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ユ:御祝儀の準備をしよう。


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 招待されたシャーロットお嬢様の結婚披露宴パーティまではまだ日がある。なので今の内に参加する準備をしないとな。


 俺達は、検証勢のアドバイスに従って、有志wikiのお貴族様関係のまとめの中にある、『お貴族パーティの勧め』をチェックした。


「着る物はー、冒険者は戦闘装備が正装扱いだから、いつもの森夫婦スタイルで大丈夫。……とは言うけど、ちょっとそれっぽく装飾を足したいよね」

「どんな?」

「仮面が無地だから、ちょっと縁起のいい模様を片頬のあたりに小さく描いたフォーマル用の仮面を作ろうかなって」

「なるほど」

「あとはー……僕らの森夫婦衣装って割とアジア系の民族衣装っぽい感じに作ってあるから……そういう民族衣装の正装って、高級そうな刺繍の入った帯とか使ってるイメージあるし、刺繍入りのサッシュでも作ろうか。こう……タスキみたいにかけるようなイメージで」

「うん、良いんじゃない」


 アイテム2つ作って特別感を出すならそれほど手間でもない。

 そして俺達には、そういうアイテム作りに熱意を燃やしてくれるマリーがいる。


「よろしくね」

「お任せください」


 内容を細かく詰めて、キーナとマリーは満面の笑みでサムズアップした。

 そしてそんな2人を見つめるサビ猫のナナは……それはそれはキラキラとした憧れと尊敬の詰まった表情をしていたのだった。



 * * *



 着る物はこれでよし。

 次は手土産……と言うか、結婚披露宴だから御祝儀だな。それをどうするか考える。


「んーと、有志wiki曰く……2種類用意するのがお勧めなんだっけ?」

「そう」


 NPCの結婚披露宴パーティへのお祝いで無難なのは、店売りの縁起物。これは貴族NPCでも平民NPCでも変わらないらしい。

 ただ、貴族はどうしたって招待客が多いから内容が被りやすい。

 なのでプレイヤーは、冒険者らしく、ちょっと珍しくて綺麗な素材を包んで添えると喜ばれるんだとか。


「店売りの縁起物は、この前行ったエビの街の置物にしようよ。カイロウドウケツはリアルでも結婚の縁起物だし」

「オッケー」

「ピリオノートであんまり流通していない素材が狙い目だから……そこそこ遠いフィールドの物がいいのかな?」

「まぁそういう事だろうな」

「でも、僕らの拠点の物はやめておいた方がいいよね!」

「うん……と言うか、持って行ったら入り口で止められそう」

「これ以上ないほど珍品ではあるんだけどなぁ〜」

「これ以上ないほどの危険物だから……」


 結婚披露宴に危険物持ち込んだら一発で出禁になるだろ。


 有志wikiによれば『貴族NPCなら宝石系・魔石系、あとは☆品質のレアドロップ品ならまず外れは無い。祝い事のパーティなら花系も可』と、書かれていた。


「シャーロットお嬢様の好みがわかんないからなぁ〜……あ、稀結晶とかは? 我々そういえばコカトリスの稀結晶持ってたじゃんすか、完全に忘れてたけど」

「……そういえばそんなのもあったな、存在忘れてたけど」


 コカトリスの肉を取りに行った時にドロップした稀結晶。狩りの途中だったからインベントリに放り込んでそのままだったそれを取り出してみる。


 稀結晶は物によって色も形も違う物なんだが、コカトリスの稀結晶は不透明な灰色をした直径四センチくらいの石に、黒いガラス質がベットリとした粘液のような形でグルリと貼り付いている見た目をしていた。


「「うう〜ん……」」


 俺達は2人揃って悩ましい顔になる。


「……鉱物標本としては有りか?」

「でも宝石っぽくはないかな……貴族向けじゃない気がする」

「まぁそうだな」


 見た目も仕様も、ここで使うのはちょっと違うな。

 あと、効果に『石化』が入ってるから一応これも危険物だ。

 あの貴族カップルは意外と喜ぶかもしれないが……他の貴族からの評判がどうなるか分からないからな。そこは気を使う。


 結局、インベントリを漁ってみたが、今の俺達の手持ちにちょうど良さそうな物は無かった。

 と、なると、ちょうど良い物を採りに行かないといけない。

 そして今回の俺達は、出来れば春イベントのポイント稼ぎもやりたい。


 そんな感じの要望を加味して検討した結果……有志wikiに載っている『輝石坑道ダンジョン』に行ってみる事にした。


「モンスターが大粒の宝石をレアドロップするかもしれないし、運が良ければダンジョンの奥で採れるかもしれない」

「おおー、いいね」

「で、春イベント期間中は冒険者ギルドのクエストでもポイントは入るから、ポイント高めの宝石とか輝石とかの納品クエストをついでにこなす……で、どう?」

「一石二鳥じゃんすか。オッケーですぜ」


 よし、方針は決定。


「じゃあ出かける準備しよう。ダンジョン結構遠いから」

「はーい」


 後はどれくらい良い物が採れるか運次第だ。

 とはいえ、俺達くらいのレベルなら、どれだけ運が悪くても小粒の宝石がそこそこ採れるダンジョンらしい。

 貴族は宝石だったら質より量でも評価が高くなるみたいだから、新婚カップルに恥をかかせる事にはならないだろう。


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― 新着の感想 ―
まさか同じwikiページを見たゲオルクとパーティー前にバッタリ、だとか無いよな?w
ダブルベットだと励めって言ってる様なものだからあかんのやろな まあ、この後の大粒の宝石の方が掲示板界隈を驚愕させる事になりそうだな
いつもの木材でベッドをプレゼントするとか良いかなと思ってしまった。 新婚さんにベッド・・・中々に意味深ですが。
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