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追放令嬢とユカイな仲間の開拓史  作者: 琥珀猫
第一章 侯爵令嬢、追放される
12/13

第12話 再会



 「リジー!」

 「キキッ~~~!」


 リジーは大粒の涙を流しながらスカーレットに思いきり飛び込む。

 さぞかし怖かったのだろう。

 ちょっとした恐慌状態で取り乱している。


 「キッキッキキッキッキィ~!」

 「うんうん、怖かったね。でもね「キキッキィ~~イ!キキィー!」

 「うんうん、本当に無事で良かったわ。だから「キキィ~キィ~」

 「リジー。ちょっと聞い「キキッキキッ!キィ~」

 「……リジーさん。」

 「キッ??」

 

 そしてリジーはハッとする。

 ここはスカーレットの胸の中……ではなく、スカーレットの顔面だと言うことに。


 「一旦、離れてもらえるかしら。」

 「……キィ。」


 貼り付いていた顔面からそっと離れ、今度こそスカーレットの腕へ抱かれた。



 お互いの無事に心から安堵する2人は、帰路に着く。

 

 しかし、魔獣というのはいったい何なのか。

 生存本能を越えるほどの破壊衝動や殺戮衝動を持つなど生物として異常としか考えられない。

 魔獣は何故、存在するのかーーーー

 魔王が産み出したとか、障気に触れた動物が魔獣に変容するとか幾つかの説があるが、未だどれが正解なのかは分かっていない。

 「この森にやたら魔獣が蔓延ってると言うなら、何が理由なのかしら。魔獣には出くわしたくないけどいつか解き明かしたいわ。」

 「キィ……」

 「ふふっ、リジーももう会いたくないわよね。」

 拠点をしっかりと整えて落ち着いてきたら、森のもっと奥の方まで探索したいものだ。


 

 そろそろ、夕食の支度に取り掛かろう。

 先日作った簡易釜戸に火をおこす。

 今日採取したちょっとした山菜や、残りの山の芋、干し肉でスープを作る。

 魔獣との戦闘は思ったより疲労したようで、今日は早く休みたい気分だ。


 スープを作る隣で焚き火をおこし、鉄の大鍋で湯を沸かす。温かいお湯で体を拭きたいのだ。

 出来上がったスープを食べ、体を拭く。

 「はぁ。温かいお湯はやっぱり気持ちいいわ~。出来る事ならお風呂も作りたいわね。」

 そんな野望を抱きつつ汗ばんだ体を拭き終え、火の後始末をしていたスカーレットはピタリと動きを止める。


 「リジー。」

 「キキ?」

 「屋根の上に避難して。何かあったら全力で逃げるのよ?」

 「!!!」

 

 リジーも何かを感じ取ったのだろう。大急ぎで屋根に上がり身を隠そうとしている。


 禍々しい何かが近づいてくる気配。

 その『何か』が森の中から現れる。

 凶悪で醜悪な殺気を放ちながら。


 現れたのは昼に遭遇した熊の魔獣だった。

 ただ違うのは、体の大きさだ。昼のものより倍以上大きい。


 「魔獣にも親子とかあるのかしら?」

 首をコキコキ鳴らしつつ相手の様子を伺うが、間違いなくあちらはヤル気だ。

 「せっかく体を拭いたのに。」

 「ゴガァーーッッ!!!」

 魔獣が雄叫びを上げる。

 「……。また涎だわ。本当に最悪よ。」

 吐き捨てるようにそう言った瞬間、魔獣が地を蹴って飛びかかってきた。

 スカーレットも飛び出して魔獣を迎え撃つ。

 出来るだけ小屋に近づけないためだ。

 お互いの間合いに入った刹那、魔獣は鋭い爪を振り下ろす。その動きを予想して、少し身を屈め横へ体をずらしたその時ーーーー

 ヒュンッ!

 「!!!」

 凄まじい速さで魔獣の角から飛んできた何かを既で躱し距離をとる。

 地面にはざっくりと角が突き刺さり、魔獣の額からは今まさに、新しい角がメリメリと生えてきているのが見えた。

 「何でもありね。」

 昼の個体より明らかに厄介な相手のようだ。

 「次で決めるわ。」

 スカーレットは息を整え、次の瞬間、地面を蹴って距離を詰める。魔獣はその速さにスカーレットを見失い、慌ててあたりに視線を巡らすが全く気配を捉えられない。

 魔獣の本能が警鐘を鳴らす。

 魔獣は滅茶苦茶に両腕を振り回し何者も己に近づけさせまいとするが、もう遅い。既に背後に回っていたスカーレット渾身の上段蹴りが魔獣の側頭部を捉えた。

 

 ドゴォッッ!!!


 一直線に吹き飛ばされる魔獣。

 そしてーーーー

 脳漿を撒き散らしながら吹き飛んでいく魔獣の方向に突然、人影が現れる。


 「えっ!?」


 何故かそこには、執事服を身に纏い驚愕の表情を浮かべる見覚えのある青年が、頭部が半分ぐちゃぐちゃになった魔獣を目がこぼれ落ちんばかりに凝視している姿があった。

 

 

 

 

 

 


 


 

 



  


 


 


 


 

 

  

 

 


 


 

 


 



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