗嬢騎士団は魔法職がそれなりにおったな。うちはあんまりおらんから、対処要員がメインじゃなぁ」
「ですが状況を考えると、友好的なドラゴン様までいて戦闘がゼロというのは希望的観測かと。備えておいて悪いことはございませんわ」
「そんな事言ったら、今回参加する検証勢でMPタンクが出来るのなんて抜け毛とジョンくらいなんですけど?」
「お、呼んだか?」
「駄犬はお呼びじゃないですー!」
「マルドゥークは全員MPタンクな」
「フェアリーだぁー!」
「そこに人権はあるんですかぁ!?」
「まぁ喜んでやるけど!」
「そこの大商人はー?」
「アイテムが足りなかった時の補充要員」
「どうも、倉庫担当パピルスです。戦後の後払いで結構ですよ」
ワイワイと賑やかに確認と割り当てが決まって、最終的にMPタンク要員はなんと18人!
こうやって数字にすると多いねぇ。でもこれだけ人数集めたらゴリ押しも行けそうな気がする。
じゃあ後は決行日の日程を……って所で、マルドゥークの1人が首を傾げた。
「え? 今から行けばよくない?」
固まるその他。
そして固まった周りに逆に驚く発言者。
「え、だって、今って全員揃ってるじゃん。何かこの後用事あるの?」
「……いえ、麗嬢騎士団は特に予定はありませんが」
「……まぁモロキュウもないぞ?」
「……精霊郷から繋がる場所が他にもないか検証しようと思ったくらい、かな?」
「魔法少女はフリーでーす」
「オムライス用のケチャップを作ろうかなーと考えてたくらいですね」
「私も店の方は店員に任せて時間はとっておきましたので、行けますよ」
……そう言われれば、僕らも特に用事は無い。
それはカステラさんも同じだったみたいで、奇しくも集まった全員、今日この後の予定は特に無かった。
ゲーム内はまだまだ午前中。
現場に急げば戦闘があっても余裕でなんとかなる時間。
「……じゃあ、行くか?」
こんなに早く話が進むと思っていなかったカステラさんがそう訊けば、全員が頷き、マルドゥークのヒト達は「よろこんでぇー!!」と雄叫びを上げた。
わぁ、マジで打ち合わせからの即日決行だぁ。
(……1回帰って、拠点の皆に話だけしてこないとね)
(だな)
たぶんすぐ帰るって出かけてきたから、ちゃんと留守番頼むのと、もしかしたら呼び出すかもしれない事は伝えておこう。
>作戦がフェアリー過ぎじゃないですか!?
フェアリーとは…魔法が得意な種族名。転じて、魔法や魔法に関する事柄で全てを解決しようとすること。 (マルドゥーク)
明日は1日お休みします。




