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魔女会議の朝。

 夏休み前の終業式である。午前で終わる為、その直後に魔女会議が開かれることになった。今回はツルカのやらかしでもなく、大々的にやるわけでもない。よって、周りが騒ぎ立てることもなかった。

 ツルカは朝食をとる為に、食堂に足を向けた。平静であるように努めていた。普段通りの朝であるのだと。

「生で見たかったなー」

「ほんと、すごかったんだってー」

「いいなぁ、彼氏持ちめ!」

「彼氏持ちですけど。……でも、ダーリン卒業なんだよ。寂しいんだってば」

 ツルカのクラスメイト達が固まっていた。

「おはよう」

 そう普段通りだ。ツルカは挨拶をした。

「あ、おはよ。そうだ、ラーデンさんも見る?」

 女子の一人が球体を見せてくれていた。映像媒体でもあるそれは、音も出していた。聞こえてくるのは、流暢なメロディライン、そして響き渡る歌声だ。

「みたい。すごくみたい」

 ツルカは察した。おそらく昨日のプロムの件だ。楽団が来るまで模範生達でどうにかしよう。ツルカの情報はそこで止まっていた。その続きがこの球体に込められていたのだ。ツルカはそれはもう食いついた。

「あはは、気になるよね。おいで」

「ありがとう」

 ツルカも球体を覗き込んだ。昨日のプロムの様子が映し出されていた。ニコラスが言っていた『出し物』。それが繰り広げられた。

 鍵盤が螺旋状になって発現していた。ピアノのように弾いているのはハルトだ。バイオリンはカタリーナ。他の模範生達も各々の能力や、また卒業生たちを巻き込んで踊ったりして盛り上げていた。

 中心で歌い上げているのは、エルマ・テアタ。第六模範生の彼女は、さながら歌姫。彼女の歌声が音符となり、視覚の面でも楽しませていた。時に盛り上げるような曲を。時には愛を讃える歌を。遅れてやってきた楽団の穴を埋めるには十分過ぎるものだった。

「すごい……」

 これは、彼女の音楽の才によるもの。そして、魔法の力にもよるもの。彼女より上の模範生の方が多い。それでも劣らないほどの力の持ち主。―それがエルマ・テアタだった。

「……」

 これから待ち構えているのは、彼らと対峙する魔女会議だ。ツルカは固唾を飲んでいた。

 去年ならもう晴れていたのに、まだ雨季は続いているのか。本日も雨が降り注いでいた。

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