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ユ:だらだらと過ごす日

投稿頻度について、肯定的な声が多くて安心しました。

それならお言葉に甘えまして、ちょっと早まりますが今月末あたりから基本1日1話にしようかなと思います。

温かい声をありがとうございます。のんびり楽しんで執筆を続けたいと思います。


『うおおおあああああ!!』

『あがれぇえええええええっ!!』


 ログインまだです。


 メンタル回復とほとぼりが冷めるのを待つために、俺のゲーム内での外出を控えているため、今日は食後にダラダラとしながら2人で『人魚の滝登り大会』のアーカイブ動画を見ている。


 動画の中では、人魚達が【水魔法】の魔道具で作られた大会用の滝を必死に遡ろうとする姿が映っていた。


「なんでこのイベント5月じゃなくて秋にやってるんだろうね?」

「……こいのぼり?」

「そうそう。あれ確か鯉が滝登りして龍になった伝説関係のお祭りじゃん」

「確かに」


 映像の中の人魚達は、全速力でダッシュしているような顔で滝を泳いでいる。

 俺は真紀奈に膝枕状態で顔のコリをほぐすマッサージをしてもらいつつ、スマホを持ってそれを見ていた。


「あ~そこ、こめかみがイイ……人魚って、本気で泳げば滝遡れるんだな」

「ねー、すごいよね。人魚しかいけない横穴とかありそうじゃない?」


 本当に水場に関しては独壇場だな。ただし乾燥地帯では干物になる。


 滝登り大会の優勝は『アカミ・トロ』

 名前の通り、マグロの人魚らしい。


「……そろそろ手が疲れた」

「ん、ありがとう。交代する?」

「僕はコッてないからハグを所望する」

「おいで」



 * * *



 まったりしてからのログイン。


 とはいえ、人の多いピリオに出かける気は無いからな。

 食事を作っている間に相棒が買ってきてくれた新聞を食後に2人でだらだらと眺めている。


「お料理コンテストはめっちゃ盛り上がったっぽいね」

「料理人プレイしてるプレイヤーが意外と多いのか……店は出さなくても、自分で畑やって、肉とか魚とか獲りに行って、自分で美味いもの食べるために料理ばっかりしてる、と」

「あとクラン皆のご飯作ってる人とかね」


 そういうプレイヤーがゾロゾロと出場したコンテスト。

 予想以上に選手が増えたから、最初は会場に見学に来たプレイヤーが投票する形で予選を行ったらしい。

 大人数向けの料理を準備してきて、当日に運営が買い上げて投票する参加者に配布。得票数の多かった料理人が決戦に進む流れだ。

 ……どんな量作ってこないといけないんだ? と思ったが、まぁそこはゲームだから、運営側できちんと希望者全員に行き渡るようにコピペみたいな事がされたらしい。イベントの審査だけならそういうのもありなんだろう。


「『決戦は5名の審査員に料理を振る舞って、最も高得点を得られた料理人の勝利。審査員は10点満点で評価を行うので、最高50点が上限』……」

「フィギュアスケートの競技とかみたいだねぇ」


 審査員は

 素材に詳しい、ピリオノート冒険者ギルド長。

 味にはうるさい、ピリオノート巡回騎士隊隊長。

 美味を求めてやってきたお貴族様、ビショック女子爵。

 たまたま休暇で来ていた宮廷料理人、パン氏。

 引退した前騎士団長、開拓神の聖人グリッタランス。


「あ、いつぞやのお嬢様のお祖父ちゃんだ」

「元気そうで何より」


 なかなか厳しそうな審査員の舌を唸らせて、見事優勝に輝いた料理人は『もっふるママ』。


「クラン『もっふる動物園』のリーダーやってる夫婦の奥さんの方だってさ」

「あ、精鋭コケッコちゃんが行った所?」

「そう」


 あの軍人みたいな旦那さんは『もっふるパパ』らしい。なんてわかりやすい夫婦なんだ……



 * * *



「あ、そういえば狩猟イベント行くの忘れた!」

「狩猟イベント……この記事か。『秋の実りを食べに山から降りて来た獣を狩猟し、最も大きな獲物を獲った参加者を表彰』」

「1番大きな獲物はー……あ、やっぱりマンモスなんだ?」

「山にマンモスいたのかよ」


 まぁイベント用に1匹だけ配置されてたんだろうな……

 スレを検索してみると……ああ、やっぱり。マンモスが他にもいるのか山狩をして、いないことを確認したスレが出てきた。諦めきれないプレイヤーはまだ数人探しているらしいが。


「マンモスどんな味したんだろうね?」

「さぁ……象も食べた事は無いからなぁ……」

「なんとなくめっちゃ美味しそうなイメージがある」

「漫画肉みたいなやつ?」

「そうそう」


 原始時代とかが描かれる作品にはよく出るよな。

 前にモイモイの肉で盛り上がってたNPCもいたし、エフォ(EFO)は飲食可能な素材がかなり幅広い。


「……そうだ、トゥティノコゥも食べてみたいよね!」

「あったなそんなの……」


 キーナ、人の名前は覚えられないのにトゥティノコゥはすぐに覚えたんだな。


「どうせ相棒はピリオに行きたくないんだしさ、お散歩気分で適当にヒトの少なそうなフィールド歩いてトゥティノコゥ探してみない?」

「なるほど?」


 まぁイベント中だから、場所を選べば人は少ないかもな……後は……


「そうだな、変装して行くか。そうしたらネビュラに乗れるし、一緒に探せるし」

「おおー、いいね!」


 こういう時、気軽に森夫婦っていう匿名スタイルを選べるのは便利でいいな。


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― 新着の感想 ―
そう言えばマンモスの鼻肉?も美味しいらしいね
むしろ人が来ない秘境に居そうよね
旦那さんは料理コンテストの賞品がシマエナガだったら料理コンテストに出ただろうし、狩りの賞品がシマエナガだったら狩りにエントリーしたんだろうなぁ〜 シマエナガが滝登りの賞品じゃなくて良かったねw
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