ユ:商品準備、完成一歩手前
ちょっと短めです。
さて、キーナが買い物に行っている間に……まずは店に置く飲み物の用意からするか。
軽くキーナとも話したが、しばらく店員NPCは置かない予定だ。
エフォは無人の販売所でも盗難される事は無いから店員が絶対必要ではないし……もうひとつ、敵対NPC組織の錬金術士達が夢に拠点を置いている事がある。
一応『冒険者と夢の幻獣のみ入室可』っていうルールは設けるから大丈夫だとは思うが、敵が所有している夢魔の白夢草の方がレベルが高いから、念には念を入れておく。
……それこそ、その辺が解決したら夢の中をあちこち連れ歩いたり、孤児院の子供達と夢の中で会って遊んだりだって、させてやれるんだよなぁ……
そう考えると、あいつら割と邪魔だな……さっさと片付けたい。
……思考がとっ散らかったな。
そういうわけだから、最初は店員は置かない。しばらくは様子見だ。
と、なると……飲み物は注ぐ役目がいなくても『1杯分』が明確になるように、瓶に入れた方が良さそうだ。
知恵の林檎を絞って、リンゴジュースを作り牛乳瓶みたいな瓶に詰める。
……ああ、そうだオヤスモーミルクも売るか。あんまり量が無いから少しだけだけど。クエスト関係とかで喜ぶプレイヤーはいるかもしれない。
後はトマトジュースも有りか? と思ったが……あれは結晶にしてフリマで出した方がいいよな。やめよう。
ストロングハートベリーも飲み物って感じじゃないな……
と、なると……リンゴジュースとミルクだけか。
店の雰囲気的にコーヒーとか欲しいな……その内、コーヒーの木とか見つけたら買って植えてみるか?
そんな感じで飲み物の準備をしていたら、キーナが帰ってきた。
「ただいまー」
「おかえり。いいのあった?」
「バッチリ! 相棒の方は? どんな感じ?」
「こんな感じ」
「あ、かわいい〜」
瓶入りの飲み物と、買ってきたインテリアを持って、俺達は再び夢の中へ。
夢のモモンガ幻獣は洞の中で熟睡していたから、そっとしておいて作業を続ける。
森の木を植木鉢に観葉植物として植えて、ファンタジーな植木鉢カバーを着けて店のあちこちに設置。
インテリアと飲み物の瓶を並べて、真鍮の板に文字を書き込み棚や扉に設置する。
「えーっと……『一来訪、一瓶まで』」
「ドアは『この先『夢の牢獄坑道』って書けばいい?』」
「うん。……そういえば『夢の牢獄坑道』ってさ、眠って入るとインベントリとか装備とか無しになるけど、あれも夢のルールだよね」
「そうだね」
「僕らが洞窟から行くと装備とかそのまんまなのは……覚醒状態のマップから直接入ってて、入眠して入場してるわけじゃ無いからだよね?」
「多分」
「って事は……例えばクエストかなんかでルール無視状態で坑道にプレイヤーが入ったとして、その状態で坑道側からこの店に入っちゃうと、ルール無視される可能性が?」
「……あるかもしれない、一方通行にしておかないとな」
「あっぶなーい」
少しヒヤリとする雑談を交えながら、プレートの設置を完了。
後は、『おみやげコーナー』と書かれたプレートを貼った棚に、適当なアイテムを並べるだけだ。
「こっちも『一来訪、一品まで』にしたの?」
「うん。じゃないと買い占めるヒトとか絶対出るもん」
「まぁそうだな」
既に『夢喰い鹿』と『宵闇狐』と『うたた寝ウサギ』の素材が少しずつ並んでるからな。
「マリーとジャックの作品は、もうすぐフリマでそっちに出すから、こっちには並べなくてもいいかな」
「フリマが終わってから並べてもいいし」
「だねー」
じゃあこれで完成……とはいかない。
店の客席の真横の壁には、空っぽの額縁だけがかかっている状態だ。
「で、絵はどうする?」
「んん〜……絵ねぇ……? 今日行った店には無かったんだよね。……画商?とかいるのかな?」
「貴族がいるし、いそうではある」
じゃないとこうやって絵が欲しい時にどうしたらいいんだ。
「パピルスさんの店とかはどうなんだろね?」
「さぁ……1回ログアウトして有志wiki見るか」
「だね。その方がいいかな」
店に直接問い合わせるよりは、自分でネットで調べる方が気楽だからな。




