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キ:イタコスライム初出店

筆者はほぼ復活しましたが、入れ替わりで家族が風邪を引きました。どうして……


 デスポテトにまっしぐらするチーム・ベラドンナちゃん達は大変可愛かったです。……で、終わらせちゃうと、なんたって毒物だからおチビちゃん達がちょっと心配。

 なので、帰還したらすぐに、僕らはジャック達とキャトナちゃんと一緒に相談して、ルールを決めました。


 キャトナちゃん達は畑の中でも、危険物が植えてあるエリアは立入禁止にしてあるから、チーム・ベラドンナの餌はその立入禁止エリアに保管してそこで食べさせる事。


 やっぱりね、危ないって言い聞かせてても、目の前で美味しそうに食べてたら興味が湧いちゃうからさ。そもそも危ない物を食べている所を見せない事にした。

 普段はそこら辺うろうろするから、そういう時におチビちゃん達が危険性のないジャーキーとかをちょっとやるのは構わないからね。

 そうしてガス抜きすれば、まぁ聞き分けの良い子達だし、忍び込んで事故!とかにはならないでしょう。NPCだしね。


 * * *


 って感じに、ご飯問題も解決してひと安心。

 ゲーム内の昼食を取ったら、僕らはもう一度準備をして、再びピリオノートへと繰り出した。


 次の用事は、例の怪しい飴玉を検証勢の人達に託す事なんだけど。まぁ、そのついでにのんびり露店でもやろうかなってね。

 春イベントのポイント集めはガッツリやる気ではあるけど、本腰いれる前に春のピリオノートの雰囲気は味わいたい。

 だからお花見半分の露店かな。


 おチビちゃん達もお花見に出てこられたらよかったんだけどねぇ。

【鏡魔法】がナーフされたとはいえ、非戦闘員三人くらいなら僕がMPに物を言わせて鏡inからのピリオに転移するくらいは出来る。

 でも、キャトナちゃんの夢で見た獣人系の誘拐犯が、まだなんにも進展無いから。連れ出すのは時期尚早。楽観視して連れ出して被害にあったら、何のために辺鄙なマップに避難してるのってなっちゃうし。

 だからまだしばらくは、桜の枝とかお花のお土産で我慢してまらおうね。


 と、いうわけでピリオノートです。


 僕らがお店を置くのは、露店広場……じゃなくて、図書館横の記念公園。

 桜がいっぱい咲いてるからお花見目当てのプレイヤーもそこそこいるし、その内検証勢の人はこっちに気付いて来てくれると思う。

 露店広場だと混みすぎるからね。


 ほんのり温かい今日は、相棒が知恵の林檎と林檎ジュース屋さん。僕は占いと、連れてきたグミちゃんの降霊サービスデビュー。

 降霊サービスは1回3リリーです。


 公園の、邪魔にならない片隅の木陰に陣取って。

 じゃあ後はのんびり……と思ったのも束の間。


「すみません! そちらスライムですね!?」


 なんという事でしょう。

 開店と同時にスライムマスターさんがいつものスライム満載荷車を引き、ドリフトからの急ブレーキで現れた!


「あっ、すごい! 新種のスライムだ! イタコスライム……3リリー、降霊お願いします!」

「あ、はい」


 テンションはともかく、料金お支払いしたならお客様。

 グミちゃんにお願いすると、グミちゃんはスヨ……と寝息を立ててボヤーっと降霊が始まった。


『……はじめまして、ワタシは松脂(マツヤニ)スライム』

「おおおっ! 知らないスライムですぅううう!!」


 わぁ……すごいこの人、グミちゃんの降霊でもスライム引いちゃったよ。


 スライムマスターさんは、降霊で現れた松脂スライムに生息地なんかの詳しい情報をインタビューした後、感謝の言葉をこれてもかと浴びせて降霊を終えた。


「ありがとうございます! おかげで未知のスライムへの道が開けました!」

「良かったですねー」

「こちらのイタコスライムですが、どこに生息しているとかは聞いても大丈夫ですか?」

「えっと……ピュアスライムを拠点周りで放し飼いにしていたらこうなりまして……」

「ああ、なるほど! 森女さんですもんね! ……あ! そうだった。いつぞやのミミック騒動の時はうちのスライムの卵達のご心配をしていただいて、ありがとうございました!」

「いえいえ……」


 テンションはともかく、スライムマスターさんは思ったよりグイグイ強引に希望を通そうとはしない人だった。

『拠点周りに生えている植物とかを購入出来ないか』って言われはしたけど、『その辺は販売は考えていません』って言えば食い下がりもしなかったし。

 とりあえず、独自に作っているらしいスライム図鑑への掲載はOKを出した。こうやってお店でお仕事するから、そこは隠す理由が無いからね。


「ありがとうございます! では、こちらをどうぞ」


 許可を出すと、スライムマスターさんは1冊の本を取り出して渡してくれた。



【スライム図鑑(第23版)】…品質★★★

全国津々浦々のスライム情報が載っているスライムオンリーの図鑑。出版『スライム同好会』

情報提供者はスライム同好会に声をかければ、無料で最新版への交換が可能。

スライム同好会はスライム好きによるスライム好きのためのクランです。入会希望者大歓迎!



 わぁお……めっちゃしっかりした図鑑だぁ。ちゃんと全部の項目にどんな見た目のスライムなのかがフルカラーイラストで描き込まれている。これは普通にうちのナナちゃんとか喜びそう。


 普通に良い物貰ったから、お礼にいつぞや貰って持て余してた『デリシャスゴケ』を渡した。モススライムの好物らしいから、あって困る事は無いかなって。


「わぁ! こんな良い物、ありがとうございます! もしもスライム同好会に入会を希望される場合は言ってくださいね! お二人なら大歓迎しますので!」


 そしてスライムマスターさんは、降霊中のグミを軽くスケッチして去っていった。


(……松脂スライム探しに行ったのかなぁ)

(……さぁ?)


 テンションはともかく、悪いヒトでは無いんだよねぇ。テンションはともかく。


追記:家族の調子が落ち着くまでお休みします。

さらに追記:家族の風邪も落ち着きました。ちょっと書けるメンタル戻るのに時間かかっていますが、近々再開します。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読ませいただいております。 待ち遠しいですが、 いつまでも待っていますので、気にせずゆっくりしてください
ここゲーマスAlが忖度してスライム出したとしか思えんw そうじゃなきゃグミちゃんに張り付いただろこいつ。
ご家族さまも、どうぞお大事になさってください。 いつもとても楽しませていただいています。 ありがとうございます! 毎日ご復帰をお待ちしています。
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