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追放令嬢とユカイな仲間の開拓史  作者: 琥珀猫
第一章 侯爵令嬢、追放される
10/13

第10話 爆走令嬢、制裁を受ける!



 「私たち、気が合うわね。」 

 「キキッ!」


 高らかに宣言し、意気投合した2人は、さてそろそろ現実に向き直る。

 そう、屋根の修繕だ。

 

 穴の空いた部分に、大きな葉っぱを何枚も重ね、必要なところは裁縫道具で縫い合わせる。芋の蔓も駆使して屋根に固定し、それを穴の空いた箇所全てに施せば、なんとか応急処置になったのではないだろうか。


 「うん。どのみちこれ以上のことが出来る気がしないわ。」

 

 ひとまず、これで様子を見よう。

 

 屋根から飛び降りて見事な着地を決めたスカーレットは、次は何をしようか考える。


 「そうねぇ…。優先順位としては、晴れているうちに済ませた方がいいこと、よね。」


 室内で出来ることは雨が降っても出来る。(屋根の修繕が上手く行っていれば、だが。)


 「となれば、掃除はひとまず後回しかしら…。やっぱりもう少し食料を確保した方がいいかもしれないわ、リジーも居ることだし。」


 そうと決まれば早速行動だ!


 小屋へ戻り、昨日洗濯した乗馬服が乾いていることを確認して着替える。

 

 「ズボンのほうが動きやすいものね。」


 ナイフを腰に、ポシェットは肩からさげて探索の準備は出来た。

 「キキッ」

 サッとスカーレットの肩に乗ったリジーも準備万端と言わんばかりに一声鳴く。

 「ふふっ。じゃあ、行きましょうか。」


 いざ!!探索へ!!


 


 「先ずは一旦、川沿いへ出るわね。」

 「キキッ」

 「はぐれないようにクラバットにしっかり掴まっているのよ?」

 「キッ!」


 先ずは川に出る。

 ここから上流へ行くか、下流へ向かうか…上流は森の奥方向になるのだが……。


 スカーレットは魔法で感覚を強化し辺りをじっと見渡す。一通り見渡したら今度は目を閉じ気配を探っていく。

 

 「ざっと見た感じでは、森の奥のほうが実りが多そうね~。その分、生き物の気配も多く感じるけど……。」


 何か危険を察知したらいち速く離脱するとして。


 「時間は有限よ!ここは確実に収穫の見込めそうな上流方向を探索すべきと考えるのだけど、どうかしら?」

 「キキッ~」


 キリッと引き締まった表情で同意を唱えるリジー。


 「そうと決まれば、今日は川を渡らずに川の手前側を上流へ向かう感じで行くわね。」

 「キキッ」

 「少し走るからしっかり掴まって。」


 そう言うとスカーレットは身体強化を使い、途轍もない速さで走り出す。

 一瞬で爆風に煽られたリジーはクラバットを握る手に更に力を込め、急いでポシェットの紐に尻尾を巻き付けた。吹き飛ばされないよう必死に耐える。

 

 小屋を探す時、最初に川を見つけた地点まであっという間に辿り着いた。


 「ここから向こうはまだ行ったことのない所ね。ここからは歩いていくわ。」

 

 一旦足を止め、リジーにそう告げて歩き出そうとするとーーーー


 ペチン!!!


 リジーはスカーレットの頬を小さな手で叩く。

 「痛っ!えっ!?痛いっ!」

 「キキキキッ!キキキキッ!」


 ペチッペチッ!!!!ペチンッ!!!

 

 何度も叩く。

 

 「何っ!?痛いってば!どうしたのよ、リジー!ちょっと止めてよ~!」

 

 全身の毛を逆立ていつもより大きくなったリジーは、良く見れば涙目となり必死に何かを抗議しているようだ。


 「もしかして、いきなり爆走したから驚いたとか???」

 「キキッ!キキキッ!」

 

 小さな手で更に叩く。

 ペチッ!!ペチッ!!ペチッ!!ペチッ!!ペチッ!!ペチッ!!ペチッ!!ペチンッ!!

 

 ーーーーーリジーさんのタコ殴りだ。


 それから小一時間、必死にリジーを宥め手持ちの果実やナッツでご機嫌を伺い、なんとか怒りをおさめていただけた。


 「ふぅ……。なんとか許されたわね。」


 赤くなった頬を擦りつつ独りごちる。

 あんな小さな手なのに、なかなかの威力だ。

 

 ナッツをコリコリ噛りながらもまだ少しプンスカしている様だが、あとは時間が解決してくれるだろう。


 それにしてもーーーー


 「可愛かったわ、リジー。毛を逆立ててぼわん!ってまん丸になって。いつも潤んだお目目が更にうるうるして。とんでもない破壊力だわ……この愛くるしさはもはや罪ね。」


 時折ニマニマとにやけながら、リジーに聞こえるか聞こえないかくらいの声で独り言を繰り返すスカーレット。


 少し離れた場所で、そんなスカーレットの様子をコリコリとナッツを噛りながら無言で見つめるリジー。


 

 ーーーーーリジーさんは、引いていた。

 


 

 

 



 


 

 

 



 

 

 


 



 



 


 

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