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追放令嬢とユカイな仲間の開拓史  作者: 琥珀猫
第一章 侯爵令嬢、追放される
11/13

第11話  魔獣との遭遇



 それから仲直りをした2人は上流へ歩き出す。

 

 今後のリジーの避難場所を、スカーレットの胸元のポケットと決めて行動再開だ。


 感覚を強化したまま、川沿いから森の中を観察しながら早足で歩き、少し進んだところでいよいよ森の中へ入っていく。


 ビリビリビリッ。


 スカーレットはハンカチーフを細く裂き、紐状になったそれを木の枝にしっかりと結びつけて道しるべを作る。


 「本当は簡単でもいいから地図を描きながら進みたかったわ~。書くものがないから仕方ないのだけど。」


 頭の中に地図を描いて出来る限り記憶しながら探索を進める。

 

 キノコやハーブを見つけては少しずつ採取しながら歩いていると、赤や紫の実をつけた低木の群生を見つける。


 「見て、リジー!ベリーがたくさん実をつけてるわ。」


 赤い実のラズベリー、紫の実のブルーベリー、黒みがかったものはブラックベリー。みんな艶やかに輝いている。


 「このまま食べても美味しいのよね~。はい、どうぞ。」


 リジーは甘味の強いブラックベリーを両手で受け取り、パクッと噛る。


 「キッキキィ~♪」

 「ふふっ。気に入ったのね。尻尾がゆらゆらしてるわよ。」


 ポシェットからハンカチを取り出し収穫していく。

 スカーレットもベリーは好きだ。

 特にブルーベリーのレアチーズケーキは甘酸っぱくて大好物だ。

 

 「またいつか食べたいわ。」

 「キッ!キッ!」

 「作り方、知らないけど。」

 「……………。」


 摘んだベリーを優しくハンカチで包みポシェットへしまう。

 

 また少し歩いていくと黄色い棒状の果実を見つけた。バナナだ!全部は取らないように採取してはポシェットへ入れていく。


 「少し味見しちゃいましょ~。」

 皮を剥いてバナナを頬張る。ちゃんと完熟していて仄かな甘味とねっとり食感が食べ応えを感じさせる。

 少しちぎってリジーにも手渡した。尻尾が揺れているので、気に入っているようだ。

 

 バナナを頬張りながら空を見る。

 夏に向けて着々と強まる日射しは木陰に居ないと暑いくらいだ。

 

 バナナを食べ終えたリジーはまたベリーの低木を見つけて摘まみに行った。


 「遠くへは行かないでね~。」


 一声かけスカーレットも何か採取出来るものはないか見渡してみると、すぐそばの樹に手のひらほどの大きさの実が何個か生っているのが見えた。


 「あれは………。昔、図鑑で見たことがあるような気がするわ。なんだったかしら~。」


 手に取ってみたら思い出すかもしれない。


 「リジー、あの実を採ってくるから待っててね。」

 「キキッ。」


 スカーレットはサッと跳び上がり太い幹の上に着地する。更に次の幹へと跳び移り、あっという間にてっぺんまで移動した。

 

 枝先に生っている実を採るため、枝をしならせ手繰り寄せる。

 少し茶色味がかった黄緑色の実は、表面に小さな突起が無数についている。

 トゲがないことを確認してから、採取しているとーーーー


 「キキキッッ!!!」


 緊迫した大きな鳴き声にハッとすると、大きな何かがリジーに飛びかかるのが見えた。


 「リジー!!!」


 スカーレットは木から飛び降りて着地した途端、地面を蹴って加速し目にも止まらぬ速さで襲撃者に蹴りかかった。

 襲撃者も間一髪で後ろに身をかわし、距離をとる。


 「リジー!!」

 「キキキッ!」

 

 良かった、無事だ。

 素早く回りの気配を探ってみるが、あるのは目の前の襲撃者のものだけで、他に仲間などはいないようだ。


 「危ないから木の上に避難して。回りの気配に気をつけて。行って。」

 「キッ!!」


 リジーに声をかけながら目の前のものを観察していると、明かな違和感に気づく。


 「??………普通の生き物じゃない?」


 体長2mほどの真っ黒な体躯は異常に筋肉が盛り上がっている。真っ赤な眼球に爪と牙は鋭く伸び、額からは1本の角が生えている。

 熊に近いが、違う。

 

 「これは、魔獣………?」

 

 興奮しているのか口から涎を垂らし荒々しく呼吸するその様は、その生き物の異常性を示している。


 「魔獣に威嚇は効かない??」 

 

 実をいうと、この森に追放されてからというもの、ずっと覇気を放つことであえて『スカーレット』という強者の存在を示してきた。

 普通の生き物ならば、脅威を感じるものには近づかない。それが生存本能だからだ。

 実際、森に入ってから1度もリジー以外の動物には出くわしていない。


 だがおそらく、魔獣は生存本能よりも闘争心のような狂暴性の方が勝っているのだろう。


 そしてその闘争心が疼いてきたのか、魔獣は涎を撒き散らし獰猛な唸り声をあげる。


 「ガガァーーーッッ!!!」


 「………涎、汚いわ。」


 スカーレットは全身に魔力を循環させる。これでもかと言う程に循環させまくる。

 

 「グガァアッーー!!」

 「……見るに耐えないわ。もう、黙って。」


 スカーレットは一気に踏み込んだ。


 ボンッ!!!!!


 爆音を発しスカーレットは消える。

 立っていたはずの地面が大きくめり込むと同時に、魔獣の首筋に渾身の右足蹴りを見舞う。


 魔獣はなす術なく吹っ飛ばされ、何本もの樹木をなぎ倒しながらようやく止まり、そして、絶命した。

 

 スカーレットの圧勝だっだ。


 


 

 




 


 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 


 

 


 


 

 

 


 

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