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キ:ドールハウスの需要

夕方の投稿はお休みします。


投稿頻度ですが、フランゴ君と冬の決戦をしたあたりから基本1日1更新にしようかなと考えています。

今の執筆ペースが、だいたい1日1.7くらいなんですよね。残り0.3を駆け足してるので、のんびり余裕のある投稿にしようかなと。モ◯ハンもやりたいし……

まぁ、そもそも最初は不定期更新って言ってたので(どこかに吹き飛んでましたが……)、良い感じに話が溜まったら気まぐれに2話目も放り込むくらいにするつもりです。


 僕は変装していないコルセットスカート姿で、シロちゃんを連れてピリオノートへやって来た。

 ちょっとシマエナガ見せびらかすみたいになっちゃうけど、仕方ないね。気にしない気にしない。

 なお、しばらく街に出たくない相棒は留守番です。アニマルセラピーにネビュラをもふもふしている事でしょう。


 1回ログアウトしてドールハウスの店を確認してきてくれた相棒情報に従って、広場から東の門へと向かう。


 時々「あっ!?」って感じの視線は飛んでくるけど、まぁそれだけ。

 シマエナガ、小さいからね。サッとすれ違ったら見逃すサイズ。

 僕が相棒と夫婦ですアピールしたのは配信外だから、僕の見た目でピンとくる人はそんなにいないだろうし。


 ルンルンと歩いて門を抜ければ、そこはもうひとつの防壁との間に広がるプレイヤー居住区。


 ここの東門の近くにドールハウスのお店があるらしいんですが〜……あ! あったあった。


 店先に看板代わりのドールハウスが飾られてるお店。

 店名は『胡桃のベッド』、おやゆび姫かな?


 ……なんて考えながらじっくり眺めていると、普通の扉の下の方に小さな扉があって、そこがパカッと開いて小人さんが出てきた。


 そっか……確かに普通の扉の大きさだと小人とかフェアリーとか困るよね。大きくて開けられないもん。

 あれ? もしかして他の店にも僕が気付いてないだけで、こういう小さい人用の出入口があったのかな?


 出てきた人と会釈してすれ違って、うっかり蹴らないように他の小人さんとかがいないのを確認してから扉を開いて店に入った。



 ……おおー! すっごい!

 店の中は綺麗なドールハウスと小さな家具でいっぱい!


 なんかすごく独特な店。

 店の中の壁にたくさん棚が作ってあるんだけど、その棚全部に階段とか手すりが作ってあって、小人さんが歩いて近くへ見に行けるようになってるの。

 店の真ん中には大きなテーブルがあって、そこにもたくさん家や家具が並んでる。

 そのテーブルの中央には天井まで伸びてる柱があって、ツリーみたいに何段も棚が追加されていて、上り下りができるようにグルグルと小さな螺旋階段が作ってある。

 そして普通サイズの人が通る時に困らないくらいの上の方で、周りの棚と柱とが小さな吊り橋で繋がれていた。


 ものすごく小人に配慮された作りのお店!

 ……というか、完全に小人用のインテリアショップ!


 小人大満足仕様の証明みたいに、店内の棚のあちこちに小人のお客さんが歩き回って買い物を楽しんでいた。

 フェアリーも何人かヒュンヒュンと店内を飛び回ってる。

 メ〜ルヘェ〜ン!


「あら、大きなお客様。いらっしゃいませ。ようこそ『胡桃のベッド』へ」


 近くの棚にいるハタキを持ってエプロンをつけた小人の女性店員が、にっこり微笑んで声をかけてくれた。

 そう、『大きいお客様』の言葉通り、この店のお客は小さい種族ばっかりなのだ。

 僕、めっちゃアウェイ!


「えっと……ここって、ドールハウスのお店であってます?」

「はい、大きなお客様にはミニチュアのドールハウスとしてお買い求めいただいております」

「……大きくないお客様には?」

「実用品としてお買い求めいただいております。鍋や食器等も、飾りではなく、きちんと実際に使用できる物を取り揃えておりますので」


 ですよね!

 だって体の小さい種族が普通に暮らしてる世界観だもん。

 プレイヤーだって、自分の体にあった生活用品が欲しいだろうし。

 あっちの壁には『小種族向け内装リフォーム、承ります』の張り紙も。


「最近は、小人の皆様にネズミ関係のクエストが多発しているようで。ありがたいことに、当店をご利用いただいているんですよ」


 店員さんが示した方を見ると……あ、ネズミだ。

 小人とネズミが連れ立って一緒に買い物しに来てる!?

 えっ、ネズミが椅子の座り心地とか確かめてる! ドールハウスの中に入って、内装を確かめてる! その包丁使うんですかネズミさんが!? あーベッドとかちょうどいいサイズですねネズミさん!

 え、会話してる?

 あのネズミ普通に人の言葉喋ってるね!?


「……最高にメルヘン」

「ですよね。お客様は、本日は何かお探しですか?」


 あ、そうだったそうだった。


「えっと……この子が寝床にこだわりがあるみたいで、イイ感じの家が無いかなーと探しに来ました」

「ジュリリ」

「あらあら、小鳥のお客様は珍しいですね。ご要望はどのような?」

「えーっと……壁はクルミくらい硬い木でー」

「ジュリッ」

「部屋数が……4?」

「ジュリッ」

「床にふかふかが欲しくて」

「ジュリッ」

「綺麗な装飾付きでー」

「ジュリリリリッ」

「あとなんだっけ……あ、窓だ! 窓があって」

「ジュリリィ」

「ベッドは羽毛布団?」

「ジュリッ」


 僕が記憶を辿る度に頷いてくれるから助かる。


 全部聞いた店員さんは、パチパチと呆気に取られた感じでまばたきを数回した。


「まぁ……シマエナガ様は、なかなか具体的なご要望をお持ちなのですね」

「ジュリッ」

「お布団は最後に選んでいただくとしまして……まずは物件をご覧いただきましょう。こちらへどうぞ」

「ジュリリッ」


 おお……意気揚々とシロちゃんが案内されていく。



 そうして紹介されたのは、お屋敷みたいに立派なドールハウス。

 出入口が2つあって、片方を部屋の中に、もう片方を壁を貫通させて外につなげてあげれば好きに遊びに行ける仕様。

 絨毯が敷かれた部屋に、羽毛のふかふかクッションを入れればオッケー。

 シロちゃん大満足の一品。もちろんお買い上げ。


「またのお越しをお待ちしております」


 またのお越しは……あるかなぁ?

 まぁ、もしも小さい家とか家具が必要になったら来るかもしれないね?



 インベントリに入れて拠点へ持ち帰ったドールハウスを、相棒と一緒に寝室の壁へ固定。

 中に入ったシロちゃんが満足気に「ジュリジュリ」鳴いて……その体が光の輪に包まれた。


「シロちゃん? シロちゃん!?」

「Oh……」


 そして光が収まるとそこには……ちっっっっちゃい王冠を頭にちょこんと乗せたシマエナガの姿が!



 プリンスシマエナガ Lv3



「「プリンス!?」」

「ジュリリッ!」

「……あの寝床の要求は、まさか進化条件か?」

「ええええええ!?」


 ただ、進化しても睡眠バフのペット用従魔な事は変わらないみたいだった。

 ……まぁ、シロちゃん本鳥がご満悦だから、いいか。


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― 新着の感想 ―
他のシマエナガはまだ進化してないだろうし、外に連れ出すと身バレする危険が増えちゃったね。 まぁ室内用ペットだし大丈夫かな。 更新は無理のない範囲で。 モチベーション大事。
プリンス(ものごっついCV) と言うか、そうか〜ドールハウスは実用品だったんだ〜w
フェアリーがヒュンヒュンしたあとハタキ持った店員さん登場で数瞬ハエタタキと混同してヒエッってなった
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