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キ:仮面フリーマーケットのお知らせ。


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 昨日は拠点でダラダラしつつ、帰ってきた相棒と使ってない魔法の練習とかして終了。

 そして今日になってみれば、食材がそろそろ心許ないって事で、僕はピリオにお買い物。


 そろそろ露店広場にもプレイヤーメイドの野菜とか並んでるかなーと思って向かってみたら……入口に見慣れない立て看板があった。


「『仮面フリーマーケット開催のお知らせ』……?」


 はて? 露店広場って割と普段からフリマ状態のような気がするけども?

 気になったから詳細を読んでみる。


 えーっと……プレイヤー主催で、初心者さん歓迎の匿名フリーマーケットを開催。

 日程は次の土曜日と日曜日。

 昼部門と夜部門がある……夜勤の人にも優しいね。


 で、参加証として……事前でも当日でもいいからフリマ専用衣装(1リリー)を購入?

 当日はその衣装を着ていないと会場への立入は不可?

 運営に届けを出してイベント許可と専用魔導具を貰っているので、衣装を着用しているプレイヤーのみ特設会場へ転移が可能になるようになります……へぇー! そんな事もできるんだね。


 衣装は全身すっぽり覆う黒いフード付きマントに白い仮面。マントの中も当然黒い服。

 わお……当日の会場、凄い怪しい集団になりそう。


 そして当日は……会場でフリーの相場鑑定ができます!?

 おおー! これは嬉しい!

 相場スキルが無いと最低いくらにしたらいいのかもわかんないもんね!

 この【相場】スキルって、NPCに売った場合の売値が分かるのと、スキルレベルが上がったらプレイヤー間で取引される時の最大値と最小値と平均値もわかるようになるんだって。

 何をどうしたら習得できるのかも僕にはわからないよ。商人の才能が無い。

 NPCの店は『王国で決められた最低価格で云々~』みたいな感じで需要とか関係なく値段一律なんだよね。売った物は王国に送られたって体でプレイヤーには出回らないし。

 それでも目立ちたくないって理由でNPCに売る人も多かったんじゃないかな? 僕らはNPCがどのくらいお喋りなのかもわかんなくて、グレッグさんのところ行ったけど。

 でも皆が誰だかわかんない状態で相場がわかるなら露店出す敷居はぐっと下がるよ!

 というか僕も出したい!

 才能が無くてもフリーマーケットは好きです!


 最後に注意として、このフリーマーケットではお値段以外の質問行為は一切禁止!

 詮索しない匿名性重視のイベントとして楽しみましょう! って書いてあった。

 え、すごい!

 なんて僕ら向けのイベントなんだ!!


 一番下には、なんでか戦隊物のヒーローみたいなイラストが描いてあって、そこで看板は終わり。


 これは行きたい! 絶対行こう!

 当日は混むかもしれないから、先に衣装買っておきたいなぁ。


 どこで売ってるんだろうって周りを見たら、立て看板のすぐ後ろに衣装を積み上げてるお店があったよ。

 売り子さんはグレーの服に金ピカの鎧とマントを着けてる。装備の形はフェンシングっぽい雰囲気っていうのかな。ぴったりした服を着てる感じ。その上に金色ツヤツヤの丸いフルフェイス兜と鎧マントを着てるからすごく色が目立つ。


「衣装二つください」

「ありがとうございまーす。当日出店する場合は適当な場所に品物広げてもらっていいんで。敷物だけ自前でお願いしまーす」

「わかりました」


 やりとりはすごく普通だった。

 衣装と一緒に開催日時と注意書きのメモももらった。


 えー! どうしよう!

 すごく楽しみ!!

 何売ったら皆嬉しいかなぁ!?


 魔女好きのために箒は売りたいでしょ?

 あ、籠も欲しい人いたりするかなぁ?

 森の木で小物作ってみるのもいいかもだし……そもそも珍しい木材だから売ったら売れるかな?

 畑の野菜はどうだろう? 珍しいっちゃ珍しそうだけどね?

 森で採れる素材とかはどうしようかなぁ。出す場合はグレッグさんに売ってるのと被らないようにした方がいいのかなぁ?

 そうだ、刻印使ったチャームとかもフリマっぽくていいかもしれない。


 売るのも楽しみだけど、買う側でまわるのも楽しみだなぁ。

 みんなどんなもの持ってくるんだろう!

 きっと見た事無い変な物もいっぱいあるに違いない!


 こうしちゃいられねぇ!

 急いで相棒に報告しなきゃ!!


 テンションが最高潮にブチ上がった僕は、露店広場から取って返して転移オーブに飛びつき、相棒のところへ直行した。結婚指輪は便利だね! どこにいるのかすぐわかる!


「相棒! 相棒! このフリーマーケット行きたい!!」

「はいはい、今度は何見つけてきた?」


 ネビュラにブラッシングをしていた相棒にメモを見せながら、フリーマーケットの詳細を余すことなく相棒に伝える。


「──で、これがその衣装!」

「あ、もう買ったんだ。まぁ1リリーなっ……」


 何故か相棒が衣装を見て硬直した。


 ……?

 あ、そういえば衣装を鑑定してみてなかった。

 どれどれ……



【匿名戦闘員装束】…防御+5

黒く染め上げた布で中の人を匿名の戦闘員に仕立てる装束。

全身を覆う一式。

徒党を組めば一体感が生まれる事間違いなし。

製作者:戦隊ゴールド



「…………ショッ○ー?」

「ブフッ!」


 思わず僕が零すと相棒は耐えきれずに吹き出してケラケラ笑い出した。


「ハー笑った……これ大丈夫か? また詐欺だったりしない?」

「ええっ!? ……だ、大丈夫なはず! 運営の許可取ったって間違いなく書いてあった! さすがに運営騙ったら即BANでしょ!」

「まぁ一着1リリーとかいう採算度外視で詐欺も何もないか……ってことは、この戦隊ゴールドさんは自分から黒い戦闘員を増やそうとしてる、と……マッチポンプかな?」

「ひどい陰謀みたいになってる!」

「『参加者の皆さんには、これから殺し合いをしてもらいます』」

「それデスゲーム!」


 まさかまさか。

 公式から許可もらっておいてそんなことしたら炎上どころの騒ぎじゃないよ。

 ひとしきり冗談を言って、笑って、落ち着く。


「まぁ行くのはいいよ。なんか売るの?」

「うん、楽しそうだから色々持って行って売りたい。相棒はどうする?」

「んー……それなら相棒の後ろで客寄せでもするかな」

「客寄せ?」

「リュートとかを演奏する」

「ああ、相棒が色んなゲームでよくやるやつ」


 吟遊詩人要素がある度にやるもんね。


「相棒、音楽好きだもんね……注目集めるけど大丈夫?」

「仮面被ってれば平気」

「顔を隠すことへの絶対的な信頼感」

「吹奏楽部の演奏会に比べれば……ううっ!」

「相棒のトラウマが!」


 匿名イベントって銘打たれてるなら、もう思う存分やりたい事をやろう!

 とりあえずそういう事にして、当日までに準備をしよう。

 楽しみだなぁ!


「ところで食材は?」

「………………もう一回行ってきます!」


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― 新着の感想 ―
大惨事な予感しかしねぇw
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