キ:ならず者をなんとかしよう!
はーい、こっちですよー! こっちこっち、こっちですよー! 真っ直ぐ逃げて来てねー!
相棒を見送ってから、僕らは一般NPCを守りながら避難を助けて……気が付いたら外へ出るための転移オーブまでやってきていた。
この広い会場は、転移オーブが何ヶ所かにあるみたいで、見渡せばそれぞれ麗嬢騎士団やモロキュウ冒険団のヒト達がオーブ周辺を守っているのが見える。
だから僕もジャック達と一緒にそのままオーブ周辺へ留まって、逃げてくるヒト達が安全に外へ出られるように盾になる事にした。
……大丈夫、ここの守りについたのは僕だけじゃない。
「【主翼宣言】! さ、さぁこちらが相手です!」
僕らを見つけたラウラさんが駆けつけてくれて、デューと一緒に敵対獣人達のヘイトを稼いでくれた。
獣人達は逃げてくるヒト達を追いかけるように僕らのいる所へ集まって来たから、今は10人くらいを相手にしている。
デューとラウラさんで背中合わせになって死角を無くし、周囲を囲む敵と相対して、武器を振るう獣人達の攻撃を、武器や盾で受け流す。
マリーはオーブ周りに軽く糸を張って、鳥獣人の奇襲に備えていた。
僕はその内側で奇襲の心配を無くして、遠距離から魔法で二人の援護。
そして……
「ハイハイハイ! 通るッスよ! ちょっと通りますよー!」
「着地シマーッス!」
ジャックと、同じく駆けつけてくれたセイレーン♂さんが逃げ遅れかけてるヒト達の救助に駆け回っていた。
転んだヒトとか、どうしても移動が遅くなる小種族とかを抱えて跳躍してオーブに送り届けてくれる。
「助かったー!」
「お兄ちゃん達ありがとう!」
救助されたヒト達がお礼を言って、安心した顔の他のヒト達と一緒にオーブで外へと消えていく。
よしよし、なんとか持ちこたえてるねー……って、あれ? ちょっと待って?
カステラさんは変装してなかったから、こっちじゃなくて別の所にいるんだと思う。
アルネブさんと夾竹桃さんは、結局リアル予定が合わなくて不参加。
……でもド根性さんは? 姿が見えないぞ?
「ド……森巨人さんはー?」
「あの人は、これ始まる前に帰ったッス!」
「ぅええー!?」
帰った!? なんで!?
「『自分は乱闘に不向きである!』って言い残して、試合終わったら直帰したッスよ」
「うそん!?」
まぁ巻き込みたくないって気持ちの方が勝ったのかな?
いたらいたで、下のフィールドで王様の手伝いって形になったとは思うけどね。
……なんて思っていたら、ガルガンチュアさんの一団が駆け抜けて、掴んでた小人さんを「任せた!」って僕にぶん投げて去って行った。
ううーん、どこもかしこも忙しい!
相棒はどの辺にいるかなー?
光学迷彩使ってたから見つけられないんだよね。
【解析】使ったら魔法の動きで分かるかもしれないけど、今の状況でそれをやってNPCの様子が分かりにくくなっちゃうのは困る。
だから相棒のカッコいい所が見えない! 残念!
「【アクアクリエイト】!」
「おっと」
杖ぺちーんの無詠唱で魔法を跳ね返す。
今日も僕はMPポーションが手放せないよ。
デューとラウラさんで敵を引き付けてくれて本当に助かった。
とは言っても、僕も含めて、プレイヤーはやっぱりヒト型NPCを倒すのに抵抗があるみたいで、敵の数がなかなか減らない。
雑に【木魔法】で捕まえようとしてみたけど、引き千切って逃げられたんだよね。
……あ、そうか。こんな時こそ【封印魔法】だ。
混ぜるのが【闇魔法】じゃなければ、命を結晶にしたりしないでしょ。
何と混ぜる?
あの赤黒いオーラを立ち上らせている獣人達は、かなり強化されているみたいで生半可な拘束じゃ通用しない。
僕の魔法で1番レベルが高いのは……まぁ【死霊魔法】だよね。
イメージは……オバケによる拘束なら金縛りかな?
通りすがりのオバケさん、あいつを捕まえるのを手伝って!
「……【ダブルクリエイト】!」
唱えると、半透明のクラゲのオバケが敵対獣人を囲むように浮かび上がった。
輪のように獣人を囲んだクラゲオバケは、獣人が驚いている間に収束して、そのまま体に絡みつく。
「うおっ!? ……おおぉおぁあああぁぁああっ!?」
絡みつかれた獣人は、ギシギシと体が動かせなくなって、そのままバタリと床に倒れた。
「っ、おのれ貴様ァ!!」
「行かせヌ!」
「ヨイショオー!」
他の獣人が目の色を変えて僕に突進しようとするのを、鉄壁のデューが止めてくれる。
そこをジャックが蹴り飛ばして、再び元の陣形に。
「も、森女さん、その拘束ならいけそうですね! よろしくお願いします!」
「オッケー!」
よしよし、目処がついたぞー
後は油断せず、ミスの無いように処理するだけだね。
※追記:突然の歯医者案件発生でメンタルがやられたので、明日はお休みします…




