キ︰ドロップ品の処分
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昨日は結局防衛戦終わったら、ドロップ品集めて壁の修理してーってしたらもう疲れて落ちちゃったよ。平日だったしね。
レベルも二つくらい上がったけど、感慨より疲労の方が強かった。
現時点での僕らのステータスはこんな感じ。
キーナ
種族:エルフ
職業:ネクロマンスクラフター
Lv6
HP:7
MP:15
筋力:4
魔力:18
強靭:4
精神:11
俊敏:5
ユーレイ
種族:ヒューマン
職業:狩人
Lv9
HP:10
MP:13
筋力:8
魔力:7
強靭:11
精神:6
俊敏:23
「なんだかんだあの襲撃を被害ゼロで済ませた僕ら凄いのでは?」
「半分以上フッシーの手柄だと思うけどね」
「……もしかしてだけど、そのフッシー効果で襲撃がヤバかったりした?」
「それもあるかもしれない」
なんてこった。
「さて、とりあえずドロップの確認するか」
「おー」
やたら数が多かったからドロップ品の数もすごい事になってる、
【うたた寝ウサギの毛皮】が山盛り、レアドロップっぽい【うたた寝ウサギの尻尾】が少々。あのウサギはお肉は落とさないんだね。
宵闇キツネのドロップは、【宵闇キツネの毛皮】がたくさん。レアドロップは……【キツネの葡萄】かな? これが二個。
夢喰い鹿のドロップは……【夢喰い鹿の皮】、これが少々。レアっぽい【夢喰い鹿の角】はひとつだけ。鹿はあんまり数が多くなかったからね。
そしてお待ちかね、ボスのワンパンベアのドロップ、【ワンパンベアの剛爪】。
熊はこれだけ。毛皮は無かったね。
【うたた寝ウサギの尻尾】…品質★★
うたた寝ウサギから稀にとれるフワフワの尻尾。
悪い夢を遠ざける効果がある。
【宵闇キツネの毛皮】…品質★★★
宵闇キツネから取れる黒く艶のある毛皮。
夜に溶け込む性質を持っている。
【キツネの葡萄】…品質★
何故かキツネが持っている葡萄。
とても酸っぱい。
【夢喰い鹿の皮】…品質★★
夢喰い鹿からとれる皮。
曖昧な場所でも形を失わない性質を持つ。
【夢喰い鹿の角】…品質★★★
夢喰い鹿の貴重な枝角。
【ワンパンベアの剛爪】…品質★★★
ワンパンベアのとても丈夫で鋭い剛爪。
その爪は獲物の体を一撃で深く深く抉り込む。
うう~ん、中々のラインナップ。
キツネの毛皮は相棒の装備に良さそうだけど、他はどうしたらいいんだろね? 【夢喰い鹿の皮】とかどうしたらいいのかサッパリわからんよ。
「どうしよっか? 昨日落ちてから話した感じだと、素材ある程度減らさないと次もヤバそうだよね?」
「そうだね。売って何か買おう。ポーションは使って減ったから補充したい」
「じゃあ僕、まずは買い物行ってこようか?」
「そーね、ご飯軽く作るから。それ食べたら行ってきて」
「はーい」
本日最初のゲーム内ご飯はベーコンとトマトのサンドイッチでした。
大変美味しゅうございました。
* * *
というわけで、街へ。
いやぁ、こんなに頻繁に街に来ることになるとは思わなかったよね。
他の開拓勢はどうしてるんだろ? 後で相棒と一緒に動画か配信でも探してみようかな。
露店広場に到着。
……あ、前に買い取り頼んだオッサンがいる。
名前は……えっと…………グ……グラタン? 違うな、グなんとかさん。……名前覚えるの苦手なんだよね。
「こんにちは」
「おう、あんたか」
あれ、覚えられてる。
……財布空っぽにしたからかな。
「あんたらが来たら頼みたい事があったんだ。ちといいか?」
「はい?」
オッサンは近くに他の人が多くない事をチラッと確認してから小声で言った。
「あのウサギの毛皮な、もしあったら多めに売ってもらう事はできんか?」
「ウサギ?」
「知り合いの拠点近くにダンジョンが見つかってな。そこの敵が精神異常系のデバフを多用するんだが……あのウサギの毛皮で作った装備がかなり有効だった。金額は色を付けるから、頼む」
……これは、チャンスなのでは?
「じゃあ代わりじゃないですけど、こっちからもひとつ頼みが」
「なんだ?」
「石材を手配する事って出来ます?」
前に木の建材を買った時、NPCの店に石材が無かったんだよね。
今後、あの熊みたいなのがまた来ると怖いから。外壁は石に換装したいねって相棒と話してたんだ。
「出来るが……石材はそこそこ高いぞ?」
心配そうな顔のオッサンに、僕は笑顔で麻袋をいくつかドドンと差し出した。
中身はいくつかの採取品とドロップ品。
つまりは、山盛りのウサギの毛皮入り。
オッサンは中を確認して目を剥いた。
「……襲撃か?」
「はい……お金とアイテム貯めすぎたのか、ボス付きで始まっちゃいまして……」
「初回で!?」
「初回で」
あ、やっぱり珍しいんだ。
厳ついオッサンがめっちゃビックリしてる。ちょっと面白い。
「……なるほど、それで金を減らして頑丈な壁が欲しいのか」
「ですです」
「……いいぞ、ツテはある。今回の買い取り分は全部石材にするって事でいいのか?」
「んー……インベントリ溢れますかね?」
「石材一種類ならそこまでいかん。というか一度に全額分は無理だ。分割になる」
「ならそれで……あ、鉄も少しあると嬉しいです。それとポーションの補充は今日していきます」
「わかった」
オッサンはまた袋の中身を見ながらパチパチと算盤を弾いて、紙に明細を書き付け、ありったけのポーションと一緒に渡してきた。
「金額とポーション分の会計はこうなる。ある程度の量が揃ったら連絡を入れるが……フレンド登録はしてもいいか?」
「いいですよー」
「……前に一緒にいた旦那に怒られんか?」
「フレンド登録くらいで怒んないよ」
そこまで束縛強くないよ僕ら。ちゃんと言っとけばいいだけ。
オッサン……グレッグさんとフレンドを交換する。そうそう、グレッグさんね。財布を空にしたグレッグさん。
「じゃ、お願いします」
「おう、こちらこそ助かった」
win-winってやつだね!
後は、籠とか増やすだろうから。他の店で麻紐とか使えそうな物を適当に見繕って行こう。
……あ、それマヨネーズ!? ケチャップも!? 買いまーす!