キ:本拠点、建築。
タイトルのside部分、時間のある時にカタカナ表記に修正します。
コダマ爺ちゃんのお説教がやっと一段落。
フッシーはその間ずっと笑ってた。
ジャックは面白そうに聞いていて、霊蝶達は途中で飽きてヒラヒラどこかに飛んで行った。
相棒とネビュラは声が煩いのが辛かったみたいで、二人で狩りに行っちゃった。
僕が残ったのは、コダマ爺ちゃんが来たことでやりたい事が増えたから。
「コダマ爺ちゃん、早速【木魔法】使っていい?」
「構わんぞ」
早速コダマ爺ちゃんを杖の籠に入れる。
コダマ爺ちゃんが入ると、籠の隙間からは根っこと葉っぱの枝が数本飛び出した。
「狭くない?」
「問題ないわい。根を伸ばしたいだけじゃ」
足を伸ばして座りたい的な事かな?
まぁ大丈夫ならいいや。
さて、僕がやりたいのは、本拠点の建築。
そろそろね、初期のコンテナハウスから卒業しようかなって。
そこにコダマ爺ちゃんが【木魔法】なんて持ってきてくれたからさ。
これはもうせっかくファンタジーなんだし、メルヘンな生きてる木の家を作るしかないかなと思ったのさ!
「……っていうことなんだけど、僕にできるかな?」
「ふむ……MPが尽きるかもしれんから、何度かに分けた方が良いじゃろ」
助言にしたがって、まずは太い大木を作る事にした。
方角を確認して、敷地にあんまり影がかからない方に場所を決める。
「【ツリークリエイト】!」
森に生えてるぐるぐるした木が、にょきっと生えてメキメキとイメージ通りに大きくなっていく。
もともとそんなに背の高い種類じゃないみたいだけど、周りの森の平均的なサイズになったあたりで僕のMPが尽きた。
「一回でこのくらいかぁ」
「今の強さならそんなものじゃろ」
MPポーションを飲んで、もう一回。
「【ツリークリエイト】!!」
今度は太さを重視して、さらに成長させる。
木は少し寸胴な感じの、この木の特徴である表面のぐるぐるがしっかり渦を巻いている青白い立派な巨木に成長した。
高さはあんまりない。ちょうど建物三階分くらいって感じ。
僕は追加のポーションを飲んで、もう一度魔法を使う。
「【ツリークリエイト】!!!」
出入り口の穴をあけて、木の中を強度に不安が出ない程度に中空にする。
流石に木の中で火を使うのは怖いから、入って右側にもう一つ大きな穴を開けて、木と一体化しつつはみ出る形で調理場を【建築】した。
調理場の壁は石材で。
せっかくだから、二階に木製の部屋も作っちゃおう。そこも本体の巨木の方とくっけて……ベランダもつけて……
こっちの増設した部屋は僕の作業場にしようかな。相棒は地下に作業場が欲しいって言ってたから。
巨木の二階も作って……奥の方に階段をつけたところでまたMP切れ。
「ゲームじゃなかったらポーションでお腹タプタプになるよこれ……」
「人の子の住処は随分と細かいんじゃなあ〜、リスの巣穴のような物を考えておったわ」
ちなみにHPポーションはリンゴ味でMPポーションはブドウ味。どこぞのジュースメーカーと協賛してるんだってさ。
「【ツリークリエイト】!!!!」
相棒用の地下室行きの階段を、根の中を通る感じで作る。
相棒は毒とか使うから、床と壁は石張りにしようね。天井も、板を張って……
「よし、形はこんなもんかな」
次は【建築】でドアとドア枠を作る。
部屋を区切りたい所に置いて……【木魔法】で木の壁の方を動かして埋め込む。
一階が居間とキッチン。
二階が寝室と僕の作業場。
地下が相棒の作業場。
倉庫はどうしようかな……今の所、結婚システムの共用インベントリで足りてるんだよね。足りなくなったら考えようか。
あと、ガラスが無いから窓が作れないんだよね。完全に忘れてた。
買ってくる……? ロウソクとかも欲しいっちゃ欲しいけど。
んー……とりあえず後回しでいいか。
差し当たり穴を開けて戸があるだけの窓をつけておこう。
まずやれるところまでやって、後で必要な物まとめ買いする方がいいかな。
じゃあ家具を作っていこう。
リアルだったらね、敷物から用意しないといけないけど。ゲームだから、インベントリに突っ込めば家具は簡単によけられる。だから後でも大丈夫。
ここの森の木を使って、【木工】でどんどん家具を作っていこう。
【木工】のレベルが上がったから、面取りしなくても大丈夫な丸っこい家具がメニューに増えたんだよ。
まずは居間のテーブルと椅子。ゆったり使える丸テーブルと、シンプルなダイニングチェア。
ソファは僕のレベルだとまだ作れないや。また今度。
籠をひとつ編んで、いつぞや森で採ったカラフルな実を入れて飾っておく。
キッチンの調理台兼収納棚と、食器棚を作って。
あ、換気口無いや。煙突斜めに生やしておこう。
僕の作業場に机をひとつと、椅子をひとつ。あとは棚をいくつか。
相棒の作業場にも机と椅子と棚をいくつか。配置は好きにするでしょ。
寝室にはとりあえずタンスと本棚。武器ラック。
そしてメインのベッドですよ!
後回しにしてただけあって、スキルレベルも少し上がってる。
良いベッド作るぞぉ〜。
「おお、だいぶ家になってる」
「あ、おかえりー」
トンカンしてたら相棒が帰ってきた。
「どうですかこのベッド」
「良いじゃん」
ベッドはね、柱に細めの丸太を使ったカントリーな形のベッドですよ!
せっかくのゲームだから、二人でゆったり使えるクイーンサイズだ! まぁ、また敷布団が必要になったんたけどね!
「天蓋付きがよかったりした?」
「しないよ」
ふざけて訊けば苦笑いが返ってくる。いつものやりとり。
「後は何がいる?」
「えっとね……家具は一通り作ったけど、敷物が一つも無いね」
「ああ、敷物か」
「あと、窓用のガラスと、ロウソクで灯り点けるなら蝋燭立てとか」
「なるほど」
「だから近々買い物に行きたいな」
「一緒に?」
「一緒がいいな」
二人の家の物だしさ。
それならさっさと完成させようって事で、休憩挟んでから二人で街に繰り出した。
懐かしいなぁ、結婚直後の新居に引っ越した時、こんな風に買い物したね。
NPCの敷物屋さんで、濃いグレーの敷物と、似た色合いのカーテンを買った。窓のサイズを調整できるのってすごい便利。
あとはクイーンサイズの敷布団と、ガラスと、シンプルな鉄の燭台。
持って帰って一緒に配置する。
いいね、部屋の雰囲気が落ち着いた。
窓も思いっきりファンタジーに振り切って丸窓にしちゃった。
日が落ちた部屋の中で、ロウソクに火を付けると、部屋がほんのりオレンジ色に浮かび上がる。
「おおー、雰囲気あるな」
「ねー」
これは良い拠点が出来ましたよ!
まだまだ飾り付けはしたいけど、現状は大満足!
ちょうどいい時間だから、灯りを落として、早速新品のベッドで就寝しつつログアウトしよう。
あ、寝心地良いね。最高かよ。
「仮拠点の方はどうしよっか?」
「んー、とりあえず置いとけば? 邪魔になったら解体で」
「そだね」
何かに使うかもしれないしね。
じゃ、おつかれー。




