キ:プレゼント開封タイム
可愛いツリーのミニチュアを、とりあえず皆が見られる位置に置いておいて。
僕と相棒は、いよいよフェスティバルのメインディッシュ。プレゼント開封でございます。
鮮やかな色の箱に、大きなリボンがかかった、絵に描いたようなプレゼントの箱。
僕の分が2つ、相棒の分も2つ。
僕らは贈り物の神様の手伝いを1回したから、箱がひとつ増えてるのかな? 片方の箱にカードがついてて『お手伝いありがとうございましたです!』って書いてあった。
ふふふ、開けたら何が出てくるかなー?
「じゃあ開けまーす」
「あ、うん、もう開けてた」
「はやーい!」
早々に開けた相棒の箱を一緒に覗き込む。
相棒は、カードが付いてない方……つまり、ツリーを用意すればデフォルトで貰えるプレゼントを先に開けていた。
「中身はー……ポーション詰め合わせかな?」
「っぽいな……あと、なんか犬のオヤツが少し入ってる」
「犬」
相棒のツリーの飾り付けは、割とオーソドックスなクリスマスツリーだった。
特徴的なのは、ちょこんとおひとつある犬の人形くらいかな。
「つまりこれが犬要素」
「だろうね」
「あとはノーマルな内容?」
「なのかな」
まぁポーションなんて誰でもあって困らないからね。
そこそこ効果の高めなポーションだから、普通に狩りで使えるやつ。
「普通に助かる」
「だねぇ」
そうなると……僕の中身はどうなるのかな?
人形、マリーが僕らまで作ってくれたから、なんだかんだ拠点全員のお人形揃っちゃったもんね。
……気になるから僕も開けよう。
幅広なリボンの端を掴んで引っ張れば、スルリとほどける親切仕様。包装紙は無くて、箱そのものが派手な色をしているそれを……オープン!
「……おお?」
「なんだった?」
「でっかい植木鉢!」
出てきたのは、フェスティバルテラコッタよりも、もうひと回り大きな植木鉢だった。
【シンボルツリーテラコッタ】…品質★★★
拠点のシンボルツリーを育てる事が出来る植木鉢。
木が大きく育つと、シンボルツリーがある拠点に所属している者にステータスのボーナスが発生する。
「へぇ~! 拠点向けな物貰った!」
「……なるほど、拠点オールスターやったからか」
いいねぇ、これなら拠点の皆で世話したり見守ったり観察したり出来るもんね。
「いいもの貰った!」
「よかったね」
これはあとで場所を決めて設置しよう。
「じゃあもう1個も開けてみよっか」
「うん」
こっちは僕と相棒の2人で同じクエストを受けたから、たぶん同じ物が入ってるんじゃないかな?
リボンを解いて、キラキラとラメみたいなのが入ってる箱を……オープン!
「お花?」
「……いや、ロウソクじゃないか?」
箱の中には、大きくて綺麗なつぼみの形のロウソクが入っていた。
虹色でキラキラしている、めっちゃ派手なロウソク。
【特別なキャンドル】…品質?
特別なキャンドルです。特別な火を着けてね。
「「…………特別なモノだ!?」」
すごく聞き覚えのあるフレーズ!
露店広場にいたマッチ売りの幼女がそんな事言いながらマッチ売ってた!
「え……あの幼女関係のアイテムってこと?」
「さぁ……?」
「……ちょっと、あのマッチで火点けてみていい?」
「いいよ」
【石魔法】で燃えない台を作って、その上に特別なキャンドルを設置。幼女から買ってあったマッチで火を点けた。
……つぼみの形のキャンドルは、少しの間普通のロウソクみたいに大人しく燃えていたんだけど……やや間を置いてから、つぼみがふわりと綻んで、虹色の花が咲いた。
『おお~!』と、一緒に見ていたオバケ達と一緒に揃って歓声を上げてしまった。
普通に綺麗で見応えのあるキャンドルですねぇ。
そして綺麗に咲いた花のキャンドルの上が、ゆらり、陽炎のようにゆらいで……見たことのない扉が浮かび上がってくる。
「……なるほど、マッチ売りの少女」
「えぇ……」
……え、もしかして、この扉。開けて入れるのかな?
マッチ売りの少女は最終的に、浮かび上がったお婆ちゃんに抱き着いて、一緒に逝っちゃったし。
僕は、そーっと扉に近付いてノックしてみた。
──コンコン
「……実体あるのか」
「めっちゃある。あ、普通に開くわ。鍵かかってない」
僕の報告を聞いて、相棒が首を傾げながらシステムウィンドウを開いた。
「ダンジョンに行けるプレゼントなのか? ……ちょっとスレで調べるわ」
「はーい。キャンドルどうする? 1回消す?」
「……点けたままでいいよ」
まぁキャンドルそこそこ大きいからね。そう簡単には無くならない。
僕らがログインしたのはいつも通りのリアル夜。
つまり、リアル昼にログインしていた人の情報が上がっているのを期待して、相棒は調べ物を開始した。
……うーん、それなら僕もツリーのスクショとかプレゼントのスクショ貼ってるスレが無いか見てみようかな。
明日の投稿はお休みします。




