出発前のトラブルあるある①
課題に仕事に、それだけじゃない夏休みも半分を切った。ついにやってきた約束の日。海に行く日を迎えた。
待ちに待った日だ。ツルカは余裕をもって、待ち合わせ場所の駅についていた。
「あ、おはよう。ツルカちゃん」
「あれ、おはようございます」
先客がいた。ニコラスだ。楽しみ過ぎてとニコラスは笑った。ツルカも同じだった。
「ほんと、楽しみですよね。もう少しでラムルやビゼルさんも来るでしょうし。早目に向こう着きそうですよね」
「そうだね。ほら、ラムル君とかきっちりしてそうとか。遅刻とかしなさそう」
「確かに。ビゼルさんもそれっぽい」
だよね、と二人はまったりと会話していた。それから、海での流れや夏休みの話。果ては、ニコラスの萌え語りなど。二人は駅前で待ち続けていた。
「……」
「……」
約束の時間はとうに過ぎていた。来ない。あの二人が来ない。
「……僕、探しに行ってこようかな」
ニコラスが近くにある箒を借りて飛び立とうとしていた。最悪まだ寝ている場合もある。まずは二人の住処に行こうとしていたのだ。
「もう少し待ってみませんか?」
「うん、まあそうだね」
もうすぐで来てくれると信じて、それからさらに待って。ようやくだった。
「すまなかったのじゃー!お詫びに猫になるのじゃー!」
「待て、ビゼル!お前すぐに戻れねえだろ!」
言い合いながらも走ってきた二人組。お待ちかねの二人だった。
「す、すまなかったのじゃ。わらわは、寝坊してしまったのじゃ。げほっ。た、楽しみに、げほげほっ」
「ビゼルさん、いいから。ほら、お水飲む?」
「かたじけないのじゃ……」
ビゼルは飲み物を受け取って、ごくごくと飲んでいた。楽しみ過ぎて前日眠れなかった。そんなところだろう。
白のサマーワンピースが可憐だった。が、ビゼル当人は全力疾走したこともあり、髪が乱れていた。ツルカはそっと直した。本人は水に夢中で気づいていない。
「……悪かった。俺も本当に悪かった。同じく寝坊だ。……悪い」
ラムルも殊勝だった。謝り倒していた。
「いや、そんな寝不足そうな顔されたらさ。……責められないって」
ニコラスは見ていて胸が痛くなった。ラムルは疲れが取れてない顔だった。多忙だったのだろう。プロム特需を抜けたと言っていた彼がだった。
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