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キ:即席凍結封印作成


 チーム初心者+幽霊+僕らで挑む、ダークスライム再封印作戦、開始します!


 まず大前提として、何よりも避けたいのは周辺に被害が及ぶ事。

 だからまず、一番隠密向きの相棒が、男爵側の人目を掻い潜って城へ知らせに走る事になった。

 一番高レベルの相棒が一時離脱するのはちょっと不安だけど、プレイヤーが死ぬよりもNPCが死ぬ方がイヤだからね。

 相棒ならそれなりにお城に顔が……変装衣装が? 効くようになってるから、スムーズに上まで話が通るはず。


 で、相棒が戻って来るまでの間に、僕らは作戦遂行の準備を進める。

 オバケの少女とポルターガイスト達には今まで通りにダークスライムが外へ行かないようにグルグル誘導してもらって、その間に急いで作業。


 図面で建物の構造を確認して、一番頑丈そうなのは地下の倉庫だろうって事を確かめた。

 チーム初心者が地下室をチェック。

 特に怪しい物や危ない物が無い事を確かめる。

 ……大丈夫、怖いボスとかはいませんでした。というかこれからボスをそこへ誘導します。


 地下室の天井……つまり一階の床は木製だから、そこに落とし穴を作る事になった。

 チーム初心者の三人が、錬金術士のファンブラー・盛塩さんを中心に穴を空ける作業をする。


 僕はその間に、チーム初心者が持っていた奥の手の魔道具とやらに、魔法を籠める事になった。


「盛塩がプレイヤー錬金術士さんの所で修行兼バイトをした時に貰った物なんです。先端の宝珠に魔法を籠めると、中で魔法の威力が増幅されて、一発だけドカンと強力な一撃が放てるとか」

「それ、撃ったら魔道具が壊れるやつ?」

「そうです、よくあるやつ」


 その魔道具は、先端に大きな宝珠のついた杖のアイテム、『マジカル☆リーフロッド』

 大きさも形も、魔法少女が持っているロッドみたいなファンシー仕様だった。


 その宝珠部分に、メンバーの中で唯一の【氷魔法】持ちの僕が、全力で凍結するイメージの魔法を籠めておく。

 これを使ってダメだったら、潔く諦めて他に任せようって方針。

 自分達に出来る事の見極めがハッキリしていて、いいと思います。


 ……よし、こんな感じかな?

【氷魔法】を籠めると、魔道具の宝珠が深い青色に染まった。


 バンを仲間にしていたおかげで【氷魔法】を習得出来ていてよかったし、石に魔法を籠めるのは試した事があったから、迷う事がなくてよかった。

 ちょっと心配なのは、僕の【氷魔法】が覚えたてホヤホヤすぎてスキルレベルが低い事。

 MPは全部注ぎ込んだけどねー、魔道具パイセンの増幅効果に期待するしかない。

 ……増幅効果がものすごかった場合は……まぁ家の一軒くらいで済みますように。


 空っぽになったMPをポーションで回復していると、落とし穴完成の報告が来た。


「まあ、穴空けて布被せただけですけど」

「ポルターガイストの誘導で外に出ない程度なら引っかかってくれるっしょ」


 準備が出来た所で、相棒が戻って来た。


「どうでした?」

「魔術師団長に直接話せた。半ギレで手配始めてくれたから、外のゴロツキも逃さないように動いてくれると思う」

「最高です」

「ありがとうございます!」

「あの魔術師団長ってキレたりするんですね……」


 見た目クールだけど意外と感情出るよ、あの魔術師団長さん。


 そしたら相棒には、事を始める前に盗品を確保しに行ってもらった。

 うっかり屋敷が大破したら、持ち主に返せなくなっちゃうから。先に避難をさせておく。

 インベントリに入れて取ってきて、戻って来てから初心者3人組のインベントリに移した。


 さて、準備は完了。

 後は打ち合わせ通りに動くだけ。

 不測の事態には都度対応するしかない。


「じゃあ、始めましょうか」


 ハンドアウト1さんの言葉に、全員揃って頷いた。



 * * *



 少女の幽霊の指示に従い、ポルターガイスト達がダークスライムを一階へと誘導してくる。


 ある程度近くまで来た所で、僕と探索者Aさんを除く全員に【鏡魔法】をかけた。


「【ミラークリエイト】!」


 ネビュラに聞いたダークスライムの厄介な所は、かなり高レベルの【闇魔法】。周囲の生物のHPを吸い取り、衰弱させてから襲いかかって来るらしい。

 だからその魔法を跳ね返すように、鏡の盾を張る。


 ……うわ、これもMP消費激しい……っていうか、僕の考える魔法って仕様が細かいからMP消費が多くなっちゃうのかな? ……うん、そんな気がしてきたぞ?


 盾を張った全員で、ダークスライムをおびき寄せる。

 魔法職の僕と探索者Aさんは地下室で待機。


(ダークスライム、レベル80)

(高っ)


 ほんとに見つかったら即死案件のクリーチャーじゃんすか。


 戦闘音が近付いてくる。

 ……でもそんなに速くない。動きはそこまで機敏じゃないのかな?


(行くよ!)

(オッケー)

「来るよー」

「はい!」


 直後、バタバタと上の階になだれ込む足音と怒号。

 ポルターガイスト達の笑い声。


「来た来た来たぁああー!」

「はい、ジャンプ! 飛べ!」


 落とし穴の上には、ダメ押しで鶏肉が設置してある。


「こっちよダークスライム!」


 幽霊の少女ちゃんが、その鶏肉の傍でスライムを呼ぶ。



 ── 一瞬の静寂。そして



「落ちたああああ!」


 僕らのいる地下室に、布ごとバスケットボールより2回り大きいくらいの黒いスライムが落ちてきた!


「【アイシクルクリエイト】!」

「いっけぇええええ!!」


 放つ、僕の【氷魔法】と探索者Aさんのファンシーロッド。


 直後、僕らの視界は白く染まった──



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― 新着の感想 ―
初心者が受けたクエストにしては死霊魔法があったらとか上位魔法が必要とか難易度がさすなろって感じかなぁ
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