キ:クエスト完了、ツリーも植えよう。
再開します。
温かいお言葉ありがとうございました。
何人かモモンガが混ざっていてちょっと笑いました。
ログインしました。
僕らが夢のモモンガ幻獣ちゃんと会った次の日。
贈り物の神様に依頼されたアイテムは、無事に全部揃えることが出来た。
「他の島で長時間活動するなら、休憩所は作った方がいいかもな」
「あー、確かに」
そうしたらジャック達も、平日昼間で僕らが来ない間とか気軽に他の島に泊まり込みで遠出とか出来るもんね。
一応、転移オーブを中心にした拠点範囲から外れていても、建築は出来る。
ただし、拠点と違って知らない間にモンスターに壊されたりする可能性があるのだ。拠点認定されてる場所は、一応プレイヤーがログインしてる時しか襲撃が来ないようになってるからね。拠点以外の建築にはそれがない。
そのうち、島の安全そうな所を探して隠れ家みたいなのを作る事にしよう。
……と、いうわけで。
拠点にて、集めたアイテムを贈り物の神様に受け取ってもらう準備をする。
「一箇所に固める? まとめる? とか言ってたよね……箱とかに詰めればいいのかな?」
「……まぁ、やってみるしかないな」
【木工】のテンプレートで木箱を作って、そこにリストのアイテムを全部入れた。
すると、「はーい!」という嬉しそうな声が聞こえて、木箱の真横に贈り物の神様がポンッと現れた。
「お早い達成をありがとうございますです! こちら、買い取らせていただきますねです!」
「あ、買い取りなんですね」
「これでもそれなりのお布施をいただいている身なのでリリーはあります」
あ、やっぱりメイン収入はお布施なんだ。
そしてそれを聞いた相棒が、ボソッと呟いた。
「……つまり、お布施の少ない神様は、自由に出来るリリーが少ない……」
「シッ、それ以上はいけませんです」
あー……悲しい神様格差の一端を垣間見てしまった気分。
どうしてもね、司る概念の種類によって、人気不人気は出るよね……
リストと木箱を確認していた神様は、少し申し訳なさそうな顔で言う。
「なお、買い取りですが……ククロスオーヴ王国での流通価格で計算させていただきますです。冒険者間での相場とはなりませんので、ご容赦くださいです」
「大丈夫でーす」
ようするに、NPC売却価格での買い取りになるよって事だね。
むしろお金貰えると思ってなかったから、全然オッケーだよ。
……というかこの神様、かなり子供っぽい雰囲気してるのに、何と言うか……
「贈り物の神様って、お金の事しっかりしてますね」
「あ、意外だってよく言われますです。……贈り物とは幸せを増やすものであるべきと思っているのですが、『それならタダでモノをばら撒く危険性を理解しろ』と、昔々に商売の神様にギッチリ叩き込まれましたのです」
贈り物の神様は、そう言って遠い目をした。
……これは、昔々に何かやらかした後かな?
気を取り直した神様と、アイテムとリリーをやりとりして、クエストはクリア。
「ありがとうございましたです! 報酬として、フェスティバルのプレゼントは色をつけさせていただきますです!」
なるほど、クエスト報酬はそっちに反映される、と。
ツリーの飾りによって方向性が決まって、クエストをやったかどうかで少し豪華になるって感じなのかな?
「もしまたお手伝いしていただけるようなら、ピリオノートの露店広場でボクを見つけて声をかけてくださいです。では、フェスティバル当日をお楽しみになのです!」
バイバーイと手を降って、贈り物の神様は去っていった。
「……つまり、フェスティバル前まで繰り返し受けられるタイプのクエストかな?」
「検証勢が過労死するやつな……」
回数が多いとどうなるのかって、確かめようとする人いるもんね。
* * *
クエストもひと段落したし、とりあえず僕は、僕のフェスティバルテラコッタに枝を植えてみる事にした。
植えるのはもちろん、見つけたばかりの揺り籠の木の枝。
「いきまーす!」
テラコッタの土にしなやかな枝をブスッと挿す。
すると、柔らかい先の方がへにゃっとしていたのがシャキッと伸びて、根が出来て、根の上がぷくーっと膨らんで揺り籠状になり、上の方へと伸びた部分は枝を張って揺り籠の上にしゃらしゃらと細長い枝を天蓋みたいに何本も垂らした。
「柳の挿し木がリアルで出来るのか知らないけど……たぶんこうはならないよね?」
「……そもそも揺り籠部分が『こうはならんやろ』の塊なんだが?」
それはそう。
育った僕の揺り籠ツリーは、大体僕の身長くらいの、森のと比べると小ぶりな揺り籠の木になっていた。
「うん、カワイイ。この揺り籠の所にウチの子達の人形でも作って入れようかな」
「いいんじゃない。サンタ服とか着せたら?」
「あー! いいかも!」
だったらマリーにも手伝ってもらおうかな……というか、マリーが嬉々として全部作りそうな気がする。
人形の材料も買いたいし、上の方の揺れてる垂れ枝にも色々ぶら下げたいし、また露店広場に行かなきゃね。




