まさかの開催決行。
「だからよォ、なんだよ保留ってよォ。なら、いっそこいつを肯定してみろってんだよォ。なあ、トップさんよォー?第1模範生さんよォ?」
「学院長もおっしゃったではないですか。ハルトさんもでしたね。我々も彼女を疑問に思ったら。同胞を騙る者と判断したならば。―即、否定するまでです」
そうだ、肯定されたわけではない。ハルトだってそうだ。大罪を支持し、容認することは無い。ツルカに突き刺さる事実だ。
「……ああ、だりィな。ニコラスの野郎が来ない限り、ってか」
結局はそれだった。ニコラスが語れば、それで終わる話だった。今回では、結論は出せず。こう、消化不良でもあった。
「あー、しまららねェな」
「うん、しまらないね」
学院長と、弟である模範生の声が被った。模範生の方は睨みつけているも、学院長は気にせず話をしていた。
「ああ、そうそう。模範生諸君に話があってね。再興も思いの外、順調に進んでね?建国祭は明日に行われることになったよ。延期してでも、開催。―それが陛下のご判断だ」
「なんですって!?学院長、あたくしは何も聞いておりませんわ!」
学院長による突然の告知だった。誰もがざわつく中で、一番声を荒げたのは王族であるカタリーナだった。
「あたくしは何も……。どうしてなの、父上は何をお考えなの……?あの事があって、どうして……」
「カタリーナ君。父君は、君には心配をかけたくないのだよ。愛しい娘だからね。心配事はかけたくないのだろうね」
「あたくしは……」
「―カタリーナ姫。貴女は当日、王族席でのご参加でしたね。なに、危険な目に遭うこともないでしょう。我々民が、王族の皆様をお守りしますから」
「はい……」
学院長はあえて、姫呼ばわりの姫扱いをしていた。カタリーナはまだ納得がいってないものの、大人しくすることにした。
「ということでね、本校も臨時休校となる。色々と準備もあるだろう。今回は結論が出せなかった。―建国祭を無事終えた翌日。今一度、魔女会議を開こうじゃないか」
「……学院長」
まだツルカは逃れられたわけではない。答えはまだ出てないのだ。
「もちろん、次こそはね。―ニコラス君も参加してもらおうよ」
ニコラスが出てくれば、決定打だ。彼が事の詳細を話した時には、もう。―誰しもが否定派に回るのだろうと。
「なあに、彼は参加してくれるよ。―父君がそう命じてくれたら、ね?」
学院長は蠱惑的に笑った。彼一人だけが、本当に楽しそうだった。