キ:空中戦で鳥の処理
「見えたわ! 敵の飛行部隊よ!」
ベロニカちゃんの報告に、僕らは急ブレーキをかけたネビュラの背中から急いで箒に乗り換える。
ネビュラと合体した相棒と、二人乗りして即浮上。
上空には鳥系の獣人やフェアリー、そして地上から指示を受けている飛行系の従魔達。
そこへ一緒に並んで、正面から向かってくる敵対モンスターの群れを待ち構える。
(俺は適当に撃つから、好きに動いて)
(オッケー)
とはいえ、飛び続けるなら僕のメイン役目は回避とMP補充だろうからなぁ……あ、そうだ。
「……ネモ」
僕と相棒と箒をまとめて、視界の邪魔にならない位置で土星の輪みたいに囲むようにネモを配置。近付く敵を自動で迎撃するイメージで置いておく。
よし、これで戦力はちゃんと2人分。
「ベロニカちゃん、狙われたら近くに来てネモに撃ち落としてもらってね」
「わかったわ、囮にくらいなろうじゃないの」
「……無理はしないように」
さぁ来るぞー!
正面から、黒いモヤみたいだった鳥の群れが、突進してくる。
ガルルスドングリカブリLv35
フィニッシュペッカー Lv66
頭にドングリの帽子みたいなのを被った小鳥と、少し大きめのキツツキみたいな鳥。
数が多いのはドングリ帽子の小鳥、ガルルスドングリカブリ。
『ジェーイ! ジェーイ!』としわがれた声で鳴きながら、迷いなく突っ込んで来る。
「「「ウィンドクリエイト!!」」」
先手必勝。
周囲のフェアリー達が広範囲風魔法を放って敵の飛行を撹乱。
そこへ突っ込む鳥系獣人の近接職。
鳥の群れは明確にこっちを敵と認識して旋回を開始。
この位置が、上空の前線になった。
前後左右どころか、上からも下からも狙われる可能性がある空中戦。
止まったらワッと集られるから、僕は前線の外周をなぞるように飛ぶ事にする。
あんまりガクガクしないように注意しながら飛べば、相棒が僕の後ろから的確に敵を撃ち抜いていく。
(キツツキは特に気を付けて)
(ウィッス)
キツツキ型の敵、フィニッシュペッカーは厄介な一撃必殺持ち。一撃必殺さえもらわなければ大したことはないんだけど、乱戦だと後ろを取られたら当然死が待っている。
おおっと危ない!
言ってるそばからキツツキに狙われてたよ、危ないなぁ!
ネモにベシッと叩き落とされたキツツキは、相棒が駄目押しにボウガンを一発叩き込んで消えて行った。
モンスターはイベント仕様なのか、ピリオ近くのダンジョンモンスターにしてはレベルが高め。
特にキツツキはネモの一発じゃ落ちない。
でもドングリ帽子の小鳥の方はネモの自動迎撃でもワンパン出来る。
僕はポーション片手にMPを回復しながら、ベロニカちゃんと離れすぎないように調整して戦場を飛び回った。
囮を宣言した通り、ベロニカちゃんはわざと小鳥の群れの気を引いて飛んでいるから、時々交差して追いかけている群れを一網打尽にするのだ。
この戦法は上手いこと状況に噛み合って、小鳥の数はどんどん減っていった。
生き残りは相棒が手早く撃ち落としてくれるから、ベロニカちゃんはまたフリーの状態。落ち着いて次の敵の目星をつけられる。
範囲魔法をドカンと撃つのと遜色ないくらいの戦果を上げられているんじゃないかな。
そうして第一波がそろそろ片付くってあたりで……南西の方角に突如豪快な大爆発が発生した。
(うわっ!?)
(……なんだ?)
(あっちダンジョンの方角だよね?)
(ちょっと掲示板見る、回避重視で)
(オッケー)
鳥の数が減っている今のうちに状態確認。
少しの間、迎撃だけで鳥の相手をしていると……相棒が「うわ……」と呟きをこぼした。
(なんだったー?)
(レイドボスが出てきた)
(早くない??)
(早いね……超巨大カタツムリ。ゆっくりピリオに向かってるらしい。たぶんピリオに到着するまでに倒さないとヤバいやつ)
(いつぞやの四つ足キノコみたいな感じ?)
(そう、睡眠は無いけど。皆でDPSチェックのお時間です)
DPSチェック……つまりは、制限時間内に決まった量のダメージを叩き込まないとアウトな、プレイヤーの火力が試される仕様の事。
アクションゲームにはちょいちょいあるねぇ、こういう戦闘!
(じゃあそっち行く?)
(だな……告死紋とか入れたら楽になるだろうし)
よし、ここは割と大丈夫になったし。そうと決まればボスの所へ……
(……あ、いやちょっと待って)
(うん?)
(ほぼ同時に、使徒の巨大な結晶っぽいのも出た)
(マジ?)
うわぁお。
イヤなタイミングでイヤなふたつをお出してくるんだからもぉ〜!
(え、どっち行く?)
(んー……結晶の仕様が分からないから、まずはボスかな)
(オッケー!)
そうだね、迷って何もしないのは時間がもったいない。
少なくともレイドボスに告死紋は確実に役に立つんだから、まずはそっちを片付けよう!
次回、掲示板回なので1日あきます。




