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キ:ポイント報酬チェックと、カボチャの第一歩


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 いや~昨日は大変だった。

 なんだかんだ防衛戦で、僕のレベルは12に、相棒は14に上がっていた。

 しばらく蟻の行列とか見たくないね!

 僕らが今後自主的に『アリの巣穴』ダンジョンへ行くことは無いでしょう!

 そんな後ろ向きな決意を固めながら、二人でダラダラとベッドの中で昨日の防衛戦通知を確認していた。


「……僕ら、半分くらい牧羊犬してたけど、意外とポイント入ってるね」

「相棒どんくらい?」

「1125、相棒は?」

「1147」


  そんなに違わないかな?

 ついでにポイントの交換品リストも見てみよう。


 ポイントは安いものだとポーション詰め合わせとか、種や肥料、家畜の餌、携帯食料あたり。

 もう少し上になると各種道具とか、テントや寝具、ちょっとお高いご飯、鶏、綺麗な絵なんかもある。

 どんどん消費ポイントが増えれば物が豪華になって、ある程度のラインから見たことない素材とかが出始めた。


「……装備って無いんだね」

「素材から作れって事だよ」


 なるほど。

 生産職はやりがいがありそうだね。

 公式の景品とかで生産できる物よりハイスペックな物が供給されると、生産職のお株がなくなりそうだなって思ってたんだ。


 もっとポイントが必要な……それこそ1万超えとかになると、強い従魔とか小さな家とかがリストに入り始める。

 ……へぇ、開拓地の住人を職業指定できたりするんだ? そういえば住人って基本はランダムだもんね。メイドさんも雇えるの? わーお、馬車もあるよ。


 そして10万を超えると、庭付き一戸建てとか、ランダムで素材が出る箱とか、騎竜とかの見るからに高級品が並んでいた。

 いやぁ、ここから先はもうゲームとはいえブルジョワの世界だね。

 100万の男爵の地位とか必要なクエストもあるのかな?


「……相棒、何か欲しいものある?」

「んー、今のところは特に?」

「僕も」


 1000ポイントくらいで交換できるものはね〜、『欲しい』というより『そのうち作ってみたい』って気持ちの方が強いかな。

 柱時計とかは少し心惹かれるけど、拠点の家具と雰囲気が合わないんだよね。だからそのうち職人さんを見つけてオーダーメイドしたい。


「とりあえず貯めておくか」

「そだね」


 ポイントは腐らないらしいからね。

 また今度、気が向いた時に参加しよう。


 景品一覧を閉じて、僕らはのそのそとベッドから起き上がる。


「今日はなにしよっか?」

「……適当かな」

「オッケー」


 そんな日もあるよね。



 * * *



「そんなわけで、今日はのんびりカボチャを彫ろうと思います!」

「イエーイ!」


 相棒はネビュラを連れてふらっと適当に森歩きに行っちゃったから。

 僕は生産作業をすることにしたよ。


 ジャックのレベルも上がった事だし、今日はいよいよカボチャランタンを彫ろうと思う。

 新しい拠点の作業場に、ジャックの籠を持ってきた。


「レベルが上がったら、ジャック大きくなったよね」

「オウ!」


 マッチの火くらいだったのが、松明の火くらいまで成長した。

 これくらい立派な火になれば、ランタンの中としては申し分ない。


 僕は前に収穫したカボチャの内、目星をつけていた形のバランスが良いひとつを取り出す。



【揺り籠カボチャ】…品質★★

固い皮の中に優しい甘さの夢が詰まった実。

生き物が過剰に摂取すると中毒になる。



「……ジャックはオバケだから、中毒は関係ないよね?」

「ないゾ!」


 なら良し!


 まずは【製図】を使ってカボチャに顔を描こう。

 カボチャランタンの顔にはね、僕はこだわりというか、好みの顔があるんだ。


 まず目はまんまる。眉は無し。

 ……もし表情が動くなら、この丸をベースにキリッとしたりショボンとしたりしてほしいなぁ。

 で、鼻も無し。

 口は浅いギザギザ歯がついて横に長い笑顔。目の外側と同じくらいまで口の端がくるくらいがいい。


「……いいぞぉ〜、かわいいぞぉ〜」

「オオ〜!」


 よし、絵の段階ではパーフェクトだ!

 次はこれを彫っていく。


 一応、転職した時に【彫刻】スキルも習得してるんだけど……これは使うとどんな感じかな?


「【彫刻】!」


 ……お、【裁縫】みたいに彫りのテンプレート的なものがあるね。

 直線、曲線、三角、四角、円、円弧……簡単に球を作る機能と……あ、内側をくり抜く機能もある。

 いいねぇ、ゲームらしくお手軽に彫刻が出来る感じ。

 素人でもそれなりの物が作れそう。


【彫刻】スキルを使って、絵の通りにカボチャの顔を彫っていく。

 内側を削れば立派なカボチャランタンの出来上がり!


 あとはここに、籠と同じように刻印を入れた板を入れて……


「……できた!」

「ヤッター!」


 カボチャランタンの顔をジャックの籠に向けて見せる。


「どう!?」

「カッコイイ!!」


 フフフ、気に入ってくれたようで嬉しいよ!


 じゃあ早速ジャック専用に登録しよう。


【住居登録】にも二種類あって、ご新規さん用の空き家とするものと、住人さん用の引っ越し先とするものがある。今回は後者だね。


「【住居登録】!」


 ……すると、ジャックが籠からひょいと出てきてカボチャの中にイン。


 そして……カボチャが瞬きした。


「……瞬きした!」

「オオー! 体が出来たゾ! 頭だけだけド!」


 体が出来た?


 そこで僕はふとフッシーの言葉を思い出した。

 オバケは、人形に憑依すると体を得て普通に暮らせるみたいな話だったはず!

 カボチャランタンはランタンとはいいつつ顔を彫ってるから、人形の頭判定もあるのでは!?

 あるいは、いわゆる主ナイズみたいに、AIが僕の希望を汲んで頭にしてくれたのでは!? 彫ってる時はずっと表情の事考えてたし!


 ジャックは口から炎を舌みたいにピロピロさせて遊んでいる。


 穴が空いてれば火ははみ出せるのかな……それなら……


「ジャック、カボチャの底に穴開けたら体出るかな?」

「ンンン? どーダロ?」


 わからんならやってみよう。


 一回ジャックに出てもらって、カボチャの底に手首くらいの穴を開けた。


「はいどーぞ」

「ワーイ」


 ジャックがカボチャに入る。


「オッ、オオオッ? ヨイショー!」


 掛け声と共にカボチャの底から火が出て……カボチャが持ち上がって……カボチャ頭の火の蛇みたいになった。


「ちょっ、なん、なんで〜〜?」


 思わず笑っちゃったよ。

 ジャックの入ったカボチャは、ちょっと不服そうな顔になった。


「うう~ン、体の形がよくわからナイ」


 ああ、そりゃそうだよね。

 今までずっとマッチサイズの火だったんだもん。


 でも火で頭のカボチャを支えられてはいるから、そのまま火が体になると思ってよさそう。


「素材揃えて服作ろう。そしたらそれを着れば体の形がわかるよ」

「なるほド!」


 好きな事の試行錯誤は面白いねぇ。


 とりあえずは、底に穴開けちゃって置けなくなった板の代わりに、内側に直接刻印を書く作業をしようか。


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